不妊治療(生殖医療)において、受精した卵(胚)が「着床」する子宮内膜は、とても重視されています。

着床する際、子宮内膜は胚(受精卵)にとって、簡単に言えば、ベッドに例えられます。

良質なベッドであれば着床しやすく、子宮内膜の厚さが薄い場合、せっかく作られた胚も着床することが出来にくくなります。

理想的な子宮内膜の厚さは、10ミリ以上であったり、8ミリや7ミリ以上であったり、いくつかの説がある一方で、「厚さとは無関係」であったり、厚さよりも内膜パターン(均一に白色)との関係が重要とも報告されています。
内膜が薄くても着床が出来る場合もあり、一概には言えませんが、薄い内膜はやはり妊娠率が低い印象があり、なるべく厚くすることも目指して治療を行っています。

子宮内膜が薄くなる理由として、

・ホルモン不足(黄体機能不全=黄体ホルモンやエストラジオールの低下)

・過去の掻爬手術(流産や人工妊娠中絶)、帝王切開術、筋腫核出術など

排卵誘発剤(特にクロミッド)の副作用

子宮筋腫や子宮腺筋症による圧排

子宮内の炎症(子宮内膜炎)

・血流不足(年齢の上昇、栄養や運動不足、肥満など)

が主にあげられます。

対策としては、

・ホルモン不足→エストラジオール、黄体ホルモンの補充=内服など

・排卵誘発剤(特にクロミッド)の副作用→可能であれば他剤(レトロゾール)への変更か、クロミッドの減量

・子宮筋腫や腺筋症による圧排→偽閉経療法や手術療法。ただし妊娠できない期間を伴います

・子宮内の炎症(子宮内膜炎)→子宮内の細菌検査を行い、必要に応じて抗生物質内服やサプリメント摂取

・血流不足(年齢の上昇、栄養不足、肥満など)→ビタミンD、ビタミンE、ビタミンCや漢方薬(柴苓湯など)、コラーゲンプラセンタサプリなどの栄養補充や統合医療(理学療法など)

を行いますが、様々な方法を試みてもなかなか改善されない場合もあります。

アルギニンは、アミノ酸の一つで、けがや感染の治癒に必要とされます。コラーゲンの生成を促進し、創の治癒を早める効果があります。

上に挙げたように、コラーゲンの生成に関するため、月経で剥がれ落ちた内膜の増殖には効果がある可能性があります。

また腸内でポリアミンやNO(一酸化窒素)の合成に関わることが知られ、ポリアミンはアンチエイジングや免疫機能の調整に、またNOは血管拡張作用から血流改善が期待されます。

Poor Responderと言って、卵巣機能低下により、排卵誘発剤への反応が悪くなっている患者さんで、アルギニンを摂取することにより、子宮や卵胞の血流が改善され、採卵キャンセル率の低下、採取卵数を増やし、胚移植も増え、妊娠もみられた報告があります(Battaglia C. et al、1999)。

また男性においては精子形成や男性の性機能障害の改善効果が期待されます。


アルギニンは肉類やナッツ、大豆などに含まれていますが、代謝が早く、常に供給が必要です。

アルギニンはサプリメントとして摂取することも可能ですが、通常量であれば安全性が高いです。

産婦人科クリニックさくらの患者さんで、子宮内膜が薄い方を対象に、アルギニンの効果を検証してみました。次のページで紹介します。