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月経調整(生理の予定をずらす)とは?
試験や旅行、結婚式、出張、仕事など、大切な予定と月経が重なってしまう・・・
文部科学省が、公立の高校入試の追試験に、生理による体調不良も含まれると通知を出しました。
大切な時に、お薬を飲んだり、注射することによって、月経をずらすことができるということをご存じですか?
どうやって調整する(ずらす)の?
一般的に月経は「中用量ピル」や黄体ホルモン剤を飲むことによって、早めたり遅らせたりすることが可能です。
当院で処方してきた「ソフィアAⓇ」の発売が平成31年3月末で終了し、現在国内で処方できる中用量ピルは、「プラノバールⓇ」のみとなりますが、これは副作用として比較的強い吐き気が起こりやすいピルです。
ノアルテンが少なくなっていると聞きますが。
当院では以前より月経調整の適応のある黄体ホルモン製剤「ノアルテンⓇ」か、プラノバールを処方しています。プラノバールは吐き気がみられることがあるため、制吐剤「ナウゼリンⓇ」と一緒に服用して頂いています。
一方でプラノバールは血栓症のリスクから、40歳以降の方にはノアルテンの処方を継続しています。
具体的な服用法、調整法は?
月経調整には2通りあり、
・次回の月経の時期を早める場合には、
今回の月経初日から数えて5日目くらいから10日間、内服します。
そのため、ずらしたくない前周期の月経が始まってすぐの受診が必要です。
・月経を遅らせる場合は、月経が始まる予定日の5日ほど前から内服を開始します。
どちらの場合も、内服を終えて2~5日後くらいに出血します。
プラノバールは早めたり、遅らせたりするのに適していますが、ノアルテンはどちらかといえば、遅らせることの方が適しています。
内服中の注意事項は?
できるだけ毎日同じ時間に飲んでください。
ホルモンの血中濃度を一定に保つためです。
飲み忘れがあると不正出血が起きたり、月経調整がうまくいかなくなる恐れがあります。
中用量ピル「プラノバール」の副作用としては、上に書いた様に吐き気などが出ることがあります。そのため、夕食後や寝る前などの服用と、初めて服用される場合は、吐き気を抑える薬「プリンペランⓇ」の併用をお勧めしています。
なお、妊娠の可能性のある方にはピルの処方はできません。
よくあるご質問
月経調整に関する、よくいただくご質問などをまとめました。
いつ受診したら良いの?
調整したい日程の数ヶ月前の早すぎる受診、特に月経が不順な方は、次の月経予測が出来ないこともあり、処方できないことがあります。
例えば、11月の月経をずらしたい場合、10月の月経が来てから受診して頂いて結構です。
いくらかかるの?
月経調整は、病気ではありませんので、自費診療となり、当院では月経調整薬1日分を110円(税込)で、また処方料が別途かかります。
通信販売はできるの?
ピルの処方に、受診をしない、あるいは通信販売を希望される方がいらっしゃいますが、月経調整に用いるホルモン剤は医薬品であるため、未受診の患者さんへの処方は出来ません。
ただし、オンライン診療の利用は認められています。
中にはピルを服用できない方もおられ、産婦人科の医療機関ではそういった項目もチェックしています。
通信販売を行っているのは全て違法サイトで法的には認められていません。
尚、医療機関はサプリメントを扱うことが認められていますが、サプリメントの通信販売は禁止されています。
低用量ピルは使える?
「低用量ピル(OC/LEP)」を短期間内服することも月経調整に使うことができますが、うまくコントロールできないことがあり、またコストが高くなることが多いです。
低用量ピルは、月経開始と同時に服用することで、排卵を抑制することができます。
月経を遅らせる調整法では排卵を抑制できないため、出血する時期をコントロールすることができません。
OC/LEPを服用中の方は、基本的に中用量ピルを服用して頂きますが、マーベロンやルナベル、ヤーズ、ファボワール、フリウェル、ジェミーナなど、一相性の低用量ピルを現在服用している方たちは、内服方法の工夫がありますので、診察室で相談して下さい。
今まで、うまく調整できなかった場合には?
月経調整を行う際には、過去に処方された内容などを伺います。うまく調整ができなかった方には、他の方法を含めて提示します。
文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)月経移動 生理移動 生理調整 生理ずらしたい 生理をずらす薬 生理遅らせる
初出:2016年11月2日
修正:2019年3月5日、23日、7月10日、10月25日
更新:2020年4月20日、5月31日、10月8日、12月28日
更新:令和3年3月14日、10月31日、12月2日、7日
更新:令和4年2月16日、9月11日、10月19日
更新:令和5年2月2日、3月8日、 11月3日、12月20日
更新:令和6年4月19日、8月2日、11月7日、20日