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令和7年 年頭所感

皆さま、明けましておめでとうございます。

佳い年を寿いでいらっしゃることと、お慶び申し上げます。

新春早々ですが、当院の桜井加那子医師、そして今年からは院長も、箱根駅伝のメディカルスタッフとしてボランティアを務めてまいりました。今年は気温も高かったため、早速忙しい仕事始めとなりましたが、選手の皆さんの死闘を目の当たりにして感動の年明けでした。

さて、昨年は、まず、HPVワクチンに左右された一年でした。

当院ではHPVワクチンの接種を強く推奨してきており、院長も複数の講演で話したり、YouTube動画「子宮頸がんワクチン、打ってはいけない?」は、いわゆるバズりました。

高1以降、キャッチアップ接種に至るまで、9月までに接種を始めないと無料で終わらない、ということから、予想通り駆け込み接種が殺到しました。

次いで起こったのが、その駆け込み需要の反動によるワクチンの供給不足。

当院でも多くの患者さんにお断りせざるを得ない状況で、大変忸怩たる思いをしました。ちょうどその頃にNHKの取材を受け、ニュースで取り上げて頂きました。

幸い現在は、ワクチンの供給が回復しています

また嬉しいことに、無料接種期間が1年延長しました。今年3月末までに、1回でも接種を受ければ、来年3月まで無料期間が延長しますので、まだ接種していない方は、お急ぎください。再度3月にワクチンが足りない、ということにもなりかねませんので。

HPVに関連したことですが、今年から横浜市では市民の子宮頸がん検診として、HPV検査単独法が30〜60歳を対象に導入されます。昨年4月より開始された横浜市子宮頸がん検診運営委員にも選んで頂き、当初より議論に参加して参りました。ようやく身を結び、1月より開始される運びとなっています。

また当院では、昨年より医療DXの一環として、3つのサービスを導入しました。

医療DX、聞き慣れない方もいらっしゃると思いますが、簡単に言えば医療のデジタル化です。これまで行われてきた中で一番分かりやすいのは電子カルテ。私も20年近く前まで、全てのカルテ、手術記録など、ボールペンで手書きしていました。開業の際に電子カルテを導入しましたが、カルテ内容は全ての端末で読むことができます、今や当たり前ですが。

その後も予約システムの電子化、マイナンバーカードなど、幾つもの導入がありましたが、今年はまず当院のホームページにAI検索機能を搭載しました。これは、AIで質問と回答ができるもので、もちろんまだまだ改良の余地はありますが、診療時間内にしか応答ができない電話でのやり取り、対人では聞きにくいことなど、多くの方にご利用いただいています。まだ回答できない質問もありますし、より誤解を生じないよう、日々AIに学習させてブラッシュアップを図っています。

次は会計システムで、会計待ちをせずに後でクレジットカードから引き落とされるものです。キャッシュレスの時代、クレジットカード決済も行なってきましたが、会計でお待たせするのが心苦しく、導入しました。このシステムをご利用頂けると、診察室や処置室から会計をせずにダイレクトにご帰宅いただけます。

最後は今月内に稼働を始める電子カルテの入力です。手書きでカルテを書いていた時よりも、電子カルテは画面を注視する時間がどうしても長くなり、患者さんの顔や表情を見る時間が減ります。患者さんとの会話がカルテに入力されれば手間も省け、一挙両得ではないか、というものですが、単なる音声入力ではなく会話からカルテに記載する体裁が整えられて入力される予定です。

このようにデジタル、AIを活用して医療サービスの向上に努めます。

デジタル化以外には、院内のAEDをどなたでも使えるように設置しました。


さて、令和7年、2025年は次のようなことに取り組みたく思います。

まず当院の診療の2本柱の一つ、不妊治療ですが、生殖補助医療保険診療化3年目となり、これまでの生殖補助医療の治療成績から、新たな治療戦略がいくつか始まっています。やはり卵巣刺激法(排卵誘発法)や胚移植の際のホルモン治療の工夫です。卵巣刺激法を解説する動画を間も無くアップデートして公開します。胚移植のホルモン治療も実際に行い、治療成績が向上していますので、データをまとめて公表したいと思います。

また2本柱はウイメンズヘルスケアです。

冒頭にも書いたように、横浜市で開始するHPV検査単独法のメリットとデメリットをよく考えた検診スタイルを考えてまいります。

HPVといえばHPVワクチン。さらに1年延長した無料期間を無駄にしないよう、皆さんへの接種を進めてまいります。

年末には新しい低用量ピル「アリッサ」も処方できるようになりました。より副作用が少ないとされるピルへの注目が集まっており、患者さんからのご質問も増えました。

尿もれや性交痛、萎縮性腟炎に効果的なインティマレーザーも、一人でも多くの方に効果を実感して頂きたく思います。

抗酸化サプリメントもレスベラトロールやアスタキサンチンなど注目されています。アスタキサンチンは美容に敏感な方からも問い合わせがあり、効果を検討してまいりたいと思っています。

皆さんからご評価いただいているSNS、特に今年もInstagramには力を入れてまいります。院内の掲示もどうぞご覧ください。

最後に、昨年末には様々な感染症が流行しました。マイコプラズマ、リンゴ病、手足口病、そして年明けにもっと拡大する予想であるインフルエンザコロナ

今年も引き続き感染症対策は注目し、実践していきましょう。

さて、皆さまにとって、どんな1年になるのでしょうか。

我々は産婦人科医療を通して、一人でも多くの方の願いを叶え、笑顔で毎日を送れるよう、これまで以上に日々精進を重ねてまいりたいと思います。

改めまして、今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

院長 桜井明弘