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排卵誘発剤「レトロゾール(フェマーラ)」 ~効果と副作用~

「レトロゾール(フェマーラ®)」は、日本では「閉経後乳がん」が保険適応とされてきましたが、すでに10年以上も前から生殖医療(不妊治療)や体外受精などの生殖補助医療(高度生殖医療)で、排卵誘発剤として使われてきました。

令和4年4月の不妊治療の保険適用を受けて、「多のう胞性卵巣(PCOS)」「原因不明不妊」の排卵誘発剤として晴れて保険適用薬となりました。

排卵誘発剤には大きく分けて内服薬と注射剤がありますが、内服薬は卵巣を刺激する効果が弱く、注射は刺激が強いです。

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レトロゾール

内服薬の中で最も有名で、最も多く使われているのが「クロミッド」。

そして、よりマイルドな刺激で知られているのが「レトロゾール(フェマーラ®)」です。

その薬理作用(抗エストロゲン作用)を応用して排卵誘発剤として使用されてきました。

生殖補助医療では、当院では最も治療成績の良い、ロング法を勧めていますが、連日注射が必要なため、毎日の通院か、自己注射が必要です。しかし、このような方法が取れない方には、内服薬で済むレトロゾールを内服して採卵する方法を勧めています。

レトロゾールは特に多のう胞性卵巣(PCOS)の患者さんで、クロミッドより妊娠・出産率が高くなり、肥満の方に、より有効、とされています。

内服方法(用法)は、

・月経開始3日目から1日1錠内服、5日間

ですが、効果が乏しい場合は、次の周期に1日2錠に増やすことができます。

内服後、月経の12日目頃から、超音波で効果を確認します。


レトロゾールの特徴として、

卵巣から分泌されるエストラジオール(E2)値が低くなることがあります。レトロゾールの抗エストロゲン作用のためで、低いと卵子が悪い、妊娠しにくい、と言うことにはなりません。

副作用はほとんどありませんが、眠気が現れることがありますので、自動車の運転には注意して下さい、とされています。あまりお困りになっている方はいらっしゃらないようです。また頭痛なども見られることがありますが、一般的には軽度です。

服用にあたっては、飲み忘れがあった場合、気付いた時になるべく早く服用して下さい。
1日以上経った場合には、まとめて服用せず、5日間服用する予定が6、7日間にわたっても治療効果への影響は少ないです。

飲み合わせ(相互作用)としては、抗真菌剤、睡眠導入剤などとの併用に注意が必要です。

薬価は、排卵誘発剤としての保険適用の場合、1ヶ月分、5錠で110円ほどです。


生殖補助医療で用いられる方法は、以下の動画、16:08から「フェマーラ周期」として解説しています。

初出:平成30年10月12日
補筆修正:令和2年1月24日、3月28日、6月8日、7月14日、8月4日
補筆修正:令和3年3月28日、4月10日、9月2日、4日、12月31日
補筆修正:令和4年3月17日、7月26日、11月16日
補筆修正:令和5年2月21日、10月9日、12月28日