11月の子宮頸がん予防啓発月間「ティール&ホワイトリボンプロジェクト」を機会に、2010年からの12年間に、産婦人科クリニックさくらでHPVワクチンを接種した患者さんの推移と傾向をまとめましたので、その歴史的背景とともに解説します。

2010年から2021年10月までに、当院でHPVワクチンを接種した方は654名でした。

この中で重篤な合併症、副反応が見られた方は、幸い皆無でした。つまり重い合併症は0.15%以下、と言えます。

一つ目のグラフは各年毎のHPVワクチン接種患者さんです。年をまたいで接種した方は、初回接種の人数に含みました。

二つ目はその内訳で、

・2価ワクチン(サーバリックス)

・市2価ワクチン(横浜市助成対象)

・4価ワクチン(ガーダシル)

・市4価ワクチン(横浜市助成対象)

・9価ワクチン(シルガード)

に色分けしました。

併せてご覧になると傾向がわかりやすいです。

2009年12月、2価ワクチン(サーバリックス)が販売開始されました。

2010年は、121名の方が、2価ワクチンを接種しました。

2011年、公費助成が行われるようになり、8月には4価ワクチン(ガーダシル)が発売され、2価ワクチンとともに助成接種が行われ、早くもこの年がHPVワクチン接種のピークとなりました。2価と4価の比率も早くも同等となり、助成対象が全体の77%を占めました。

2012年は、前年に助成対象者がほとんど接種を開始したため、新たに接種を開始された方は減少、反面、非助成対象者数・比率が増え、ほとんどの方が4価ワクチンを選択していました。

2013年、HPVワクチンは大きな転機を迎えます。この頃、各メディアは副作用・副反応がみられた患者さんの映像を、繰り返し報道するなど、ワクチンの利点を置き去りにしたネガティブキャンペーンを続けました。そして4月1日、定期接種が開始された矢先の6月14日、厚労省は「積極的な勧奨を差し控える」との立場をとり、一気にワクチンを接種する方が激減しました。

翌2014年、信じられないことに、新たにワクチンの接種を開始した方はたったの1名。この傾向は2018年の4名、まで5年間続き、この間ついに2016年は横浜市の助成を受けた方が皆無でした。

しかし2018年頃から、健康意識の高い方たちを中心に、外来でもこのままワクチンを受けなくていいのか、と言う質問が増えてきました。

2019年、2020年と徐々に接種者が増えて来ており、ようやく今年2021年はまだ10月までの統計ですが、ピークであった2011年の45%(4価と9価)、助成対象(4価)も30%に達するようになりました。これには、

2020年12月の、4価ワクチンの男性への適応拡大

2021年3月、9価ワクチン(シルガード9)の販売が大きく、助成対象者でも9価を選択する方が少なくありません。2021年10月までは、9価を選択した方が37%に達しました。

そして、HPVワクチンの積極的勧奨が、いよいよ再開されます


今後問題となるのは、この2013年からワクチンを接種してもらえなかった世代の子宮頸がん発症です。

ちょうど今年度子宮頸がんを無料で受けられる学年からが問題になりそうです。

この方たちに今からでもワクチンをキャッチアップ接種することが、現在議論されています。

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文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)