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キャッチアップ接種、もう一度お嬢さんにワクチン接種の機会を考えてあげてください。〜HPVワクチンを受けていない世代の子宮頸がん患者数、死亡者数の推計〜

現在行われている無料で接種できるキャッチアップ接種開始まで1年を切りました。

対象者が受診した際には、HPVワクチン(子宮頸がん予防ワクチン)を受けたか、受けてない場合には受けるつもりであるか確認しています。

ようやく打とうと思っている方が多くなっていますが、いまだに「母が打たない、と決めたので。。」というお嬢さんが、わずかになりましたがいらっしゃいます。「打たない選択」は本人ではなくお母さんの意思がほとんどのようです。

HPVワクチンは、小学6年生から高校1年生相当まで、助成を受けて無料で接種することができ、令和6年度まで、1997年・平成9年度生まれまでの女性を対象に、やはり無料でキャッチアップ接種も行われ、また令和5年度からは9価ワクチンの選択もできるようになります。

自己負担の場合、当院では3回で、

・4価ワクチンは、51,700円(税込)

・9価ワクチンは、91,300円(税込)

です。


平成25年に、厚生労働省はHPVワクチンの接種を、積極的に勧奨しない、と声明を出し、実に10年近くの時が流れました。

これにより80%以上の女子がHPVワクチンを接種していたのが、昨年度21歳を迎えた2000年度生まれから激減し、2001年度に生まれた方以降は、ほぼワクチンを接種されなくなってしまいました。

この間に接種できなかった女性は、実に300万人にも上るそうです。

しかし数年前から国とは別に、自治体の判断で個別通知を行う自治体が増えてきており、ようやく昨年の4月から、積極的勧奨が再開されています。

2000〜2003年度に出生したみなさんの、子宮頸癌の発症と死亡率について、大阪大学より大変意義深い推計数が発表されました。

これによると、この年度に生まれた女性は、頸がんにかかってしまう方が17,000人増え、頸がんで亡くなる方が4,000人増えるということです。

4学年でこの数ですから、ワクチンを打たないことで各学年で4,000人ずつ頸がん患者さんが増え、また亡くなる方も1,000人ずつ増える、ということになります。

ワクチンを打っておけば防げた病気であり、死亡者です。是非ともキャッチアップ接種を受けてください。

2001年度の生まれは、今年度21歳となる方たちで、子宮頸がん検診の無料クーポンが送付されています。

当院でも、この世代でワクチンを打っていなくて、現在子宮頸がんの前癌病変である異形成となってしまった患者さんが早くもみられています。
全国どこの自治体でも無料クーポンが送付されますので、これを活用して是非、子宮頸がん検診を受けて下さい。

そして1日も早くHPVワクチンを接種する事が大切です。


先日興味深いデータが発表され、このブログでも紹介しました。

HPVワクチンによって、17歳までに接種した場合、子宮頸がん発症がなんと0.12倍に減少したのです。

日本でも9価ワクチンを接種できるようになりました。また男性にも4価ワクチンを打てるようになりました。9価ワクチンの公費接種化も令和5年度から、と決定しました

世界で子宮頸がんを撲滅できないのは、恥ずかしながら、日本のみとなってしまいます。

皆さんの意識改革と行動変容こそ、社会を変える原動力となります。


もう一度、子宮頸がん検診を1年以内に受けているか確認し、またHPVワクチンについても度考えてみましょう。

子宮頸がんについて、また予防法としてのワクチンと検診を、こちらでも詳しく解説しています

外来でもお気軽にご相談ください。

院内でも独自の資料を作成して配布しています

男性へのHPVワクチン接種はこちらをご覧ください

 

HPVワクチンに関するご質問にお答えした動画を作成しました。

 

HPVが原因の病気やHPVワクチンについて解説動画を公開しています。令和5年度版にアップデートしました。

 

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:令和2年11月5日
補筆修正:令和3年3月25日、27日、7月12日、10月30日、11月13日
補筆修正:令和4年1月11日、3月11日、6月30日、9月17日、10月9日、26日、11月8日、12月18日
補筆修正:令和5年1月17日、3月9日、16日、25日、4月7日、5月26日、7月31日、9月11日、12月16日
補筆修正:令和6年2月6日