タイミング指導について、こちらにまとめましたが、タイミング指導で出産が出来た方のほとんどが、5周期までに妊娠しており、6周期以降の妊娠はまれです。

人工授精も、出産率が4%に過ぎないため、今やステップアップの治療法としての価値が失われています。

一方で平成31年・令和元年の、当院の高度生殖医療の成績は、一回の胚移植あたり30%を超える出産率で、特に30代前半の方たちは実に50%を越えました。


不妊スクリーニング検査からタイミング指導と、体外受精を含む高度生殖医療へのステップアップは、ハードルが高いと感じるカップルも少なくありません。

反対に上に挙げたように、治療成績を見てすぐに高度生殖医療を選択するカップルもいらっしゃいます。

高度生殖医療へのハードルは年々下がってきており、早いうちに選択するカップルも珍しくなくなりました。令和3年から始まった不妊治療の助成要件の拡充も後押しとなっています。

 

さて、皆さんが、高度生殖医療に進む前に、他にできること、検査はないですか? よくいただくご質問です。

一般生殖医療で行う卵管検査や精液検査、各種ホルモン検査など、一連の不妊スクリーニング検査を皆さんお受けになっています。その結果を受けて、内服したりサプリメントを摂取したり、と努力なさっています。


一般生殖医療ではほとんど行われないものの、高度生殖医療でよく行われる検査もあります。

着床障害に関する検査で、ERA(胚受容能検査)子宮内フローラ検査です。

着床障害とは、良好な受精卵を子宮に戻しても(胚移植)、妊娠しない状態です。

ERAは、排卵日から着床に適した日程を見るもので、過半数の方は、排卵から5日後ですが、半数以下とは言え、排卵から4日目、あるいは6日目、とずれている事があります。

着床する日程の「ずれ」が不妊原因であれば、高度生殖医療で凍結した受精卵を融解胚移植するしかない、タイミング法では妊娠できない、ということになります。

また子宮内フローラ検査は、慢性子宮内膜炎の原因となる細菌類が多くないか、それを予防する乳酸桿菌(ラクトバチラス)が十分存在しているか、を見る検査です。

子宮内に乳酸桿菌やビフィズス菌以外の菌が多い場合は、適切な抗生物質の服用、乳酸桿菌やビフィズス菌を増やすラクトフェリンサプリメントの摂取、直接腟内に入れる乳酸菌サプリメントにより、治療を行います。

他にもAMH(抗ミュラー管ホルモン)が低下してしまっている場合にはサプリメントを摂取したり理学療法を取り入れたり、行なっていない検査の再チェック、時間が経った場合に再検査など、できることを一緒に考えましょう。

初出:令和2年7月27日
補筆修正:令和3年3月9日