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着床障害の原因対策、ERA検査(子宮内膜着床能検査)のご案内

受精卵の着床障害の原因を検査する方法として、「子宮内フローラ検査」と子宮内膜着床能検査「ERA検査」を行っています。

ERA検査1

ERA検査とは、子宮内膜の着床に関して、胚移植のタイミングを評価することを目的としたものです。

子宮内膜の着床に適した期間(これをWindow of implantation=「着床の窓」と表現されます)は、これまで排卵から5〜6日、とされてきましたが、患者さんによっては、少し早かったり、遅かったりする方が最適であることが分かってきました。

ERA検査は、個人個人の着床に適した期間を特定する検査で、ERA検査を行った後に胚移植をすると、検査をせずに胚移植した場合に比べて妊娠率が24%上昇する、と報告されています。

またEndomeTrioと言って、子宮内フローラ検査を同時に行うこともできます。
これには慢性子宮内膜炎を起こす細菌を検査するALICE検査と、子宮内を正常に保つラクトバチルス(乳酸桿菌)を検査するEMMA検査を含みます。

検査を行う対象は、

・良質な胚を移植したにもかかわらず、着床しなかった(妊娠しなかった)

・妊娠反応は陽性であったものの、「化学流産」だった

・胚移植の成功率を高めるため、胚移植前に行っておきたい

・まだ一般生殖医療しか行っていないが、不妊の原因が不明である

方です。

検査方法は、「融解胚移植を行う周期」と同じ方法をとります。当院では融解胚移植は、

・フェマーラ(レトロゾール)周期胚移植

・自然周期胚移植

・ホルモン補充周期胚移植

を行っています。

ホルモン補充周期の場合は黄体ホルモン投与から5日後に検査します。自然周期では、卵胞発育を待ち、LHサージが開始、またはhCG投与やブセレリン点鼻を使用してから6〜7日後に行います。

子宮内フローラ検査と同様、超音波検査、腟内洗浄の後、子宮内膜を採取します。子宮体がん検査と似ています。検査は個人差がありますが、痛みを感じることがありますので、検査前に鎮痛・除痛処置をしておくこともあります。検査後、数日の間、少量の不正出血が続きますが、まれに多めの出血となることがあります。

検査後、ホルモン補充周期の場合、ホルモン剤の使用を中断します。

検査結果は3週間後に来院していただきます。

ERA3

ERA4

結果に基づき、次回胚移植のタイミングをお伝えします。

結果によっては、検査日をずらした再検査をお勧めすることがあります。

また子宮内フローラ検査での異常があった場合、ラクトバチルスの腟用サプリメントやラクトフェリンのサプリメント、抗生物質を服用し、治療した後で再検査をお勧めすることがあります。

検査料金はいずれも税込で、

・初回検査 132,000円

・再検査 104,500円

・再々検査 52,800円

・EndomeTrio 165,000円
(ERA検査と子宮内フローラ検査を同時に行えますが、子宮内フローラ検査を先に行うことをお勧めします)

です。

最後にインフォームドコンセントを提示します。

ERA検査ご案内(患者さん向け)インフォームドコンセント

尚、他施設で生殖補助医療を受けられている方は、主治医の先生から胚移植周期の治療法を含めた紹介状をご持参下さい。エラ エマ アリス

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

(初出:平成30年11月29日)
(補筆修正:平成30年12月20日)
(補筆修正:平成31年4月18日)
(補筆修正:令和元年10月5日)
(補筆修正:令和元年11月28日)
(補筆修正:令和2年3月25日、5月27日)
(補筆修正:令和3年3月12日、23日、10月19日、12月18日)
(補筆修正:令和4年10月18日、12月1日)