3月1日、新しい子宮筋腫治療剤(経口GnRHアンタゴニスト)「レルゴリクス(レルミナ)」の処方が出来る様になりました。

レルミナ

保険適用された患者さん負担は、月に8,150円くらいになります。

新薬のため約1年間は処方制限があり、原則として14日分の処方しか出来ません。

GnRHアンタゴニストとは、現在、体外受精などの高度生殖医療で、LHサージやFSHの分泌を抑制し、採卵前に排卵してしまわないよう、また卵巣刺激前に卵巣を休ませておく目的に「セトロタイド」や「ガニレスト」という注射剤を使うことがありますが、今回のGnRHアンタゴニスト製剤は、経口で毎日服用する子宮筋腫の治療薬です。

この新薬のレルゴリクスですが、当院でも子宮筋腫や子宮内膜症の患者さんに臨床治験を行った経緯があり、臨床で使えるようになるのには、とても感慨深いものがあります。

現在、子宮筋腫の治療薬として用いられているのは、GnRHアゴニストで、注射や点鼻薬で用いられている「リュープロレリン」「スプレキュア」などがあり、偽閉経療法と呼ばれていますが、これらのGnRH「アゴニスト」と今回の「アンタゴニスト」は少し異なる薬剤です。

大きな違いは、GnRHアゴニストは、投与直後、Flare Upと呼ばれる、下垂体からのLH、FSHを放出させる現象があります。このため、投与後すぐに、エストロゲンが高まり、不正出血を起こします。その理由で、初回投与は月経中から行います。しかし、このFlare Upを良い作用として利用するのが、排卵惹起です。排卵のコントロールとも表現していますが、Flare UpによりLHサージを来たし、排卵を起こすことができるからです。

やがてFlare Upがおさまると、今度はDown Regulationとよばれる状態になり、低エストロゲン、すなわち偽閉経の状態で、子宮筋腫や子宮内膜症に治療効果をもたらします。

いっぽうでアンタゴニストは、Flare Upがなく、すみやかにDown Regulationの状態をつくることができるため、子宮筋腫の中でも粘膜下筋腫や子宮腺筋症でも使いやすいと思われます。

また、注射剤と異なり、内服を中止すればすぐに卵巣機能が回復してくるため、副作用などで治療が継続できなくなってしまった場合など、元に戻るのが早いです。

今回保険承認されたのは、子宮筋腫のみで、卵巣チョコレート嚢胞などの子宮内膜症や子宮腺筋症では保険処方が出来ませんが、作用は同じなので、将来的に適応が拡大することも期待しています。

また多くの薬剤は海外からの輸入品なのですが、このレルゴリクスは国内開発で世界初の薬剤です。

(初出:平成31年1月17日)
(補筆修正:平成31年2月21、26日)
(補筆修正:令和元年9月18日)