平成31年3月より処方ができるようになったGnRHアンタゴニスト(レルゴリクス、レルミナ®)ですが、発売前から作用についてはこちらで解説しています。

さて、GnRHアンタゴニスト(レルゴリクス)は、どのような子宮筋腫に向いているでしょうか。

子宮筋腫の治療法には

  • 手術療法
    • 子宮全摘術
    • 子宮筋腫核出術
  • 薬物療法
    •  偽閉経療法
      • GnRHアゴニスト(GnRHa)
      • GnRHアンタゴニスト
    • その他の治療法

があります。

子宮筋腫は子宮にできる、良性とは言え、腫瘍ですから、手術で子宮を取ってしまう全摘術は、その後の再発もなく、選択肢として上位にあります。

しかし、多くの女性にとって、子宮を失うのは、精神的な喪失感は大きいと思います。

また、子宮を残し、筋腫だけ取る(核出する)方法も、手術をしても再発をする可能性があります。
さらに、手術後に避妊期間が3〜12ヶ月、必要となるのは、赤ちゃんを希望している方にとって、なかなか受け入れ難いことも多いです。


薬物療法には、偽閉経療法とその他の治療法、としました。その他の治療法とは、例えば子宮内黄体ホルモン放出システム(LNG-IUS、ミレーナ®)低用量ピルなど、で月経血量を減らす、月経痛を軽くするなど、筋腫による症状を和らげる治療法で、子宮筋腫を小さくすることを目的とするものではありません。

もちろん、ミレーナや低用量ピルで子宮筋腫が小さくなることもありますが、反対に大きくなる場合もあります。

さて、偽閉経療法については、以下のページで解説しています。

ここでは、偽閉経療法の中でも新しい治療薬、GnRHアンタゴニストがどのような子宮筋腫に適しているか、考えてみましょう。

偽閉経療法には、GnRHアゴニストと、GnRHアンタゴニストがあります。

名前が似ていて大変ややこしいのですが、

・GnRHアゴニスト、注射剤と点鼻薬:治療開始時にFlare Upがある。治療後は治療前のホルモン状態に戻るまで2〜3ヶ月かかる

・GnRHアンタゴニスト、内服薬:治療開始時にFlare Upがない。治療後はすぐに治療前のホルモン状態に戻る。

どちらの薬剤も、ホルモンを閉経の状態に低下させるものですが、アゴニストは一度ホルモンを上昇させた後で、低下させます。この一時的なホルモンの上昇をFlare Upと呼びます。

一方、アンタゴニストはFlare Upがなく、速やかにホルモンを低下させ、閉経状態となります。

これは、Flare Upによる一過性の不正出血(時に大量)が見られない、と言うことで、粘膜下筋腫や子宮腺筋症の方には最も適していると思われます。

またFlare Upがなく、すぐにホルモンが低下するため、アゴニストよりも早く筋腫が小さくなる方が多いです。

さらに、休薬することにより、速やかに元のホルモン状態に戻るため、副作用などでお困りの場合には、いち早く副作用がなくなります。

最大の特徴はFlare Upがないことで、アゴニストのFlare Up作用で大量出血をすることがありますが、アンタゴニストにはそれがみられません。

具体的には、

・粘膜下筋腫

・子宮腺筋症

がある方には最適と言えます。もちろん保険適応となるのは子宮筋腫があるからですので、子宮腺筋症のみの方には保険適応外となります。

また、休薬による回復が早いため、更年期障害様の副作用が心配な方には向いていると思います。

いずれにしても、多くの治療法が出てきたことは、患者さんにとっては選択肢が広がり、何を重視すべきか、価値観も含めて選ぶことができるようになってきています。

ぜひ、主治医の先生とよく相談なさって、ベストな治療法を選択してください。

3月1日より、子宮筋腫治療薬、経口GnRHアンタゴニストの長期処方が出来る様になります。〜子宮内膜症、子宮筋腫、子宮腺筋症の4つの薬物療法〜

初出:令和元年11月27日
補筆修正:令和2年1月28日