現在多くの方が、定期接種やキャッチアップ接種を受けてくれています。大変有り難いことです。
さて、HPVワクチンの基本的な接種スケジュールは、6ヶ月間かけての接種が必要ですが、「最短」の1ヶ月、3ヶ月、の定義にご注意下さい。
HPVワクチンの無料接種期間が延長され、今月3月中に接種を開始すれば、来年、令和8年の3月まで無料期間が延長されます。対象となる方には、3月の第1週に最終の通知が発送されています。
少しでも早く、接種を開始することをお勧めしています。
この記事の目次
HPVワクチンの短縮スケジュールは?
子宮頸がんなどの予防を目的とするHPVワクチンは、接種開始から6ヶ月の間に、3回の接種を行ないます。
令和5年度からは14歳までに接種を開始すると、9価ワクチンは5〜12ヶ月後に2回目の接種を行う2回接種が可能になっています。
しかし、皆さん、予定が入ったり、忙しい時期だったり、試験と重なるなど、必ずしも予定通りにはいかないことがあると思います。
最短で接種できるスケジュールについてみていきましょう。
4価、9価ワクチンともに基本的には初回、初回の2ヶ月後、初回の6ヶ月後、と接種しますが、
・2回目:1回目の1〜2ヶ月後
・3回目:2回目の3〜4ヶ月後
とすることも認められています。
つまり、最短では4ヶ月で接種を終えることが出来ます。
この1ヶ月、3ヶ月後、の日付の考え方ですが、例えば
11月20日の1ヶ月後は12月20日、3ヶ月後は2月20日で、それ以降、2回目、3回目のワクチンを接種することが出来ます。単純に〇ヶ月後、の同日がその日に当たります。
これは横浜市の定期接種、キャッチアップ接種の考え方で、自治体によっては解釈が異なるかも知れませんのでお住まいの自治体で確認して下さい。
また14歳までに9価ワクチンを接種開始した場合、2回接種が選べて、この場合は、初回、初回の6ヶ月後に接種しますが、
・2回目:1回目の5〜12ヶ月後
とされています。
2価ワクチンは基本的には初回、初回の1ヶ月後、初回の6ヶ月後、と接種しますが、
・1回目
・2回目:1回目の1〜2.5ヶ月後
・3回目:1回目の5〜12ヶ月後
とすることが認められています。
逆にHPVワクチンの接種はいつまで遅らせて良い?
体調不良や急な予定など、止むを得ない理由がある場合に接種が遅れてしまうかもしれません。
その場合はどうしたら良いのでしょうか。
答えは、「接種可能になったら、なるべく早く接種して下さい」です。
HPVワクチンの添付文書では、「1年以内に3回の接種を終了することが望ましい」とされています。
接種間隔を遅らせる、接種期間を規定以上に長引かせることは推奨されていませんが、海外臨床試験の結果で、2回目や3回目の接種が遅れた場合でも、HPVに対する抵抗力である抗体反応は良好で、通常のスケジュールに劣らなかったという医学論文(Zimmerman RK et al. 2010、LaMontagne DS et al. 2013、Russell K et al. 2015)などが、4価、9価ワクチンを製造しているMSD社のHP(医療関係者向けのページ)で紹介されています。
接種についてご心配な点は、どうぞ遠慮なくおたずね下さい。
その他HPVワクチンについて、HP内のリンク一覧はこちらをご覧ください。
よくいただくご質問にお答えしています。
接種間隔をはじめ、HPVワクチンについてよくいただくご質問にお答えする動画を公開しています。
また、HPVワクチンや子宮頸がんについて、動画を作成して説明しています。
文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)
初出:令和4年1月6日
補筆修正:令和4年1月7日、3月2日、7月28日、8月2日、10月5日、20日、11月3日、17日、12月10日
補筆修正:令和5年3月14日、4月13日、28日、7月27日、8月15日、9月4日、21日、 12月31日
補筆修正:令和6年1月23日、3月29日、10月5日、19日
補筆修正:令和7年2月4日、20日、3月10日