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妊娠していますが、コロナに罹ってしまいました。どうしたらいいでしょうか。

予想通り夏季の流行となり、この記事へのアクセスが増え、8/12には過去1年間で最も多くなっています。

さて、コロナ感染やインフルエンザ感染など、特に妊娠中に感染した時には、不安になることでしょう。

妊娠中にコロナに感染するとどのようなリスクがありますか?

これまでも妊娠中のコロナ感染のリスクを説明してきましたが、実際にコロナに罹ったら、どうしたらいいでしょうか。

「新型コロナウイルス感染症(COVD-19) 診療の手引き・第10.1版(2024/4/23)」をまとめてみると、

・多くの妊婦さんは無症状、または軽症で済ますが、一部の妊婦さんは、特に妊娠の後半に感染すると重症化し死産や本人の生命に関わる事態があります。

特にワクチンを打っていない妊婦さんは、軽症でも流産や早産、子宮内胎児死亡のリスクが高くなります。

妊婦のコロナ感染のリスクを減らすにはどうしたらいいですか?

・やはり第一にはワクチン接種です。上述したようにワクチン未接種の方は感染後のリスクが高くなりますから、妊娠を考えている女性や妊婦さんは、ワクチンは打ったほうが良いです。しかし、現在の定期接種は65歳以上が対象となり、妊婦さんはその対象にはなっていません.

また、7月末に日本産科婦人科学会など産婦人科3団体は、

「 すべての妊婦に対して一律に新型コロナワクチンを接種することは推奨しません」

と発出しました(日本産科婦人科学会など、2025)。ややこしい表現ですが、ワクチンを接種しないで、と言う意味ではありません。

但し書きとして、

「厚労省や専門学会が定める重症化リスクのある基礎疾患を合併している妊婦(中略)には、引き続き接種が推奨されます 。また、母子免疫(乳児への抗体の移行)効果を期待する(=Maternal vaccination、筆者補筆)など、接種を希望する妊婦には接種が可能です」

とあり、

重症化のリスク因子、これには、年齢 ≧ 31 歳,妊娠21 週以降の感染,妊娠前 BMI 25以上,喘息を中心とする呼吸器疾患等の併存疾患(既往・現症の存在など)が挙げられています(日本産科婦人科学会、2022)。

上記のMaternal vaccinationも期待して、ワクチンの予防効果の発現を考えると妊娠19週頃に接種するのが、今ところベストと思われます。


インフルエンザなどと同様に、任意接種となるため、自費で接種をしなければならず、コロナワクチンはとても高価なワクチンのため、接種を踏みとどまる方が多いです。なんとか妊婦さんへの接種をできれば無料に、または大幅な助成を行なって欲しいものでしたが。

・2番目は人混みや不要な外出を避けることです。これは現在の5類感染症になった現在では逆行するようなことですが、インフルエンザもマイコプラズマも、リンゴ病も、いずれも人から人にうつるわけですから、そもそも感染の機会を減らすのが重要です。

・3番目はマスクの着用です。マスクも本来ならば感染者が着けるべきですが、今のような状況になっては、着用している人がそもそも少なくなっています。せめて自分がかからないように着用することが望ましいです。

・4番目は外出後のうがい、そして手洗いや手指消毒ですが、コロナ感染の対策としての手指消毒は重要度が下がっています。しかし、手指消毒によって予防できる感染症はとても多いので、継続しましょう。

・5番目は同居家族の協力です。これまで上げてきたような対策を講じても、ご主人やお子さんからの感染は避け難いです。できるだけワクチン接種をはじめとした感染対策を協力してもらうべきです。

・最後に妊婦さんでも摂取できるサプリメントによる免疫力向上です。

ビタミンDの摂取によって、コロナ感染と重症化のリスクを低減できることは、繰り返し発表されています。

詳しくはこちらをご覧下さい。

妊婦が感染したかも、または感染したら、どうしたらいいですか?

・まずは、多くの方が感染しても未発症、または軽症で自然に治りますので、慌てないでください。

・感染が疑われる発熱や咳などがみられたら、インフルエンザなどの可能性もありますが、妊婦さんは重症化リスクが高い、と考えて、まずはかかりつけの医療機関に相談して、適切な診断を受けてください。医療機関を受診する際には事前に必ず連絡を入れ、マスクを着用するなど他人への感染予防に徹してください。

・無症状や軽症で自宅療養する場合でも可能であればパルスオキシメーターで血中酸素濃度を自己測定し、SpO2が95%を下回る状態が続いたら医療機関に連絡してください。当院でもパルスオキシメーターの貸し出しと指導を行っています。

・入院が必要となるのは中等症以上です。上のSpO2の値を目安に、また呼吸が苦しくなったら速やかに医療機関に連絡して受診してください。

・コロナの重症化のリスクがあることを念頭に、出血やお腹の張り、痛み、また妊娠中期以降は破水感や胎動の減少があるときに、かかりつけの産科に相談してみてください。

妊娠中に避けるべきコロナの治療薬はありますか?

・コロナ治療薬のうち、モルヌピラビルやエンシトレルビルは催奇形性の懸念がありますので、妊婦さんや妊娠している可能性のある女性には禁忌となっています。処方を受ける際には妊娠していることを伝えましょう。

妊娠中のコロナ感染が赤ちゃんに与える影響はありますか?

妊娠の初期のコロナ感染や、コロナワクチンの接種が、赤ちゃんの生まれつきの異常を起こさないことが報告されていますが、妊娠28週以降の感染で生まれた赤ちゃんの神経発達障害も報告されていますので、本当にかからないに越したことはありません。

よくあるご質問

妊娠中にコロナワクチンの接種しても大丈夫ですか?

もう皆さんご存知の様に、コロナワクチンは妊娠前、妊娠初期から授乳中に至るまで、どの時期に接種しても流産や赤ちゃんへの異常はありません。

妊婦さんが軽症で回復した場合、軽くて済んだ、と思うかもしれませんが、お腹の赤ちゃんも同じ様に高熱にさらされたり、酸素が少なくなって苦しい思いをします。赤ちゃんは苦しい、とは言えません。どうかお腹の赤ちゃんのことを考えてワクチンを接種してください。

当院のコロナワクチンについては、こちらをご覧ください

文責 桜井明弘(日本産科婦人科学会専門医)

初出:令和5年8月28日
補筆修正:令和5年12月8日、26日
補筆修正:令和6年3月10日、7月18日、19日、8月8日、10月10日
補筆修正:令和7年1月1日、8月15日、9月18日、予防のためにできること、にビタミンDの摂取を追記しました。