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自己投与が可能な排卵誘発剤「ゴナールエフ皮下注ペン」の動画を紹介します。

主に生殖補助医療Long法PPOS法やアンタゴニスト法、また一般生殖医療で難治性の排卵障害で使われている、自己投与が可能な遺伝子組換えヒト卵胞刺激ホルモン製剤(リコンビナントFSH製剤)、「ゴナールエフ®」皮下注ペンですが、取り扱いと注射の方法を紹介した動画のリンクです

同じ自己注射ができるFSH製剤「レコベル®」にも動画リンクを紹介していますので、併せてご覧ください。

現在これらの自己注射製剤の供給が不安定で、治療開始時に在庫がない状況があります。そのため、自己注射での治療を希望される方は、「レコベル」「ゴナールエフペン」のいずれの動画も視聴しておいてください。

ゴナールエフ皮下注ペン900

FSHとは「卵胞刺激ホルモン」のことで、もともと頭の下垂体から分泌されているものです。これを薬として使うことで、「排卵誘発(卵巣刺激)」することができます。またエストロゲン分泌が増えるため、子宮内膜が厚く作られます。

注射による排卵誘発剤には、「hMG」「u-FSH」「r-FSH」の3種類があります。

ゴナールエフは「r-FSH」です。


r-FSH(リコンビナントFSH)製剤

リコンビナントとよばれる技術を用い、尿由来ではない、100%純粋なFSHの製剤で、現在国内では「ゴナールエフ」という製剤のみが使用可能です。尿由来のu-FSH製剤と比べて、若干コストがかかりますが、純粋で夾雑物がありません。
LHは「LHサージ」で知られるように、排卵させるホルモンで、hMGやu-FSHにはわずかに含まれていますが、r-FSHには「LH」が全く含まれないため排卵誘発効果はHMGに比べて弱く、「卵巣過剰刺激症候群」「多胎妊娠」の発生率が低下します。

FSH製剤は、簡単に自己投与が行なえるためのペン型の皮下注ペンが発売されており、連日注射のために通院する手間が省けます。

自己投与を行うには、あらかじめここで紹介した動画をご覧になって頂きます。

使い方は、ゴナールエフ皮下注ペンの先端に注射針をセット(ねじ込み式)し、ゴナールエフ皮下注ペンの液量をセット(ダイアル式)、腹部や大腿部をアルコール消毒して注射、注射部位に小さな絆創膏のようなテープを貼ります。

初回の自己投与はスタッフから直接指導し、

・ゴナールエフ皮下注ペン(450または900単位)
・注射針(29G)
・消毒用アルコール
・注射部位に貼るテープ

をセットにしてお渡しします。

この治療により、連日注射のために通院しなければならないことから解放され、通院の手間が省けます。

費用は高度生殖医療など自費診療で行う場合、税別で、以下のように令和3年7月12日より価格が変更になります値段 価格

・ゴナールエフ皮下注ペン450単位(治療周期初回) 43,340円→43,120円

・ゴナールエフ皮下注ペン450単位(同一周期追加) 28,270円→28,050円

・ゴナールエフ皮下注ペン900単位(治療周期初回) 65,780円→64,240円

・ゴナールエフ皮下注ペン900単位(同一周期追加) 50,380円→48,840円

です。

生殖補助医療や、一般生殖医療でも使用が必要な場合は保険適用となるため、上記の約3割程度のご負担となります。

おおむね月経開始から3日目に投与を開始します。

また、1日の使用量はAMHの値などを参考にして、75〜300単位となります。ゴナールエフペンでは、最小12.5単位ずつの微調整も可能です。
処方量は900単位や少なくて済む予想では450単位、また300単位を処方します。


現在の所、HMGによる排卵誘発と、FSHによる排卵誘発では、妊娠率に大差はありませんが、Long法では基本的に3回目以降の注射は通院で注射するHMG製剤が用いられるため、連日通院できない方にFSHの自己投与をお勧めしています。

副作用は、添付文書には多く記載されていますが、最も注意するのは、卵巣過剰刺激症候群です。

排卵誘発剤は、卵巣を刺激し、排卵させたり、より多くの卵胞を育てたりする薬剤ですが、効果が強すぎると卵巣過剰刺激症候群を来すことがあります。

多嚢胞性卵巣や2度無月経では、卵巣過剰刺激症候群を来たしやすいため、注意が必要です。

その他、一般的に薬物療法の副作用としてみられる頭痛や眠気などは、まれですが起こることがあり、よくご質問いただく、太る?ということはほとんどありません。


生殖補助医療の治療成績の解説動画をアップデートしました。

文責 櫻井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:平成30年11月11日
補筆修正:平成30年12月20日
補筆修正:令和2年2月4日、3月8日、10日、6月20日、11月12日
補筆修正:令和3年3月31日、7月8日
補筆修正:令和4年5月27日、8月26日、10月17日
補筆修正:令和5年3月9日、12月8日、12日、最小調整単位を追記しました。