最新のお知らせ

紫外線が最も弱い季節です。ビタミンDの不足は、免疫力低下の原因にもなります。〜ビタミンD検査とサプリメントのご案内〜

最近妊娠に必要な栄養素として注目される一方で、多くの方で不足しているビタミンの一つにビタミンDがあります。

ビタミンDは、紫外線を浴びたり食事から摂取したものが、体内で活性型ビタミンDとして合成され、様々な効果が産み出されます。

ビタミンDが不足すると、新型コロナウイルスの重症化率が高まる、と複数の報告もあります。

また花粉症など、アレルギー性の病気にも、ビタミンDが関与していると言われています。

近年では子宮筋腫の発生に関与する興味深い報告が散見されます。血液中のビタミンD濃度が子宮筋腫のリスクを軽減させる(Guo W et al. 2022)と言うものです。またビタミンDが充足していると、不足している人に比べて32%、子宮筋腫を低下させる(Baird DD et al. 2013)とか、子宮筋腫のサイズにも影響する(Maryam Hajhashemi et al. 2019)ことが報告されています。コロナや花粉症と同様、ビタミンDが免疫機能を調整・改善することがその理由と考えられています。

さらに妊娠に関して、ビタミンDは良い卵子を作り、また受精卵を子宮に着床させやすくする作用があります。

また排卵障害を起こす多嚢胞性卵巣(PCOS)精液所見が悪い方でもビタミンDが不足しているという研究結果もあります。

他にも妊娠中の合併症を予防したり、月経困難症乳がんの予防にも繋がると言われています。

もちろん、ビタミンDの作用で最も有名なのは、骨を作ることです。血液中のビタミンD、「25OHD3」が30g/ml以上と20ng/ml未満の女性では、骨折のリスクが3~6倍異なるデータがあります。

シーズン的にも強くなってきた紫外線を浴びることは特に女性には敬遠されがちですが、本来、紫外線を適度に浴びることはビタミンD不足の解消につながります。




当院のデータを紹介します。妊娠を考えている方、80人の血液中のビタミンD(25OHD3)を測定しました。

血中ビタミンD濃度測定

ビタミンDを含んでいるサプリメント「マルチビタミンミネラル」などを服用している「前治療あり」と服用していない「前治療なし」に分けて比較すると、サプリメントを服用している方のほうが、当然ですが、ビタミンDの濃度が高い傾向がありました。

服用していない「前治療なし」のうち、多のう胞性卵巣(PCOS)の方は、人数が少なかったのですが、さらにビタミンDが低い傾向がわかりました。

さて、年齢とビタミンD濃度の関係ですが、

血中ビタミンD濃度と年齢の関係

ビタミンDを服用していない人では、ビタミンD濃度は年齢と関係がないことがわかりました。

そして、ビタミンD濃度は最低でも20〜30を保つ、理想は30以上ですが、前治療の有無でビタミンD濃度の割合をみてみました。

前治療有無の血中ビタミンD

「前治療あり」では、20を下回ったのは31%でしたが、何も治療をしていない左の方たちでは、20を下回ったのが実に60%、30を下回ったのは94%にも上りました。

館出張佐藤病院の佐藤雄一院長のデータ、不妊患者さんの9割がビタミンD不足、と全く同様の結果となりました。

次に卵巣予備能を表すAMH(抗ミュラー管ホルモン)との関係ですが、AMHが低値なほどビタミンDも不足している傾向があります。

当院でのデータも、

AMHと25OHD

AMHとビタミンDの濃度には緩やかな正相関がありました。つまり、AMHが低ければビタミンDも低い、ビタミンDが高ければAMHも高い、と言う傾向です。
一方で、不足したビタミンDを補うことで妊娠率が上昇するそうで、グラフの中に枠で囲ったビタミンDが30未満でAMHが2未満の方は、ビタミンDによってAMHの改善と妊娠率の向上が期待できると言うことになります。

さて、ビタミンDの治療によって、どれくらい妊娠が改善されたでしょうか。

VD治療による妊娠率

このグラフはビタミンDの治療を開始している方のうち、その月にどれくらいの方が妊娠したかをみたものです。

1ヶ月目はまだ妊娠率は高くなく、2ヶ月、3ヶ月と経過するうちに、6ヶ月で最大の妊娠率となりました。
VDサプリメントを1本、つまり2ヶ月で止めてしまった方も少なくないので、せめて半年は継続して欲しいと思います。

また他のデータ解析から言えるのは、

・検査後に妊娠した方たちは、妊娠しない方たちに比べて、25OHD3とAMHはほとんど同じでしたが、平均年齢が1歳若かった。

・治療後3ヶ月しても妊娠しない場合は、他の治療法も併用する。

・ビタミンDが低値であっても治療しない場合、3ヶ月ほど妊娠しなければ治療を開始する。

などです。

さらにビタミンD、もっと多くのことが分かってきています。
例えば大変多くの方が悩んでいる花粉症も、ビタミンDの不足が関係しており、ビタミンDの補充で改善するとか、妊婦さんのビタミンD不足が、お腹の赤ちゃんが産まれた後のアレルギー疾患に関係するなど。


体内のビタミンDを調べる血液検査、25OHDV3は、「不妊症」では保険適応がなく、産婦人科クリニックさくらでは、自費検査で2,860円(税込)で行っています。
残念ながら今は自費検査ですが検査会社さんとの折衝でご負担を軽くする価格設定が出来ました。

検査は月経周期など関係なく行うことができ、結果も約1週間で分かるようになりました。

ご希望の方、お話をして必要な方には随時お勧めさせていただきます。

では、ビタミンD、結果が低かった場合、どうしたらよいのでしょうか。