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妊娠していますが、コロナに罹ってしまいました。どうしたらいいでしょうか。

コロナが増えると、この記事へのアクセスが急増します。特に妊娠中に感染した時には、不安になることでしょう。

これまで妊娠中のコロナ感染のリスクを説明してきましたが、実際にコロナになったら、どうしたらいいでしょうか。

「新型コロナウイルス感染症(COVD-19) 診療の手引き・第10.0版(2023/8/21)」をまとめてみると、

・妊娠のリスクのない多くの妊婦さんは無症状、または軽症で済み、同世代女性と違いがないとされていますが、一部の妊婦さんは、特に妊娠の後半に感染すると早産率が高くなり、また患者さん自身も重症化し、死産や妊婦さん自身の生命にかかわる事態となる可能性があります。

この場合のリスクとは、年齢の高い妊婦さんや、糖尿病、高血圧、肥満などコロナの重症化リスクを持つことをさします。

・特にワクチンを打っていない妊婦さんは軽症でも、流産や早産、子宮内胎児死亡のリスクが高くなりますから、妊娠を考えている女性や妊婦さんは、ワクチンは必ず打ったほうが良いです。

・無症状や軽症で自宅療養する場合でも可能であればパルスオキシメーターで血中酸素濃度を自己測定し、SpO2が95%を下回る状態が続いたら医療機関に連絡してください。

・また、重症化のリスクがあることを念頭に、出血やお腹の張り、痛み、また妊娠中期以降は破水感や胎動の減少があるときに、かかりつけの産科に相談してみてください。

また、コロナ治療薬のうち、モルヌピラビルやエンシトレルビルは催奇形性の懸念がありますので、妊婦さんや妊娠している可能性のある女性には禁忌となっていますから、処方される際には妊娠していることを伝えましょう。

妊娠の初期のコロナ感染や、コロナワクチンの接種が、赤ちゃんの生まれつきの異常を起こさないことが報告されていますが、妊娠28週以降の感染で生まれた赤ちゃんの神経発達障害も報告されていますので、かからないに越したことはありません。

もう皆さんご存知の様に、コロナワクチンは妊娠前、妊娠初期から授乳中に至るまで、どの時期に接種しても流産や赤ちゃんへの異常はありません。

妊婦さんが軽症で回復した場合、軽くて済んだ、と思うかもしれませんが、お腹の赤ちゃんも同じ様に高熱にさらされたり、酸素が少なくなって苦しい思いをします。赤ちゃんは苦しい、とは言えません。どうか赤ちゃんのことを考えてワクチンを接種してください。

当院のコロナワクチンについては、こちらをご覧ください

文責 桜井明弘(日本産科婦人科学会専門医)

初出:令和5年8月28日
補筆修正:令和5年12月8日、26日
補筆修正:令和6年3月10日、7月18日、19日、8月8日、10月10日、コロナワクチンのご案内と、妊娠中の感染が神経発達障害の原因となる可能性を追記しました。