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タイミング法の妊娠率|5周期で95%が結果。データから見る最適な治療ステップ

タイミング指導でどれくらい妊娠・出産できる?

〜2018年 当院データより〜

赤ちゃんを望んで来院される多くのご夫婦は、まず不妊スクリーニング検査と同時に、タイミング法(排卵時期に合わせた性交指導)を行うことがほとんどです。

タイミング指導は、不妊治療の最初に行われる方法で、多くのカップルが受ける基本的な治療ですが、実際にはどれくらいの方が出産に至るのでしょうか?

当院にて2018年にタイミング指導を受け、経過が追えた460名のデータを集計しました。

✅ 調査対象

  • 対象人数:460名

  • 対象周期数:1,345周期(一人あたり平均2.9周期)

  • 年齢:22〜46歳(平均34.2歳)

✅ タイミング指導の結果

● 1周期あたり出産率

5.0%
(※流産例は除く)

● 患者さん1人あたりの出産率

14.6%(460名中67名)

✅ 年齢別の傾向

年代1周期あたり出産率流産率*
20代前半11.8%0%
20代後半7.1%26.1%
30代前半4.5%36.6%
30代後半5.7%34.3%
41歳以上1.0%80.0%

*妊娠された中で流産した割合

→ 年齢が上がるほど妊娠しづらく、流産率は上昇

✅ 何周期続けると良い?

タイミング法で出産された方を母数として、累積出産率をお示しします。

  • 1周期目:38.8%が妊娠・出産

  • 3周期目までで:74.6%

  • 5周期目までで:99.5%

つまり…

タイミング法で出産された方のほとんどは、5周期以内に妊娠・出産

され、6周期以降で妊娠する方は7〜9周期目でそれぞれ一人ずつと、極めて少数でした。

✅ 原因別の結果

不妊原因別の出産率です。

出産率の高いものから並べました。

一番左に「原因不明」とありますが、全ての検査が行われ、何も異常がなかった方で、やはり最も出産率が高かったです。何も異常がないのですから、当然かも知れません。

次に意外だったのですが、子宮内膜ポリープを持ってらっしゃる方が出産率が高く流産した方もいませんでした。子宮内膜ポリープは、受精卵が子宮内膜に着床するのを妨げる「着床障害」の原因となります。

そして子宮内膜症、高プロラクチン血症、多のう胞性卵巣、、と続きますが、2.0%まで低下してくると、卵巣因子、男性因子、年齢因子、となります。この場合の卵巣因子は、抗ミュラー管ホルモン(AMH)が1.0以下、またはFSHが7.0以上です。また年齢因子は41歳以上の方です。

やはり卵巣機能が低下したり、精液の所見が思わしくない場合は他の原因に比べても妊娠しづらいことが分かります。

最後に妊娠した方が無かったのは、例数が少ないものの子宮腺筋症、卵管閉塞、そして性交障害でした。卵管がつまっていれば卵子と精子が出会うことがなく、ましてや性交渉がうまく行かない場合も妊娠ができません。

原因別の結果をまとめると、

原因傾向
原因不明妊娠しやすい
子宮内膜ポリープ出産率高い・流産なし
子宮内膜症・高PRL・PCOS妊娠する方も多い
卵巣因子(AMH低値/FSH高値)妊娠しにくい
男性因子妊娠しにくい
年齢因子(41歳以上)妊娠しにくく流産率高い
卵管閉塞・性交障害自然妊娠は困難

📌 まとめ

  • 周期あたりの出産率:5.0%

  • 1人あたりの出産率:14.6%

  • 5周期以内に妊娠する方が95%以上

  • 卵巣因子・男性因子・高年齢では妊娠率低下

🌱 結論:タイミング指導は5周期が目安です

5周期試して妊娠に至らなければ、治療ステップアップを検討しましょう

特に以下の方は、早めの治療検討が推奨されます:

  • AMHが低い/FSHが高い(卵巣機能低下)

  • 40歳以上

  • 精液検査で異常がある


(文責:桜井明弘 日本産科婦人科学会専門医)

初出:令和2年11月12日
補筆修正:令和3年10月31日/令和4年7月4日/令和7年11月2日、大幅に加筆修正しました。