生殖医療(不妊治療)では、排卵誘発剤がよく使われます。

その中でも、最も多く処方されているのが、このクロミフェンクエン酸塩ではないでしょうか。

商品名はクロミッド®。医師国家試験でも取り上げられるほど、とてもメジャーな薬剤です。

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クロミッドは内服の排卵誘発剤の代表的なもので、さまざまな原因による
排卵障害
・ 不妊症
・ 排卵期のエストロゲン(E2)が十分に高くならない
黄体機能不全
などの治療に広く用いられ、すでに40年を過ぎた臨床使用経験があります。

クロミッドは1日量が1錠(50mg)~3錠(150mg)(1日量3錠は、保険適用外です)。

服用方法が少し特殊ですが、月経周期の5日目から5日間内服します。この内服法で、排卵日は平均的に14日目頃になりますが、患者さんによって異なり、もっと早く、12日目くらいに排卵することもあります。

自然周期では通常1個の卵胞が排卵するのに対し、クロミッドでは、1~5個の排卵があります。クロミッドによる多胎妊娠は、考えられているよりも多くなく、自然周期の妊娠で1%に対し、4%であることが報告されていますが、品胎(三つ子)妊娠はほとんどなく、もちろん単胎妊娠の場合、妊娠後の赤ちゃんへの影響もありません。その他、内服中の嘔気、頭痛、めまい感が稀にみられたり、物がかすんで見える視覚症状、体温上昇があることがありますが、重篤な副作用はほとんどみられません。視覚症状が強いときには眼科受診も勧められています。

また治療のバリエーションとして、プロラクチンを下げるカバサールや、テストステロンの作用を減弱させるアルダクトン、インスリン代謝改善剤であるメトグルコ、その他ステロイド剤であるプレドニンや漢方薬などを内服しながら排卵誘発効果を高めることもあります。

クロミッドは内服終了後、1週間ほどで卵巣刺激効果が弱まってしまうため、そのころから再度内服を始める2段投与、3段投与、といった内服方法もあります。

卵巣過剰刺激症候群(OHSS)の発生は、注射剤と比べてほとんどありませんが、排卵障害が重い方の一部にみられることがあります。
その他問題となるのが、子宮頚管粘液の減少と子宮内膜の菲薄化で、これらがかえって妊娠率を低下してしまうことです。この問題点を解決するため、誘発剤をクロミッドからレトロゾールに変更することを提案することがありますが、レトロゾールは排卵誘発効果がクロミッドに比べて弱いです。

クロミフェンクエン酸塩には、クロミッドの他、セロフェン、クロミフェンクエン酸塩錠50mg「F」、オリフェン、スパクロミンの同等品薬があります。