横浜市青葉区東急田園都市線たまプラーザ駅 / 不妊治療や妊娠出産のエキスパート

高度生殖医療

高度生殖医療のご案内

高度生殖医療とは

タイミング法や人工授精などの一般生殖医療(=不妊治療)に対し、体外受精を中心とした高度な生殖医療技術を用いた治療で、生殖補助医療、特定不妊治療などともよばれています。

高度生殖医療は主に、

・卵巣刺激(排卵誘発)

・採卵

・体外受精または顕微授精

・新鮮胚移植または胚凍結(受精卵凍結)

・融解胚移植

の治療から成り立ちます。

生活習慣の改善を見過ごしていませんか?

高度生殖医療を行う方たちは、

  • 卵管閉塞、卵管周囲癒着などの卵管性不妊(Pick Up障害)
  • 原因不明不妊(タイミング法などの一般生殖医療を行っても妊娠に至らない)
  • 男性側に不妊因子がある
  • 卵巣年齢が高い(AMHが低い)
  • 重度の排卵障害(多のう胞性卵巣など)
  • 子宮筋腫の手術後の避妊期間、子宮内膜症の手術前
  • 年齢による不妊
  • 免疫性不妊
  • 受精卵凍結保存(受精卵バンク)

などで、現段階で高度生殖医療以外に妊娠に至る方法がなく、本方法が最も適切であると考えられるご夫婦にこの治療方法が適応されます。

治療の流れ

当院で高度生殖医療を受ける方は高度生殖医療説明動画を視聴していただいております。

説明動画で説明が足りない、理解しにくかった場合は、「さくら相談室」で説明を補足いたしますので、ご利用ください。
 

高度生殖医療は、以下の3つの周期に分けて治療が行われます。


①プレトリートメント周期(Long法の場合)

②採卵周期
卵巣刺激(排卵誘発)、採卵、新鮮胚移植または胚凍結

③融解胚移植周期

①プレトリートメント

Long法による卵巣刺激を行う場合には、採卵の前周期の卵胞発育を抑制し、採卵周期に最も効果的に良好な卵子を育てる目的で行います。

プレトリートメントの途中から、GnRHアナログの点鼻薬(ナファレリン)を開始します。採卵が決定し、HCG製剤の投与をするまで、継続してお使いいただきます。

*Long法以外では、プレトリートメントは行っていません。

プレトリートメント周期は、

以下のいずれかの周期で行います。

・OC(低用量ピル)

・カウフマン療法(2回のホルモン注射)

・自然周期

 

OC

ファボワール(1相性低用量ピル)

月経が開始したら、5日目までに内服を開始します。
(5日目以降に服用を開始できることもありますので、6日目以降はお問い合わせください)

ファボワールの3週目からナファレリンを開始します。

Pretreatment、ファボワール

 

ナファレリン

 

点鼻薬(GnRHアゴニスト、ナファレリン®︎)

カウフマン療法

40歳以上の方、AMHが1.0未満の方に行います。

月経3〜10日目にペラニンデポーを注射し、その10日後にルテスデポーを注射します。

ルテスデポーの注射とともに、ナファレリンを開始します。

自然周期

自然排卵の1週間後から、ナファレリンを開始します。

排卵日を確定するため、卵胞計測にいらしていただきます。


また、採卵、胚移植の準備として、以下の検査を行います。

採卵前検査

女性のみ:血液一般・血液型・凝固、肝・腎機能検査、糖尿病検査、AMH

ご夫婦で:感染症(梅毒、B型肝炎、C型肝炎、HIV)

男性のみ:精液検査(当院で精液検査や人工授精を行っていない場合)

ETカテーテル検査

出血が止まったら、胚移植(ET)で使用するカテーテルがスムーズに入るか検査します。

採卵前検査の結果をお伝えするタイミングで行うことがほとんどです。

流産の原因となる細菌の検査も同時に行うことがあります。

②採卵周期

D3診察

AFC

(月経開始3日目の卵巣。矢印で胞状卵胞を指す。胞状卵胞数をAFCと呼ぶ)


月経開始3日目ころに来院し、超音波検査を行います。

Long法を除き、ホルモン採血も行います。

これらの検査により、この周期が採卵に適していると判断された場合、卵巣刺激を開始します。

採卵に適していない場合にはカウフマン療法などを行い、再度、採卵周期のスケジュールを調整します。

卵巣刺激法

卵巣刺激法は、年齢とAMHの値から決定しています。

  • Long法
  • レトロゾール周期

などがあります。その方の通院スタイルや自己注射ができるか、など価値観に合わせた卵巣刺激法を開始します。詳しくは、下方の「2019年高度生殖医療治療成績」の中で解説しています。

  • Long法

プレトリートメント後に始まる出血の3日目を目安に来院し、超音波検査を行います。

胞状卵胞を計測(AFC)し、卵巣刺激の効果を予測、また卵巣に異常がないことを確認した上で卵巣刺激が開始されます。

通院で注射を行う方は、最初の2日間は、FSH(ゴナールエフ®︎)を300単位、翌日からhMGを150単位、連日投与します。

自己注射を行う方は、最初の2日間は、FSH(ゴナールエフ皮下注ペン®︎)を300単位、翌日からFSHを150単位、連日投与します。
自己注射の使用法を案内したサイトはこちらです。

ゴナールエフ皮下注ペン900


多嚢胞性卵巣(PCOS)の方は、卵巣過剰刺激症候群のリスクがあるため、上記の注射を、半量ずつ投与します。

  • レトロゾール周期

プレトリートメントは不要です。

月経が開始したら、3日目を目安に来院し、超音波検査を行います。

胞状卵胞を計測(AFC)し、卵巣に異常がないことを確認した上で、採血を行います。

院内で迅速検査を行い、FSHが7.0未満であることを確認してから内服を開始します。

採卵日の決定

D3診察後は採卵日が決定するまでの間、超音波検査を行います。

注射剤を用いた場合は4,5日毎に超音波検査を行い、クロミフェンやレトロゾールなどの内服薬では排卵のころに受診していただきます。
卵胞が18㎜くらいに発育したら、ホルモン採血を行い卵胞の成熟を確認します。

卵胞が成熟していると判断されたら、

・Long法は、

注射剤(hCGまたはオビドレル)で排卵のコントロール(トリガー)を行います。

・Long法以外は、

ナファレリン点鼻薬または注射剤(hCGまたはオビドレル)で排卵のコントロール(トリガー)を行います。

採卵前卵胞 
左右の卵巣に成熟した卵胞が出来た状態


→点鼻薬(ナファレリン)は、
採卵の2日前、20、21時に左右どちらかの鼻に1回ずつ使用します。
採卵の前日、朝8、9時にも左右どちらかの鼻に1回ずつ使用します。

→注射剤(hCG)は、
採卵の2日前、17〜18時に注射します。時間はあらかじめ相談して決めておきます。
hCGはオビドレル®︎という自己投与可能な製剤もあり、来院する手間が省けます。ご希望される方にはご指導いたします。

診察の結果から卵巣刺激の効果が発揮されない、卵胞の状態が良くないなどの判断で、また重度の卵巣過剰刺激症候群の発症が予測される場合は卵巣刺激・採卵の中止を提案することもあります。

他に採卵の2日前、1日前の夕食後、鎮痛剤「モービック®︎」を、排卵抑制のために服用します。

採卵・採精

採卵は、鎮痛剤と局所麻酔を使用し、経腟超音波下に卵胞を直接穿刺して卵子を採取します。

当日は朝食後に、抗生物質ビブラマイシン®︎2錠と吐き気を抑えるプリンペラン®︎1錠を服用して下さい。

また採卵に来院する時間(8:45〜9:15の間で決まります)の30分前に、ボルタレン座薬®︎1錠を使用して下さい

採卵当日はご主人の精液を持参していただきます。来院時間の2時間前以降に採取して下さい。
ご主人の都合が付かない場合は、あらかじめ精子を凍結保存しておきます。

採卵後の昼食の後にも、抗生物質ビブラマイシン®︎2錠と吐き気を抑えるプリンペラン®︎1錠を服用して下さい。

体外受精・顕微授精

採卵当日に行います。

・体外受精(IVF)
卵子と精子を同じ培養液の中に置いて受精をさせる方法です。

・顕微授精(ICSI)
とても細いガラス針で精子を1個、直接卵子に注入して授精させる方法です。

初回の採卵などでは、卵子の数や精液の所見により、体外受精と顕微授精を半分ずつ行うこともあります。

受精の確認と胚培養・胚凍結

採卵・受精の翌日に、正常に受精しているかを確認します。

正常に受精していれば引き続き培養を行い、当院の基準に従って胚を凍結保存します。
胚凍結には、胚同士の感染防止のため、Rapid-iを用いています。

また胚凍結の後で、結果の説明と採卵後の診察に来院して頂きます。

新鮮胚移植

子宮内膜やホルモン値の条件が良い場合、凍結せずに移植する新鮮胚移植も提案します。採卵後から黄体ホルモン腟錠を使います。

③融解胚移植周期

産婦人科クリニックさくらでは、胚移植は原則として、単一胚移植を行っています。
2つ以上の胚を移植することは、多胎妊娠のリスクがあるためです。

融解胚移植は、以下の2つの周期で行います。

  • ホルモン補充周期
  • 自然周期
胚移植日決定
  • ホルモン補充周期では、子宮内膜の厚さと患者さんの都合から胚移植日を決めます。
    まず、ル・エストロジェル(エストロゲン製剤)で子宮内膜を徐々に厚くしていきます。適度な厚さ(10mmが目標です!)になったところで、胚移植の日程を決めます。胚移植日から逆算してワンクリノン腟用ゲル(黄体ホルモン製剤)の開始します。
    基本的にホルモン補充周期では卵胞発育が抑えられますが、時々卵胞が出来て、排卵日を基準に胚移植の日程を決めなければならないことがあります。
    ホルモン補充周期にお渡ししているスケジュール表は以下のものです。

  • 自然周期では、子宮内膜の厚さと排卵日から胚移植日が決まります。
    分割期に凍結した受精卵は、排卵日から2日後に融解して胚移植します。
    胚盤胞で凍結した受精卵は、排卵日から5〜6日後に融解して胚移植します。
胚移植当日

着床しやすくするため移植する培養液には、エンブリオグルーを用います。
胚盤胞移植では基本的にアシステッドハッチング(透明帯に切れ目を入れる)を行います。

現在の胚移植施行日時はこちらをご覧ください。

胚移植後の過ごし方はこちらをご覧下さい。

妊娠判定日

排卵日から2週間後に来院していただき、採血でHCG(妊娠性ホルモン)を測定して判定を行います。
妊娠判定陽性の方はこちら

2019年高度生殖医療治療成績

毎年更新している高度生殖医療の治療成績をアップデートしました。
最後に2020年の最新の治療戦略についてもまとめていますので、どうぞご覧下さい。

採卵周期エントリー数

 

採卵の周期が開始したのをエントリー、として、217周期ありました。

しかし、途中で採卵をせずにキャンセルしたのが26周期、12%ありましたが、昨年に比べ4%減りました。

その内訳で最も多かったのは、卵胞が発育しなかったり、発育したもののE2(エストラジオール)が上昇しない、つまり良い卵子が育たない「(卵胞)発育不全」で、次いで排卵させるホルモン、LHが予想より早く高くなってしまった「LHサージ」が続き、「その他」には、採卵が出来ない場所に卵巣が位置していたり、カップルが希望しているよりも少ない卵胞しか発育しなかったためキャンセルすることが多かったです。

最終的に191周期の採卵が行われました。

採卵と胚移植数

2019年の採卵と胚移植を行った患者さんと周期数です。

患者さんの平均年齢は36.3歳で、これまでほとんど変わっていなかったのですが、2017年から、少しずつ低年齢化しています。

平均回収卵数は5.8±4.6個で、統計学的にばらつきがあることから、少ない方から多い方まで様々であることがわかります。

受精方法は、体外受精が44%、顕微授精とSplit ICSIを合わせて52%、約半数は顕微授精を行っています。
卵子採れず、とは、採卵しても卵子が取れなかったり、未熟卵、変性卵のみで、正常な成熟卵が得られなかったり、排卵してしまっている場合で、3.7%ありました。採卵前に内服して頂いている鎮痛剤やDHEAの服用によって、毎年その割合は減っています。

胚移植では妊娠反応が見られた、いわゆる妊娠率は52.8%でした。過半数で妊娠反応が見られる、ということです。
「臨床妊娠率」とは、赤ちゃんが入っている袋(胎嚢)が見られることで36.0%、妊娠率との差、16.8%は妊娠反応が出ただけで流産になってしまう、いわゆる「化学流産」です。
赤ちゃんの心拍が見られたのは34.6%で臨床妊娠率との差、1.4%は枯死卵という流産です。

最終的に出産率は30.4%で、心拍確認後に4.2%が稽留流産となってしまいました。

特記したいのは、出産率で、高度生殖医療を始めてから毎年上昇してきたものの、2017年は、わずかながら下がってしまいました。2018年はV字回復し、過去最高の成績でしたが、2019年はさらに上回り、最高記録を更新しました。

採卵時年齢分布

採卵の際の患者さんの年齢分布です。30代前半の方が増えて、30代後半の方と37%ずつでした。41歳以降が19%、残りが30歳までの20歳代の方達で、例年とほとんど変わりはありません。

それではそれぞれの年代で、どれくらいの妊娠が望めるのでしょうか。

年代別妊娠率

2019年、胚移植あたりの年代別妊娠率です。

色がついているのが妊娠で、灰色が妊娠しなかった胚移植の周期です。
色分けは、赤が化学流産、緑が枯死卵、紫が稽留流産、そして青が出産されたことを表します。

一般的に妊娠率はこの色がついた部分を指し、臨床妊娠率は胎嚢以降、つまり緑、紫、青を指します。

当院のデータでは、原則としてこの色分けをしています。

注目して頂きたいのは、青色の「出産率」で、30代前半と後半で前年を上回りました。特に30代前半は2年連続で増加、実に47%の出産率です。また30代後半も3年連続で増加しています。

続いて2008〜2019年、12年間のデータです。

これも青色の出産率を見ると、20代では37%、30代前半では31%、30代後半では23%、41歳以降でも5.4%となり、12年間の出産率は、31歳以降で過去最高となりました。


さて、胚移植には、

  • 新鮮胚移植
  • 融解胚移植

の方法があります。

多くの患者さんで、受精卵を一度凍結保存し、次の周期以降に融解胚移植を行うことが多く、妊娠率も高い方法で、現在国内の多くの施設では新鮮胚移植が行われなくなっています。

当院でも多くの胚移植が融解胚移植で行っていますが、新鮮胚移植の条件に合わないことが多いためです。

一方で適応条件さえ整えば、新鮮胚移植でも次に示すように、良好な出産率が得られます。

新鮮/融解胚移植成績

子宮内膜の厚さや卵巣の腫大、採血したエストラジオール(E2)値によって新鮮胚移植の施行条件を定めていますが、これらの条件をクリアすると、出産率は、新鮮胚移植の方が高かったです。

グループ別の内訳を見ると、Aグループは卵巣機能が良いため、Long法のように卵巣刺激が強いとほとんどの周期でE2が高くなり、新鮮胚移植が行えませんでした。またDグループでは2018年も低い傾向でしたが、2019年は新鮮胚移植で出産になった方がいませんでした。

B、Cグループでは半数、過半数の周期で出産に至っています。

周期数は少ないのですが、2019年は最も新鮮胚移植の出産率が高く、新鮮胚移植は凍結して後で胚移植をする手間やコストが省けるため、妊娠には近道でコストを抑えられる方法、と言えます。


さて、融解胚移植の周期には二つの方法があります。

・自然周期

・ホルモン補充周期

です。

それぞれのメリット、デメリットや出産率をみてみましょう。

融解胚移植周期別妊娠率

2017年と同様、2019年も自然周期とホルモン補充周期に出産率の違いはありませんでした。

自然周期融解胚移植は、排卵日から5,6日後、または2日後に行われる一方で、ホルモン補充周期は、胚移植日を任意に設定できることが多く、仕事をしながら治療を続けている方にとっても選択しやすい方法と言えます。


次は、受精卵のグレードと妊娠・出産率の関係について紹介します。

グレード別妊娠率/胚移植あたり

受精卵はその見た目で評価され、グレードが付けられます。
胚盤胞の場合、赤ちゃんになる部分と胎盤になる部分の細胞数をそれぞれをA〜Cに分類し、赤ちゃんになる部分、胎盤になる部分の順でAA、BB、CBのように表現します。

Aは細胞数が多く、Cはほとんど細胞がない、と言う意味で、グラフの左ほど良い受精卵であるとされています。

色のついた妊娠率、特に青の出産率は、おおむね左から右にしたがって、少なくなるのがおわかりになるかと思います。

最高評価のAAから、BAやCAは胚移植あたり50%以上の出産率でした。
一般的にはBBまでが良好胚で、CBより右は不良胚とされますが、CBで30%、BCでも約24%、つまり3〜4回の胚移植で一人の赤ちゃんが産まれているため、決して悪い胚とは言い切れません。
CCの評価では出産することがないため、産婦人科クリニックさくらでは凍結、胚移植の対象外としています。

良い受精卵を得ることが妊娠・出産率を高める、と言うことがお分かりになると思います。


次は、2017年から公表しているデータですが、BMI別の妊娠率です。

BMI別妊娠率

BMI(Body Mass Index)は体重・体格指数の一つで、身長と体重から簡単に求めることができて、様々な科学的根拠が示されているものです。

BMI=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

で計算できます。例えば身長155cm、体重50kgであれば、50(kg)÷1.55(m)÷1.55(m)=20.8と求めることが出来ます。

BMIに科学的根拠が示されているのは、BMI 22が、最も疾病率(病気をする確率)が低く、最も平均寿命が長いため「標準体重」とされています。
また、海外のデータでも、21.5が最も排卵障害が少ないことが示されています(Rich-Edwards JW et al. 2002)。

これらを根拠に、日本肥満学会(2016)はBMIを

・18.5未満:低体重

・18.5〜25:普通体重

・25以上:肥満

と定めています。

上のグラフから、2015年から採卵した患者さんで、BMI 25.0までは出産率にほとんど違いはありませんが、最も出産率が高かったのは、25.1以上の方たちで、標準体重を含む21.1〜25.0の方たちよりも有意差がありました。

しかし、16.5以下、29.5以上では出産した方はほとんどありませんでした(日本産科婦人科学会で発表、2018)。BMIが低いと栄養状態が悪く、BMIが高いと出産率が高まりますが、高度の肥満では悪影響を及ぼす、と考えています。


次は胚移植回数別の妊娠率、つまり、何回目の胚移植で出産をしているか、を紹介します。

これはある意味、皆さんの治療回数の目安になると言えるかもしれません。

採卵・胚移植回数別妊娠数

採卵回数別出産数胚移植回数別出産数

2008年から2017年10月までの約10年間に行った採卵・胚移植で、何回目の治療で出産に至ったか、を表しているもので、毎年同じ傾向です。
横軸はそれぞれ採卵、胚移植回数、縦は出産に至った場合を、累積して表しています。

この間に当院での初回治療で210名の赤ちゃんが産まれました。二人目以降のお子さんはこの統計には載っていません。初回の採卵、また初回の胚移植で、実に55〜57%が出産しています。これは、この治療法がカップルにとって最適であれば、早いうちに妊娠が成立する、ということを表しています。 その数は2回目、3回目と増え、3回目までに87%、6回目では98%と、ほとんどが出産に至っています。

では、3回、あるいは6回目で妊娠しなければ、妊娠を諦めるのか。

これはとても重要な問題ですが、産婦人科クリニックさくらでは、良好胚を複数回移植しても妊娠しない場合、着床障害の検査サプリメントによる栄養補助、生活習慣指導、漢方専門外来、また理学療法を勧め、妊娠率向上を目指しています。

採卵では12回目、胚移植では15回目に出産をされた方が一番回数が多かったことから、7回以上の採卵、胚移植は意味がない、とは言い切れません。

何回まで治療を受けるか、カップルの価値観を重視しています。


ここまで見てきたように、産婦人科クリニックさくらでは、高度生殖医療の治療成績を毎年振り返り、より妊娠率の高い方法を皆さまにお勧めしています。

2020年に定めた「治療戦略」を紹介します。

まず、年齢とAMH値によって卵巣機能を5つのグループに分け、それぞれの治療方針を立てています。

  • Aグループ;40歳以下でAMHが3.0以上
  • Bグループ;40歳以下でAMHが1.0~3.0
  • Cグループ;40歳以下でAMHが1.0未満
  • Dグループ;41歳以上
  • 多嚢胞性卵巣(PCOS)またはそれに準ずる方で、AMHが5.0以上が目安です。

このAMH値ですが、3.0=33歳相当、1.0=43歳相当です。

これらのグループ別に、治療前に行う準備、卵巣刺激法、受精卵の培養期間を定めています。表にすると、以下のようになります。

卵巣機能に応じた新しい治療法の選択

治療前の準備(採卵までの治療)

Aグループの方は卵巣機能が良く、妊娠率もとても高いため、治療前の準備を特に行う必要がありません。胚移植の前の周期から、葉酸の摂取を開始してください。
B~Dグループの方たちには、4種類のサプリメントを服用して頂くことをお勧めします。
厳密にはMVMとARTサポートがサプリメント、DHEAメラトニンは医薬品に分類されるため、後2者は服用前に同意書にサインを頂いています。
これらのグループの方たちは、4種のサプリを服用して頂いた方が、妊娠率が向上します。
Dグループの方たちには、さらに妊娠しやすい体質に改善するため、当院の漢方専門外来、生活習慣指導、理学療法もお勧めしています。少なくともARTサポートとDHEAは服用することをお勧めしています。
多嚢胞性卵巣(PCO)の方は、AMHが高いもののビタミンD不足であることが多いため、血中のビタミンD濃度測定と、低値である場合、ビタミンDが含まれたVD、またはMVMのサプリメントを勧めます。

卵巣刺激法

採卵までに卵胞を育てる方法です。

A、B、C、PCOグループでは、Long法が最も妊娠率が高いです。
Long法は毎日注射通院が必要ですが、自己投与の注射が可能な方には別途ご指導させて頂きます。

( )を付けているのは、Long法が出来ない方、つまり連日の通院や自己注射が出来ない場合で、レトロゾールを内服して治療します。

Dグループの治療成績が思わしくないため、Long法を導入します。

培養期間

採卵後の体外培養期間です。

A、B、Cグループ、多嚢胞性卵巣では採卵後5または6日目まで胚盤胞まで育て、Dグループは分割期である2日目まで体外培養します。

卵巣機能が低下すると長期間の体外での培養に受精卵が耐えられないことが多いため、Cグループの方も、良好胚が得られない場合は培養期間を短縮します。

新鮮胚移植/凍結融解胚移植

採卵した周期に体外培養を経て胚移植するか、胚凍結して次の周期以降に融解胚移植を行うか、です。

以下の条件であれば新鮮胚移植が可能です。
すなわち、

  • 子宮内膜が10ミリ以上に達している
  • 採卵前のE2(エストラジオール)値が1000以下
  • 両側の卵巣腫大がない、か軽度である
などです。Dグループの方は、全ての受精卵を凍結します。
これらの方法はあくまでもこれまでの妊娠率の高い方法から決定しました。

治療を受けるカップルのご都合や価値観を共有し、より良い治療法の選択を一緒に考えていきたいと思います。

最後に高度生殖医療の新しい考え方「受精卵バンク」という概念について説明します。

「受精卵バンク」とは?

高度生殖医療では、他の治療では不可能な、受精卵を凍結して保存しておくことができます。

卵巣機能が低下する前に、パートナーがいなくても「卵子凍結」しておくのと考えは似ています。

パートナーがいる場合、そのパートナーとの「受精卵」を凍結保存しておくのが卵子凍結とは異なる点で、卵子凍結よりも高度生殖医療として実績のある受精卵凍結の方が推奨されます。

さて、高度生殖医療は、一般的な夫婦生活で妊娠、出産するのと異なり、きわめて計画的な妊娠に取り組む、といえます。

それはある意味で、人工的で、不自然な妊娠と感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかしながらそのメリットを最大限発揮することができる一つが受精卵凍結です。

たとえば、今妊娠すると、出産後に次のお子さんを希望するのは、いつ頃になるでしょうか。

妊娠、出産、授乳を経て、ある程度してから次の妊娠に取り組むと思うのですが、早い方でも妊娠から1年以上、ほとんどの方が2〜3年後に相談にいらっしゃいます。

単純に計算して、今から2、3歳、先です。

卵巣機能が良く妊娠が直ぐできた方や、たくさんの良い受精卵を凍結して保存できた方に比べると、なかなか良い受精卵ができなかった場合、次のお子さんを希望するときには今より年齢が高くなるため、さらに治療回数が必要となる可能性があります。

ここで、当院の高度生殖医療でお一人授かった方が、次のお子さんを妊娠するまで胚移植を何回行ったか、を示します。

受精卵バンク

人数は多くありませんが、ほとんどの方は、1回の胚移植で次のお子さんを出産しています。中には、2回、3回、5回かかった方もあります。

つまり、採卵後胚移植をする際に、残り1個ではなく、できれば3個以上の良い受精卵を凍結保存できていると、次の妊娠も胚移植だけで可能かもしれません。

また、この回数を出産できたか、で比較すると、

出産できた方の平均胚移植回数は1.5回、それに対して出来なかった方は平均2.3回行いました。

こちらのデータからも、やはり3個以上の凍結保存した受精卵があると妊娠・出産ができるかも知れない、と考えられます。

この受精卵バンクの考え方をもう少し明らかにできる様に、こちらもさらに解析を進めていますので、改めてお示ししたいと思います。

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