前回この記事をアップしてわずか1週間、また新たなニュースが飛び込んできました。

「梅毒」というと、かつて流行した性病で、抗生物質の効果もあることから、昔の病気、現代ではあまり心配ないものというイメージがあるかもしれません。
しかし、ここ数年、日本で報告されている患者さんの数がどんどん増えています。昨年は国内で4,000人を超えたのが、今年はついに44年ぶりに5000人を超え、11月19日までに5053人になったと国立感染症研究所が報告しています。

性行為などで感染する梅毒、「昨年は大都市に患者が集中していたが、今年は全国に広まってきて」いるとのことです。
都道府県別では東京(1561人)や大阪(703人)、愛知(310人)、神奈川(286人)、福岡(202人)など大都市圏が中心です。
さらに、直近3ヵ月での人口100万人当たりの届け出数は、西日本で高い傾向がみられ注意が必要です。

特に20代の女性で増えており、これまで紹介したように、日本産科婦人科学会の調査によると、2011年から2015年までに、国内で21人の「先天梅毒」の赤ちゃんが産まれたそうです。

先天梅毒とは、妊婦さんが梅毒に感染し、80%のお腹の赤ちゃんにも感染、40%が死産となり、産まれた赤ちゃんに梅毒特有の発疹がみられたり、骨軟骨炎や新生児期には無症状でも学童期に角膜炎、難聴、歯の異常がみられることがあります。

調査では2013年までの先天梅毒は「いなかった」ものの、2014年に8人、2015年は13人と増えており、このうち5人の赤ちゃんが亡くなり、治療したものの後遺症が残った赤ちゃんが4人いたそうです。調査は分娩を扱う全施設に行ったものではないので、あくまでも一部の報告ですから、もっと多くの先天梅毒があるでしょう。

先天梅毒の赤ちゃんを産んだ妊婦さんの8割は、妊婦検診を定期的に受けていなかったとのことで、健康な赤ちゃんを産むためには、妊婦検診の重要性が改めて分かります。

しかしこの問題は、やはり国内で梅毒患者さんが増えていることがベースにあると思われます。

 2001年以降、先進国でも増加傾向がみられ、当院でも、3年前から警鐘を鳴らしてきましたが、5年前と比べて5倍に増えたそうです。
 

国立感染症研究所の昨年末の発表では、患者数は4336人で1974年の4165人を越えています。男女比はおよそ2:1で、女性は20歳代が半数を占めているとのことです。

また「1940年代後半に患者が20万人を超えていたが、抗菌薬治療の普及で激減。再流行した67年の約1万2000人をピークに減少を続け、一時は500人を切った」ことを考えると10倍以上ですから、実に異常な事態です。

2014年には、流行はホモセクシュアルの男性を中心に増加とされ、海外旅行者からの感染も原因ではないかと考えられていますが、若い女性の感染が増加していることが、妊娠した場合に赤ちゃんへの感染も起こすため最も心配される点です。

女子の梅毒増加中.jpg(2015年厚生労働省)

性行為感染症(STI)は、その名の通り、性交渉により感染します。
男性から女性へ、女性から男性へ。また同性愛者でも同様です。

最善の予防策は早期発見と不特定多数との性行為を避けること、コンドームを用いた性交ですが、射精の時だけ着けるのは意味がありませんし、コンドームが覆っていない皮膚への感染もあるようです。
また、最近の若い方はオーラルセックスが一般的になっているようですが、これも性器から口への感染が起こるため、STIの予防のためにはコンドームを着けた状態でしなければなりません。

厚生労働省は「早期発見すれば治療と感染拡大防止につなげられる。不特定多数との性行為など、気になる人は早めに受診してほしい」と呼びかけています。性器のしこりや唇などにもみられる赤い発疹などが初期にありますが、数週間で消えたり、無症状の場合もあります。皮膚や粘膜に異常が見られた場合は性的接触を控え医療機関を受診して下さい。
重症化すると脳や心臓に重大な合併症を来たし、意識障害、失明に至ることもあります。

疑わしい症状のある方、身に覚えのある方は、是非とも早いうちに検査を行って頂きたく思います。

梅毒検査は血液検査で行うことが出来ます。

無症状の場合は保険適用外となり、当院では2,750円(自費の場合、税別、2017年8月に3,000円から減額しました)で行っており、1週間後結果をお話しすることが出来ます。


STIは他に、

クラミジア
・淋菌
尖圭コンジローマ
・トリコモナス
・HIV

などが知られていますが、B型肝炎、C型肝炎なども、性行為によって感染します。

STIは、無症状の場合は保険適用外となることもありますが、詳しくは受付、診察室でお問い合わせ下さい。
2017年8月からの自費診察料金一覧はこちらをご覧下さい。

(初出:2017年1月9日)
(補筆修正:2017年8月15日)
(補筆修正:2017年8月24日)
(補筆修正:2017年11月21日)
(補筆修正:2017年11月28日)