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卵巣機能不全の治療法 〜エストロゲン・プロゲスチン療法〜

エストロゲン・プロゲスチン療法とは、婦人科で行うホルモン治療の代表とも言える方法で、かつてカウフマン(Kaufmann)療法と呼ばれていましたが、2020年の産婦人科診療ガイドラインで呼び方が改められました。

エストロゲン・プロゲスチン療法は、

・卵巣性卵巣機能低下

・排卵障害

などに効果があります。

加齢に伴う卵巣機能低下を、卵巣性卵巣機能低下と呼びます。

おおむね以下のいずれかが該当する場合です。

・FSH値が8.0以上(月経期間中の値。検査会社によって基準値は異なります)

・AMHが1.5以下

この卵巣性卵巣機能低下の傾向は、年齢と共にあらわれて来ます。


また排卵障害には、

多のう胞性卵巣(PCOS)

視床下部性/原因不明の排卵障害

があり、主にクロミッドレトロゾール(フェマーラ®︎)などの排卵誘発剤で治療が行われていることが多いです。


エストロゲン・プロゲスチン療法には、内服薬で行うものと、注射剤と内服剤を組み合わせて行うものがありますが、卵巣性卵巣機能低下では、注射剤と内服剤の組み合わせを、主に若年者や妊娠を希望しない方では内服を選択します。

注射剤では内服以上の量のホルモンを投与することが出来るため、特に卵巣性卵巣機能低下に効果的です。

実際の薬剤の使用法は、以下のリンク先で解説しています。

若年女性の「多のう胞性卵巣」や「月経不順」「無月経」の治療法 〜カウフマン療法やホルムストローム療法など〜

治療の方法は他にもあるため、年齢、ホルモン値、排卵の有無、いつ頃妊娠を考えているのか、を重視して、お一人お一人に合った治療法を提案しています。

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:令和2年4月16日
修正:令和2年5月24日、6月11日、9月25日
補筆修正:令和3年1月24日
補筆修正:令和4年3月5日、9月6日、10月30日
補筆修正:令和5年1月3日、2月18日、5月18日
補筆修正:令和6年1月31日