HPVワクチンの定期接種(小6から高1生まで)を受けられなかった世代に改めて接種する機会を「キャッチアップ接種」と呼びます。
令和4年4月から無料でキャッチアップ接種が行われていて、横浜市では昨年と今年6月に対象者に個別通知がありました。
また今年度から定期接種と同様、キャッチアップ接種にも9価ワクチンが適用されています。
現在、当院にもキャッチアップ接種を受ける患者さんが数多く来院されています。特に9価が適用された4月以降増えています。
一方でこの世代は学校やお勤めなど忙しく、なかなかワクチン接種を開始できないようです。婦人科など受診した際に、思い切ってその日からワクチンを始めてはいかがでしょうか。
キャッチアップ接種の対象となるのは、年度内に17歳(高2相当)から26歳になる方(1997年・平成9年度生まれ)たちで、令和4年4月から3年間、令和6年度まで行われています。
HPVワクチンは日本では、3回の接種が必要とされています。過去に1回のワクチンを接種している人は残り2回を、過去に2回接種している人は残り1回を接種します。初回から3回の接種をやり直す必要はありません。
また、同じように4月以降は、「交互接種」と言って、これまで2価や4価ワクチンを接種した方も、残りの2回、または最後の1回を、9価ワクチンの接種を選択することもできます。
平成6年から11年度生まれの女性達は、HPVワクチンの定期接種を、過半数から、8割近く受けていた世代です。
残念な偏向報道が執拗に繰り返されたため、多くの親子がワクチンを極度に恐れる様になり、平成12年度生まれは14%、平成13年度生まれ以降は、ほぼ0%に近い接種率となってしまいました。この各学年で子宮頚がんで亡くなる方が1,000人ずつ、と言う試算があります。こちらの記事で解説しています。
一方でHPVワクチンによって、子宮頸がん発症が9割近く減少した海外の報告が複数あります。
このようなHPVワクチンを打たない国は、いまや日本しかない、と言う事をご存知でしょうか。
当院でも中国やベトナムなどの方も来院されています。お国ではみんな接種してるから、と常識だと言います。
過熱した報道も鎮火し、多くの女性達が、改めてHPVワクチンの正しい知識を持ち、「どうして私は打ってないんだろう」「今から打てるのだろうか」と疑問を持つ様になっています。公費キャッチアップ接種が開始されるのと同時に令和4年4月には、積極的勧奨が再開されています。
今からでもキャッチアップ接種受けた方がいいですか?
親が打たないでくれ、って言うんです。。
HPVワクチンや子宮頸がんについて説明した動画を作成しました。公費接種にも9価が採用されています。
また、この世代が抱えるご質問にもお答えした動画を作成し、最新のデータをもとにアップデートしました。
公費助成を受けられる2価、4価ワクチンは、自己負担で3回接種すると、当院でも約50,000円かかります。9価ワクチンは約90,000円にも。今からHPVワクチンを打とうにも、経済的な余裕がない方もいらっしゃると思います。
そんな中、本来ワクチンを打つ権利を持ちながら、当時の社会情勢で受けさせてもらえなかったこの世代に、今から公費助成でワクチン接種を!が、今回のキャッチアップ接種の無償化なのです。
このキャンペーンを行って、具体化してくれた団体があります。ここでも紹介しまして、ご賛同してくださった方たちにも感謝申し上げます。
「HPVワクチン(子宮頸がん等予防)を打つ機会を奪われた若者たちが無料で接種するチャンスをください」子宮頸癌ワクチン
文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)
初出:令和3年3月30日
補筆修正:令和3年10月31日、11月17日、12月24日
補筆修正:令和4年3月10日、15日、16日、27日、31日、4月20日、5月10日、6月16日、7月27日、9月1日、20日、10月12日、28日、11月11日、22日、12月17日、
補筆修正:令和5年1月12日、3月15日、17日、29日、4月8日、8月7日、10月16日、11月13日