STI(性感染症)は、性行為によって細菌、ウイルスが感染する病気で、かつては性病、とよばれていました。

日本で最も多いSTIがクラミジアで、クラミジアに感染している場合、約10%が淋菌を重複感染しています(産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会)。

重複感染とは、ある細菌やウィルスに感染していると、他の細菌やウィルスにも感染している状態で、STIの場合、感染経路は性交渉ですから、複数の感染がみられることは少なくありません。

特に淋菌は、1回の性行為での感染率が30%程度と、とても高く(性感染症 診断・治療 ガイドライン2016(改訂版) )、反対に淋菌感染症の20~30%でクラミジア感染を合併する(都立駒込病院の報告、2008)ため、クラミジアと淋菌は同時に検査をすることが勧められています。

また米国では2001年以降、梅毒の発生率が増加しており(CDC、2006)、驚くべきことに、梅毒新規発生患者の60%以上がHIV感染症を合併しているというのです。反対にHIV感染者の50%に梅毒感染が合併しています。日本でも梅毒とHIVの重複感染が10~20%に見られています(産婦人科診療ガイドライン婦人科外来編2020)。

トリコモナス感染は、女性の2.4%がトリコモナス陽性で(日本性感染症学会、2016)、ほとんどがクラミジアとの重複感染を起こしているため、クラミジア感染者にはトリコモナス検査を行うことが必要です。

このトリコモナスとマイコプラズマ・ジェニタリウムのPCR検査も開始しています。

なお、最新の「性感染症 診断・治療 ガイドライン2020」では、ウレアプラズマとマイコプラズマ・ホミニスは、性感染症として取り上げなくなっており、現状では検査・治療の対象外とします。

このようにSTIは重複感染が多いため、産婦人科診療ガイドラインでも、最も多くみられるクラミジア、淋菌と、近年増加傾向の梅毒、HIV、以上4種を検査することが推奨されています。

さらにオプションとして、やはり血液や体液で感染するB型肝炎、C型肝炎ウィルスや、上に挙げたトリコモナスやマイコプラズマ・ジェニタリウムの検査も勧められております。

上に挙げた料金表は、STIに関する自費検査一覧で、令和4年4月の診療報酬改定をもとに料金改定をしました。ほとんどの検査のコストが減額されています。また1回に複数の検査を行う場合、料金安くなります。

さらに横浜市の肝炎検査助成を利用することもできます。

疑わしい症状の診断や治療後の検査は保険適用されます。


一つのSTIが診断されたら、他のSTIも見逃さないよう、検査をお受け頂きたいと思います。

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:平成31年1月5日
補筆修正:令和2年4月15日、5月12日
補筆修正:令和3年4月15日、11月23日
補筆修正:令和4年7月14日、10月3日、ウレアプラズマに関するお問い合わせが多いため、記述を改めました。