第7波の流行拡大はようやく収まってきましたが、当院に通院中の患者さんにも、コロナ感染のため、不妊治療や妊娠の診察など、中断を余儀なくされる方が少なくありませんでした。

ご主人から妊婦さん、小さなお子さんへとコロナ感染を来してしまい、なかなか妊娠の診察に来院できなかった方が後悔していました。

「やっぱり副反応あるし、若いので重症化することもないから周りの人と同じように、夫婦で3回目は止めておこう、と考えたんですよね。不妊治療で通院した折に院長先生に聞いた時も、妊娠を考えているんだから、他の人よりももっと打った方がいい、って言われたのに、第6波も収まっていたから面倒になってしまっていて。。」

「そんな矢先、タイミング指導で幸いに授かったのですが、第7波はあっという間に拡がって、最初に主人が罹ったんです。勤務先の同僚の若い方もみんな2回までしか打っていなくて。家で咳や熱が出始めた時に嫌だな、と思って、自宅内隔離したんですが、そもそも自宅内で隔離なんてできませんよね、無理でした。すぐに2歳の娘が熱を出して、受診先を探しているうちに自分もおかしいなあ、って思って。やっと発熱外来やってる受診先が見つかり、検査したら陽性でした。明日はさくらの受診日だし、数日前に少しだけ出血してしまって、お腹の赤ちゃん大丈夫かな、と。。 でも受診はできないし、主人も娘も私もぐったりしてしまって、お腹の赤ちゃんも含めて4人でもうダメかな、、って。」

ようやく外出できる日に再受診してくれて、幸いにも妊娠経過は順調でした。でもご主人は後遺症なのか、若いのに「仕事してる最中に息切れするようになってしまって。。」妊婦さんも「妊娠のせいかと思ったんですが、この子を妊娠している時よりだるくて、ほとんど横になっているんです。」と言っていました。

そして「やっぱり、先生たちも接種するようにと言うのは本当なんだな、と当たり前のことなのにやっと気づきました。こんな幼い娘にも辛い思いをさせてしまったし、お腹の赤ちゃんが無事なのか、ずっとドキドキしていて、コロナも辛いけど、そっちも耐えられませんでした。これからはこの子たちの親として、守ってあげる責任を再度痛感しました。」と語ってくれました。

*外来診療中に話してくれたことを一人でも多くの方に知って頂きたいため、許可をもらって掲載しています。

私がお話しする、妊婦さんがワクチン接種を受けた方が良いと思う理由は、

・分娩やトラブルがあって受診する際にコロナに罹っていれば診てもらえない。

ワクチンを打っていなくても、分娩を断られることはほとんどないようです。しかし、感染してしまったら受診はできません。ここでこんなお産をしたい、とずっと思い描いていても、コロナ感染の妊婦さんを受け入れられる施設は限られています。その施設の先生やスタッフの方たちも、全力で妊婦さんと赤ちゃんを守るよう努力してくれますが、その方たちにとってもリスクがあります。

また、柏市の痛ましい例を忘れかけているのかも知れませんが、出血してしまった妊婦さん、コロナ感染していて受け入れ先が見つからず、赤ちゃん亡くなってしまいましたよね。妊娠を診られて、コロナ患者さんも診られる施設となると、大変限られ、搬送先も見つかりにくいです。ましてやこのコロナ禍では、いっそう見つからないのではないでしょうか。

・妊婦さんのコロナ感染は重症化しやすい。

これは普通の風邪でも、インフルエンザでも再三言われていることですが、妊婦さんは中期から後期、子宮が大きくなりますから、呼吸がしにくい状態になります。つまり呼吸器系の感染症の重症化リスクがある、ということです。

コロナも肺炎など呼吸器感染症ですから、当然重症化が心配されますが、日本国内のデータでもそれが裏付けられています。次のページにその発表を紹介しています。

息苦しくても何日か我慢すれば治るでしょ? 確かにそうですし、大人の貴女は我慢できるかも知れませんが、お腹の赤ちゃんにも同じ思いをさせるのですか?

日本産科婦人科学会は、第7波を受けて、改めて妊婦さんへの接種を呼びかけています


さて、4回目の接種が始まっていますが、何の持病もない妊婦さんは、自分に関係のないこと、と思ってはいませんか?

4回目の接種対象は、

  1. 60歳以上の方

  2. 18歳以上59歳以下で
  • 基礎疾患を有する方
  • その他新型コロナウイルス感染症にかかった場合の重症化リスクが高いと医師が認める方

ですが、この「重症化リスクが高い」方たちの中には、「妊婦」さんもリストアップされているのです。

妊娠したのですが、本当に打った方がいいんですか? とも聞かれますが、妊娠中でも安全性とコロナ予防効果の重要性が強く言われています。

結論を申し上げると、

・妊娠している方

は、4回目までのワクチン接種を、

また、

・妊娠を考えている方

・授乳をしている方

とそのパートナー、妊娠している方のパートナーは、1日も早く、3回までのワクチン接種を受けていただきたいです。

昨年8月14日、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会の3学会は、「新型コロナウイルスワクチンについて(第2報)」を発表しました。

この中では、

・妊婦さんは妊娠の時期を問わず(=週数にかかわらず)、ワクチン接種が勧められる。

・パートナーにもワクチン接種をお願いする。

ことが明記されました。ようやく欧米諸国と同等の基準となり、これを受けて厚生労働省のQ&Aも、「妊娠初期は避けるように」の文言が消されました。

次のページでは国内外でこれまで発表されて来た、妊婦さんとコロナ感染、ワクチン接種について説明します。