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HPVワクチン、打ち損ねて間隔が空きすぎてしまっているのですが。

今月3月末までに、1回でもHPVワクチンを無料接種している方は、3回目までの無料接種期間が来年令和8年3月末まで、1年間延長されました。

また同時に、1回目、または2回目しか打っていない、最後まで接種が終えられていない方たちもよくいらっしゃっています。

令和4年4月から積極的勧奨が再開され、また同時にキャッチアップ接種が案内されており、質問が増えています。

患者さんからの又聞きではありますが、接種間隔が空いてしまった場合に、間違った指導をしている医療機関もある様なので、おさらいしましょう。

問い合せした医療機関で、「もう受けなくて良い」とか「改めて1回目から受けるよう」指導されたというケースを耳にしました。伝言ゲームのように、情報が間違っている可能性はあるものの、明らかに誤っているため、所属する医師会に報告し、再度医師会員の先生方に通達してもらうよう依頼しました。

さて、この質問に対する回答は、

「接種間隔が空いてしまっても、残りの回数を3回目まで接種を終える」

のが、最も正しい選択です。

HPVワクチンはできれば1年以内に接種を終えることが望ましい、とされていますが、例えば妊娠するとワクチンを打てなくなるため、2回目、または3回目は出産・授乳後で良い、と言われています。

海外では1回接種や2回接種が行われている国がありますが、日本で2回接種が規定されたのは14歳までに接種を開始した場合です。


12年前までは、今年度24歳から29歳になる学年では、8割近くの対象者がHPVワクチンを接種していました。

ほとんどのメディアがHPVワクチンの副反応をゴシップ的に取り上げ、ショッキングな映像を繰り返し流したことで、多くの保護者がHPVワクチンの接種をためらうようになり、2013年6月、ついに厚労省が日和見的にHPVワクチンを積極的に勧奨しないよう通知を出したことで、日本国内のHPV接種は、ほとんど完全に停止してしまいました。当時の生々しい記憶を留めている方も、特にこの頃の保護者の方たちにいらっしゃると思います。

6ヶ月間かけて3回のワクチンを接種するプログラムを、1回だけ、または2回だけ接種した時点で取り止めて3回終了しないままとなっている方も少なくありません。

キャッチアップ接種では、横浜市の場合、市が把握している、接種していない分の接種券を発送されています。

そこで2回目以降のワクチンを接種した方がいいのか、間が空いてしまった今からでも意味があるのか、疑問に思う方がたくさんいらっしゃいます。

さらに、令和5年4月からは、交互接種が認められ、キャッチアップ接種にも9価ワクチンを選択できます

さまざまな情報が錯綜する可能性がありますが、どうぞ信頼できる施設でよく相談なさって接種を終えてください。

子宮頸がんワクチン、打ってはいけない? YouTube動画で解説しています。

HPVワクチンについて、よくいただく質問にお答えし、動画も作成しました。


またHPVワクチンに関する動画もご参考にしてください。

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:令和4年8月2日
補筆修正:令和4年9月12日、10月24日、11月4日、19日、12月14日
補筆修正:令和5年1月16日、3月22日、4月5日、8月3日、21日、10月8日、11月29日
補筆修正:令和6年1月14日、5月17日、8月7日、9月5日、12月11日
補筆修正:令和7年2月12日、3月4日、YouTube動画を追記しました。