子宮内膜症と不妊の関係について触れましたので、今回は子宮筋腫と不妊について書きたいと思います。

子宮内膜症に比べれば、子宮筋腫は不妊症の原因として、また臨床症状も、問題とならない場合が多いです。

不妊の原因となるのは、「子宮内膜を圧排する」筋腫です。また卵管を閉塞するものも不妊原因となりえます。

筋腫はその発生する部位(深さ)により、粘膜下筋腫、筋層内筋腫、漿膜下(しょうまくか)筋腫に分けられます。

粘膜下筋腫は子宮内膜を強く圧排し、子宮内腔に突出します。圧排され変形した子宮内膜には受精卵が着床しづらく、妊娠が成立しません。またこの部分の内膜からは月経血が止まりにくく、生理の量が多い、すなわち過多月経の状態を来たしやすいです。他の筋腫に比べ、小さくても病的な意味合いが強いといえます。
また、この粘膜下筋腫は、やがて下方に伸びていき、子宮口から一部突出するような形を取る、筋腫分娩という状態になることがあり、この場合の過多月経は大変多くなります。

筋層内筋腫は子宮の筋肉の中に発生するもので、深い場所にできると粘膜下筋腫のように内膜を変形させるため、同じように不妊の原因となり、過多月経の原因としても同様です。また卵管を閉塞する筋腫も、この筋層内筋腫に多いです。

一方で子宮から飛び出した形をとる漿膜下筋腫は、大きくても無症状であったり、病的な度合いが軽いです。不妊の原因となることはほとんどありません。


不妊原因となり得る子宮筋腫があっても、妊娠できることもありますが、流産の原因となることがあります。

不妊スクリーニング検査不妊治療を勧めていき、子宮筋腫の他に不妊原因がなければ筋腫の治療が必要となってきます。

筋腫が不妊や流産の原因と判断され、より早期に根治性を求める場合は手術療法が勧められます。

この場合、腹腔鏡下手術・開腹手術と子宮鏡下手術に大別されます。

身体へのストレスは子宮鏡、腹腔鏡、開腹手術の順に大きくなりますが、子宮鏡下手術はその適応範囲が狭く、粘膜下筋腫に限られます。粘膜下筋腫でも子宮鏡が難しい場合もあります。

腹腔鏡下手術では現在では幅広く筋腫に対しても適応としていますが、筋腫の数と大きさによっては開腹手術が選択されます。あまりに多い筋腫は腹腔鏡では取りきれませんし、大きい筋腫では腹腔鏡の視野が妨げられ、手術ができないのです。また腹腔鏡下手術は、開腹手術と同様、筋腫核出部位が筋層の創部となるため、術後の避妊期間を3〜12ヶ月要することが多いです。また現在では、手術後は出産の際に帝王切開を選択されることがほとんどです。また筋腫核出術は術後の癒着が強いことが多いですが、特に開腹手術でその傾向が顕著です。

薬物療法は偽閉経療法が最も効果が高く、これしかないといえますが、効果発現に時間がかかり、約1年後の妊娠を望む場合に選択されます。しかし必ずしも効果的とはいえないことは欠点といえます。選択する場合は効果発現の早い「レルゴリクス(レルミナ®︎)」がお勧めです。子宮内膜症におけるOC/LEP(低用量ピル)と同様、直ぐに妊娠を希望していない場合の選択になります。

子宮筋腫の手術が必要で、術後の避妊期間を無駄にしないために、術後に高度生殖医療を行い、受精卵凍結を行う選択肢もあります。

カップルの妊孕力(妊娠できる力)は、年々低下してしまいますが、そのほとんどの原因は女性の卵子の質が低下してしまうことです。

せっかく手術を受けて、筋腫がない綺麗な状態に治っても、卵子が悪くなってしまえば妊娠が出来ません。

高度生殖医療ではご主人との受精卵を凍結保存しておくことができます。例えば半年間、または1年間避妊しなければならない場合に、より若いうちの受精卵を取っておけるのです。

子宮筋腫や子宮内膜症を持っている不妊症の治療は、手術や高度生殖医療をどのように組み合わせるか、とても多くのバリエーションがあり、またカップルそれぞれの考え方も取り入れて相談をしていかなければなりません。

子宮筋腫について、こちらも参考にして下さい

初出:令和2年9月25日
補筆修正:令和2年9月29日