産婦人科クリニックさくらで扱っているサプリメント等のご案内
葉酸をはじめとして、妊娠前からの栄養素として、サプリメントで摂取することが望ましいものがあります。
その中には不妊治療の成績向上のため、効果がみられているものもあります。
当院では、不妊治療に限らず、効果があるもの、期待されているものを検証して導入し、その方にあったものをお勧めしています。
当院で採用しているサプリメント等一覧
サプリメント等 | 特徴 | 摂取、服用法 | 税抜き価格 | 妊娠成立後の継続(※) |
葉酸+ | 葉酸は赤ちゃんの中枢神経異常などを予防し、卵子の質を高めるもので、少なくとも妊娠する1ヶ月前から服用します。 葉酸の効果を高めるために、ビタミンB2、B6、B12とコリンが十分量配合されています。 |
1日1カプセル、食後に | 2,180円/2ヶ月分 |
○(妊活から授乳期まで) |
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ラフィル | 妊娠を考える世代で不足しがちな葉酸など妊娠前から妊娠中・授乳期に必要なビタミン、ミネラルが幅広く含まれているベーシックなサプリ。特徴的なのはプレバイオティクスとしてケストースが含有されています。充分な葉酸が含まれているため、別途葉酸サプリメントを摂取する必要はありません。 |
1日6粒(2〜3回に分けて) | 4,500円/1ヶ月分 | ○(妊活から授乳期まで) |
ウィメンズマルチ (旧MVM) |
妊娠を考える世代で不足しがちなビタミンD、鉄、葉酸などの妊娠前から妊娠中に必要なビタミン、ミネラルが幅広く含まれているベーシックな抗酸化サプリです。 |
1日1袋 | 9,720円/1ヶ分 | ○ |
DHEA | 年齢とともに体内から少なくなり、40歳以降の妊娠を希望する女性や更年期障害、男性の性欲減退にお勧めです。 当院では、体外受精など生殖補助医療の治療成績から、成熟卵を増やし、顕微授精での受精率を向上させ、AMHを低下させない効果を学会報告しています。 |
朝1カプセルから開始。 ニキビ等の副作用がなければ1日2カプセル、朝夕1カプセルずつに増量 | 4,400円/1.5ヶ月分 | × |
メラトニン | 年齢とともに減少する松果体から分泌される催眠ホルモン。 受精率の向上や長期服用による卵質改善がみられます。 |
1日1カプセル 22時、または就寝2時間前に服用。 服用後は自動車の運転や機械類の操作を禁止。 |
3,300円/2ヶ月分 | × |
メンズマルチ |
精子の質とプレコンセプションケアに着目した男性用のベーシックサプリ。ビタミンB群、アスタキサンチンなど。 | 1日1袋 | 4,860円/1ヶ月分 | - |
還元型CoQ10 (旧SOサポート) |
抗酸化サプリ。女性は卵質の向上、男性は精子の運動能や質を高めるコエンザイムQ10など。 | 1日2カプセル(夕食後) | 8,640円/1ヶ月分 | - |
VD | ビタミンDなど | 1日1〜2カプセル(夕食後1回) 必要に応じて増量 | 1,620円/2ヶ月分 |
○ |
ヘム鉄 | 動物性の鉄分で、吸収率に優れ、胃腸障害を起こしにくいです。 | 1日2カプセル (1~2回に分けて) |
2,590円/1ヶ月分 | ○(鉄分が充足した後は不要) |
グリスリン | 舞茸から得られるインスリン様物質。糖尿病の血糖値抑制や体重減少効果もありますが、婦人科では多嚢胞性卵巣の排卵障害、卵質の改善、体重減少効果がみられています。 | 1回6粒、朝昼晩に | 7,560円/0.5ヶ月分 | △ |
JBPポーサインPro (プラセンタサプリメント) | 原料は豚の胎盤で、様々な領域での効果が期待されます。 婦人科では更年期障害への効果と、卵巣機能から子宮内膜の厚さを改善するなど、不妊治療効果にも期待。 もちろん肌や美容への効果も。 |
1日5粒 | 10,240円/15日分 | △ |
DAAC-01 (コラーゲン) | 豚皮が原料で、様々な領域での効果。 産科では卵膜強化、産後の体力改善。 不妊では内膜肥厚に関与する可能性。 創傷治癒を早める効果があり、関節などの痛みに効果。 失血性貧血の改善。 |
1包/日。整形外科領域では2包/日 そのままでは服用できない。温かいものに溶かす必要がある。それを冷やして摂取しても良い。 |
4,860円/1ヶ月分 | ○ |
ラクトフェリン | 腸内の善玉菌である乳酸菌、ビフィズス菌を増やすことで、多くの作用をもたらす。 ・子宮内、腟内の細菌叢改善 |
3カプセル/日 (夕食後を推奨、水で摂取) |
7,290円/30日分 | ○ |
プロバイオティクスIII | 3種類の理想的な乳酸菌を含有。 腸内はもちろん腟内、子宮内の細菌叢を改善することにより、不妊、流産・早産や細菌性腟炎、カンジダ腟炎に効果的。 |
1カプセル/日 | 3,200円/30日分 | ◯ |
※妊娠成立後の摂取継続については、こちらを参考にして下さい。
○(摂取可能、むしろ推奨されています)
△(摂取することによるメリットがなく、休止することを勧めています)
×(ホルモン作用があり、胎児への影響が危惧されますので、休薬して下さい)
葉酸+
妊娠を考えている女性の葉酸の摂取の必要性については、開業以来何度もお伝えしてきました。
日本の妊婦さんの葉酸摂取率は30〜40%程度で、欧米、近隣諸国と比べ、大変低い水準です。
もちろん、思いがけない妊娠もあるため、100%になることはありませんが、諸外国では、小麦粉に添加するなどの工夫がなされて、100%を目指しています。
ラフィル
葉酸をはじめとしたマルチビタミン、ミネラルに、ケストースが配合され、腸内細菌叢の改善、腟内・子宮内細菌叢の改善が期待されます。
ウィメンズマルチ
これまで「MVM」という名前で販売されていた商品です。
妊娠前、また妊婦さんには多くの栄養素が必要です。
このMVM、マルチビタミンミネラルには、ビタミンD、ヘム鉄、葉酸など、妊娠前から妊娠中に必要なビタミン、ミネラルが幅広く含まれているベーシックなサプリメントです。
このサプリメントを規定量摂取していれば、他に葉酸を摂取する必要がありません。
また、妊娠前から妊婦さんを念頭に設計されているため、妊娠中も赤ちゃんへの栄養、妊婦さんの健康を維持する目的に摂取することができます。
DHEA
DHEAは副腎や性腺で産生され、エストロゲンやテストステロンの原料となるホルモンです。
年齢とともに減少してしまうため、40歳以降の妊娠を希望する女性に効果があるとされています。
また更年期障害、男性の性欲減退にも効果がありますが、乳がんや子宮体がん、また前立腺癌を悪化させる可能性があるため、服用前に検診が必要です。
また、体外受精など高度生殖医療の当院の治療成績では、
- 成熟卵を増やす。
- 顕微授精の受精率を向上させる。
- 良好胚が増える。
- 胚盤胞に発育する率が増える。
- 胚盤胞移植で臨床妊娠率が向上する。 (分割期胚移植や出産率の上昇傾向も見られましたが、有意差はありませんでした)
- 服用中のAMHが低下しにくい。
と言う結果が見られ、2016年の日本受精着床学会で発表しました。
またDHEAはホルモンのため、国内では医薬品の指定をされています。サプリメントと異なり、受付での販売ではなく、医師から説明を行い、同意書にサインして頂いてから服用することができます。
また妊娠中の服用は行いません。妊娠が確認されたら服用を中止してください。
メラトニン
メラトニンは、強い抗酸化作用を持つ催眠ホルモンです。
夜周囲が暗くなると脳の松果体から分泌され、眠気を催します。
これはビタミンEの2倍もの抗酸化作用を有し、脳内にも移行することが出来る特殊なホルモンです。
残念ながら、思春期の頃から年齢とともにその分泌量は低下し、40歳代では老年期とほとんど同じ分泌量となってしまいます。
しかも、わずかな灯りでもその分泌が低下するため、なるべく多くのメラトニンを出すためには、部屋の明かりを暗くし、特に液晶のテレビやPC、スマートフォンは極度に明るいため避けて、22時に真っ暗にして就寝しましょう。
しかしながらメラトニンは、内服して補充することが出来ます。
日本国内では、メラトニンも医薬品の指定をされていますので、医師の処方が必要で、当院ではDHEAと同様、国内では製造されていないため、海外より輸入した製品を、同意書に署名して頂いた上で処方しています。
メラトニンの摂取により、高度生殖医療において採卵の際に卵子が回収できる率の上昇、顕微授精での受精率の上昇、長期服用による卵質改善などが報告されています。
メンズマルチ
男性向けのベーシックな抗酸化サプリメントです。
近年、生まれた子供たちの身体、精神の障がいが、父親の精子にも原因がある場合もあると報告されています。
精子の形成や遺伝情報に必要なビタミンB群などが配合され、GMP認定工場で製造されています。
還元型CoQ10
コエンザイムQ10は、細胞に存在する器官、ミトコンドリアに脂肪酸を栄養として補給する役割があります。
そのため卵子の質の向上が期待されます。
またビタミンC、Eと3~6ヶ月併用することで、精子の運動率を向上させ、妊娠率の向上に役立つ可能性があります(Koboriら、2014)。
一方で多嚢胞性卵巣の排卵誘発効果もあり、排卵誘発剤に併用することで排卵誘発剤の効果を高めることも期待できます。
そして、有名な脂肪燃焼効果。運動を行う際に摂取することでダイエットを効率よく行うことができます。
VD
ビタミンDは、良い卵子を作り、また受精卵が子宮に着床させやすくする作用があります。
排卵障害を起こす多嚢胞性卵巣(PCOS)や精液所見が悪い方でもビタミンDが不足しているという研究結果もあります。
他にも妊娠中の合併症を予防したり、月経困難症、乳がんの予防にも繋がると言われています。
当院での血中ビタミンDの測定と、サプリメント摂取の効果については、こちらのブログ記事をご覧ください。
ヘム鉄
鉄は不足すると鉄欠乏性貧血となりますが、貧血ではないものの、次に使われるべき「貯蔵鉄」が不足する(=かくれ貧血、とも言われます)している可能性があります。
貯蔵鉄は、「フェリチン」という血液検査で判断します。
フェリチンはいくつか基準がありますが、60以上が望ましいとされています。
女性は月経により、血液とそれに含まれる鉄分が必ず失われます。
鉄はサプリメント以外にも保険処方可能な「鉄剤」で補充することが出来ますが、非ヘム鉄である鉄剤では、胃腸障害がみられることがあるため、胃腸症状が出る方には胃腸障害の起こりにくいヘム鉄のサプリメントを勧めています。
フェリチンは繰り返し検査して、不足していないかみていきましょう。
グリスリン
グリスリンの原料はなんと舞茸です。舞茸に含まれた成分で、名前も似ている血糖を下げるホルモン「インスリン」と作用が似ています。
実際に内科の領域では、グリスリン摂取によって、血糖値が下がったり、体重が減少したり、効果が認められています。
婦人科では、特に「多嚢胞性卵巣(PCOS)」の方への有用性が認められています。
排卵障害のある多嚢胞性卵巣の方が用いると、排卵が出来るようになったり、排卵誘発剤を減量できる可能性があります。
この効果は当院で服用されている方でも実際に認められていますし、また当院では高度生殖医療で不良胚ばかり回収されていた患者さんで良好胚が得られるようになり、妊娠、出産に繋がっている方もいらっしゃいます。
JBPポーサインPro(プラセンタサプリメント)
医療用プラセンタサプリメントの「JBPポーサイン」は、注射剤のプラセンタとは異なり、豚の胎盤を原料としています。
プラセンタの効能は、婦人科では
・更年期障害
・不妊症
などです。
産婦人科クリニックさくらでの治療効果はこちらにまとめましたのでご覧下さい。
DAAC-01(コラーゲンサプリメント)
このコラーゲンは、
・妊娠中の卵膜の脆弱化の改善
(卵膜が分娩前に破れてしまう早期破水を予防する)
・産後の体力改善
(いわゆる「産後の肥立ち」を良くする) にエビデンスがあり、
当院ではさらに、
着床期の子宮内膜菲薄化の改善
生殖補助医療における良好胚の獲得
を目指して導入しています。
その他、コラーゲンは、体内の繊維芽細胞を刺激し、「創傷治癒」に効果があり、けがが早く治る、手術創が早く改善する、という点に対するエビデンスです。
コラーゲンの紹介は、こちらの記事もご参照下さい。
ラクトフェリン
ラクトフェリンは、腸内の善玉菌である乳酸菌やビフィズス菌を増やす効果があり、
・便通が良くなる
・腟内、子宮内の乳酸菌が増える
・抗酸化作用により卵子の質が良くなる
・つまり妊娠しやすくなり、流産しにくくなる
・早産の予防や妊婦さんの鉄欠乏性貧血を予防する
・免疫力を高める
などが報告されています。
プロバイオティクスIII
4種類の乳酸菌を配合。服用することにより腸内の乳酸菌が増え、腟内、子宮内の乳酸菌が増える。細菌性腟炎やカンジダ腟炎の治療、予防に効果的。
もちろん便通改善の効果も。