性感染症(STI)かも?
あなたは大丈夫?
STI、性感染症は、かつては「性病」とかSTDと呼ばれていました。
STIとは、性行為によって、皮膚や粘膜を通して感染する病気の総称です。
STIに分類される感染症はとても多いですが、STIのほとんどは感染しても症状が出にくく、知らないうちに進行してしまう事が多いのです。
クラミジア感染などは、不妊の原因にもなります。
以下のような気になる症状はないか、チェックしてみましょう。
チェック項目
- おりものの量が増えた。
- おりものの色が変わった。臭いが強い気がする。
- 外陰部に痛みやかゆみを感じる。
- 外陰部に水泡やイボ、できものができた。
- 下腹部の痛みがある、発熱する。
- 性交時や排尿時に痛みがある。
- 性交後、性器から出血(不正出血)する。
- コンドームを使わずに性交渉をした。
- パートナーがかゆみや排尿痛、性器から膿が出た。
- パートナーが性感染症の疑い、診断を受けた。
- 特定のパートナー以外との性交渉があった。
- 複数のパートナーがいる。
- パートナーが変わった。
- 他の性感染症の診断、治療を受けた。
どの科に行けばいいですか?
女性の場合、産婦人科や泌尿器科で検査や治療を受けられます。また、皮膚症状の強い性器ヘルペスや尖圭コンジローマなどは皮膚科でも治療が行われます。どのような検査をしますか?
疑われるSTIの種類によって若干の違いはありますが、問診を行い、おりものや性器の状態を観察したり、尿検査、血液検査、腟分泌物(おりもの)検査などを行います。治療の仕方は?痛くないですか?
飲み薬や軟膏の他、注射や腟にいれる錠剤などもあります。ほとんどの性感染症は薬で治療できますが、中には処置が必要なものもあります。STIとはどんな病気のことを指すのでしょうか?
STIには主に以下のような病気があります。
- クラミジア感染症
- 女性がかかる性感染症では最も頻度が高いものです。男性も女性も自覚症状が少ない事が特徴です。このため気がつかないうちに病気が進行し、女性の場合は子宮や卵管、肝臓の周囲まで炎症が広がることがあり、不妊の原因になることがあります。
- 性器ヘルペス
- 感染しても必ず発症するとは限りませんが、自覚症状としては性器に生じる水疱やおりものの異常、そけい部のリンパ節が腫れたりします。
- 尖圭コンジローマ
- ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によるもので、男性性器に、女性も腟や外陰部、子宮頸部にイボが出来ます。痛みはありませんが、かゆみの症状から見つかることもあります。
- トリコモナス腟炎
- 寄生虫の一種であるトリコモナス原虫が、腟内に入り込むことによって感染します。症状としてはおりものの量が増え、臭いが強くなり、性器に強いかゆみを感じます。
- 淋菌感染症
- クラミジア感染症に次いで、最近では頻度の高いSTIです。男性は排尿時に痛みを感じるなど比較的容易に症状が出ますが、女性は自覚症状が少ないため気づきにくいです。感染がお腹の中に拡がると大変強い腹痛や発熱を引き起こします。
- HIV感染症(エイズ)
- ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染により起こる感染症です。感染してから発症するまでの潜伏期間が6カ月~10年以上と長いのが特徴で、発症すると免疫力が低下し、通常ではほとんど害のない細菌やウイルスへの感染、悪性疾患などにより死にいたることもあります。近年国内で増加しています。
- 梅毒
- 梅毒スピロヘータの感染により起こる感染症です。近年国内で増加しており、注意が必要です。
- かつては発見が遅くなり、有効な治療法もなく、神経がおかされて死に至る病気でした。
- B型肝炎、C型肝炎
- 肝炎ウィルスの感染によります。主に性行為だけでなく、母子感染、かつては輸血による感染が懸念されていましたが、現在では輸血による感染はまれです。
- マイコプラズマ・ジェニタリウム
- 国内ではまだあまり認知されていませんが、下腹痛や繰り返される膀胱炎、不妊や流早産の原因となります。
STI(性感染症)チェック
STIを心配される方には、以下の検査をお勧めしています。
です。
これらのSTIの検査は、感染が疑われる場合には保険適応がありますが、スクリーニング検査として行う場合は、自費検査となります。
妊娠を考える方には、以下の検査をお勧めしています。
STIは重複感染することが知られています。
例えば、クラミジアに感染している場合、淋菌にも感染している可能性があります。
・クラミジア陽性者の10%が淋菌感染症を合併し、淋菌陽性者の20〜30%はクラミジア感染を合併しているとされています(性感染症 診断・治療 ガイドライン2016(改訂版) )。
・梅毒とHIVの重複感染はとても多いです(IASR、Vol. 29 p. 242-243: 2008年9月号)。
つまり、STIのどれかに感染している場合、他のSTIも検査することが推奨されています。
現在、STIを検査する場合に必ず行った方がよい、とされているのは、
「クラミジア、淋菌、梅毒、HIV」をセットで検査することです。
また、追加検査として、B型肝炎、C型肝炎、トリコモナス、マイコプラズマがあげられます。
そして、同じく性行為で感染するHPVが原因の「子宮頸がん」の検査もお受け下さい。
産婦人科クリニックさくらでは、これらの検査をセット化してなるべく検査を受けやすいよう価格設定を行っています。
どのSTIにおいてもカップルで感染しているため、カップルで同時に治療しなければ意味がありません。女性が治療しても、男性が治療していなければ、またうつされてしまいます。そして治療が完了して治っているか再度行う検査の結果が出るまでは、赤ちゃんが欲しくてもコンドームをつけてください。
また赤ちゃんをまだ望んでいないカップルは、必ず正しくコンドームを着けて性交渉をして下さい。これは、お互いのマナーです。
次のページでは、STIを詳しく、一つずつ解説していきます。