花粉の飛散量が増えたためか、お問い合わせが増えています。
妊活中から妊娠中、授乳中の方たちの、花粉症やアレルギー対策はどうしたらいいでしょうか。
この記事の目次
今年のスギ花粉はいつから? どんな予想?
報道されているように、今年のスギ花粉は「早い」「多い」予想で、早くも都内では1/8から飛び始めているそうで、これは1985年以来最も早いとのことです。
実際に既に症状が出ている方も少なくありませんね。
特に西日本では過去10年で最も多い花粉の飛散量となる予想です。
妊娠中、授乳中の花粉症対策は?
花粉症の基本として、アレルゲンである花粉に暴露しないことが一番です。
外出を控える、マスク、場合によってはゴーグルを着用する、帰宅時に服に付いた花粉を払う、室内の加湿と空気清浄機、濡れ雑巾を使ったお掃除などです。
また治療として最も安全性が高い抗アレルギー剤は、点眼薬、点鼻薬ですが、内服薬も服用が可能です。もちろん妊活中も内服が可能です。
妊活中や妊娠中、授乳中に最も安全な抗アレルギー薬は?
花粉症の薬の中でも、効果の高い抗ヒスタミン剤は、かつては口唇口蓋裂の発生と関係があるため、妊娠16週まで控えるよう指導されてきましたが、最近では口唇口蓋裂との関連が否定されたため、妊娠中も安全に服用することが出来るようになりました。
妊娠中の薬剤の影響は、米国、豪州の基準を元に、また授乳中はHaleの基準を元にすることが多く、日本では「今日の治療薬(南江堂)」という医学書や国立成育医療研究センターのホームページが最も見やすく作られています。
これを見ると、妊娠中、授乳中ともに、第2世代の抗ヒスタミン剤ロラタジン(クラリチンⓇ)、デスロラタジン(デザレックスⓇ)との安全性が最も高いとされています。
またロイコトリエン拮抗剤のモンテルカスト(シングレア、キプレス)も妊娠中、授乳中の安全性が高いとされています。
かつてのインフルエンザワクチンのように、妊婦さんや妊娠を希望されている方には「投与できない」と思われていますが、必要な方は服用を躊躇わず、治療に取り組んでください。
妊娠中、授乳中に内服してはいけない抗アレルギー薬は?
多くの抗アレルギー剤が安全に服用出来ますが、一部の薬では妊娠中、授乳中に使えないものがあり、注意が必要です。
一般名(薬剤名) | 妊婦 | 授乳婦 |
ヒドロキシジン | 禁忌 | 禁忌 |
トラニラスト (リザベン) | 禁忌 | |
オキサミド | 禁忌 | |
ジフェンヒドラミン (レスタミン) | 禁忌 | |
ディレグラ (プソイドエフェドリン含有) | 避けた方が良い | 避けた方が良い |
ここでは全ての薬剤を網羅しているとは限りませんので、処方される際に、妊娠している可能性、授乳中であることを必ず医師、薬剤師に伝えて下さい。
よくいただくご質問
妊活中に花粉症の薬を飲めますか?
はい、妊娠するまではどのお薬を服用していても構いませんが、妊娠がわかったらなるべく早く受診してお薬について相談しましょう。
妊娠に気づかずに花粉症の薬を飲んでしまいましたが、赤ちゃんへの影響はありませんか?
薬の種類にもよりますが、多くの抗アレルギー剤では安全性が高いです。なるべく早く受診して相談しましょう。
妊娠中に花粉症が悪化しますか?
個人差がありますが、エストロゲンやプロゲステロンが高くなったり、循環血漿量と言って血液の量が増えるため、鼻粘膜が充血したり腫れたりして鼻の症状が悪くなると言われています。
「妊娠できるか検査をしたい」「妊娠できる方法を知りたい」こちらもどうぞご覧ください。
「妊娠できるか、がわかる検査をして下さい」「妊娠するために何をやったらいいですか?」
文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)
初出:平成30年3月5日
補筆修正:平成31年2月21日
補筆修正:令和2年1月17日、2月19日、22日、29日、9月5日
補筆修正:令和3年2月10日、16日、17日、23日、5月18日
補筆修正:令和4年5月17日、12月31日
補筆修正:令和5年3月3日、7月1日
補筆修正:令和6年2月28日、3月12日、7月6日、11月13日
補筆修正:令和7年1月21日、22日、23日、28日、3月13日