HPVワクチンの積極的勧奨再開について、また新しい動きがみられました。

来年4月から、個別通知を呼びかける「積極的勧奨」を各自治体に通知しました。

すでに大きな自治体では川崎市など行っていますが、各自治体は準備が整い次第、4月を待たずに通知して良いこととなっています。


11月12日、厚生労働省の専門部会(厚生科学審議会副反応検討部会と食品衛生審議会薬事分科会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同開催)で、HPVワクチンの積極的勧奨を再開すべきだと判断されました(資料)。

これにより、8年ぶりに、対象となる女子への接種がようやく本格化します。


また11月9日には、超党派の地方議員が「HPVワクチン接種推進自治体議員連盟」の設立総会が行われました。議長を務められたのは、私も親しくさせていただいているおぎの稔・大田区議です。

この中では最も重要な、

・積極的勧奨の再開

はもちろんのこと、

・キャッチアップ接種の公費負担(現在厚労省内で議論されています

・9価ワクチンの公費接種化

・男性の定期接種化

などが掲げられています。


さて、これまでの経緯を説明すると、HPVワクチンによって、女性の大敵とも言える、子宮頚がんの発症が、6割以上予防できる(現在接種が開始されている9価ワクチンでは9割以上です)ため、小6から高1に当たる女子に、公費助成で、つまり無料で接種が行えるようになったのが、平成23年で、平成25年の4月に定期接種となりました。このころ一斉にワクチン接種を受けた対象年齢では、実に接種率は約8割に上りました。

しかし、定期接種化から、わずか2カ月後の6月、積極勧奨の一時差し控えを決定します。理由は副反応の報告で、当時メディアがワクチンの効用を取り上げない形でセンセーショナルな報道を繰り返し、多くの保護者の不安を煽ったのが最も大きいと思います。

そして平成12年度以降に生まれた方達の接種率は著しく低下し、平成17年度生まれではなんと、0.1%に満たなくなってしまいました。当院でのワクチン接種数の推移もどうかご覧いただきたいです。

この、接種しなくなった方たちの子宮頸がんの発症と死亡率の予測値が発表されています。ことの重大さにもっと早く気付くべきでした。

奇しくも今年度、子宮頸がん検診の無料クーポンが配布されているのが、この平成12年度生まれの方たちです。

検診に受診された時に聞くと、やはりほとんどの方がHPVワクチンを接種していなくて、また、結果で異常が多い印象があります。



積極的勧奨の前から、自治体によっては個別通知が行われており、近隣の自治体では早くも本格的な接種が再開されていますが、横浜市でもようやくもう少しで個別通知が行われる予定です。

当院から発信しているHPVワクチンの情報をこちらにまとめています。大切な命を守るため、ご参考になさってください。

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:令和3年10月2日
補筆修正:令和3年11月10日、12日、26日