「妊娠出来るか、がわかる検査をして下さい」
とか
「必ず妊娠出来る方法を教えてください」
「妊娠するために何をやったらいいですか?」
不妊治療やこれから妊娠を希望される方から、時々いただくご質問です。
例えが正しいかわかりませんが、株で必ず儲かる方法を教えてください、というのと似ている気がします。
この記事の目次
「妊娠できるかどうかがわかる検査」は、実は存在しません
質問されるお気持ちはとてもよくわかります。血液検査を1回受ければ「妊娠できる/できない」がはっきりわかる、そんな検査があったらと思いますが、残念ながら、そうした単一の検査は存在しません。
卵巣に残っている卵子の数のおおよその目安を調べるAMH(抗ミュラー管ホルモン)検査は、令和6年6月から一般不妊治療の段階でも保険適用の対象になり、身近な検査になりました。
ただしAMHは「卵子の数の目安」であって、卵子の質や妊娠のしやすさそのものを表す数値ではありません。AMHが低くても自然に妊娠される方は多くいらっしゃいますし、逆にAMHが年齢相応でも他の原因で妊娠しにくいことがあります。
「妊娠できるかがわかる検査をしてください」という問いへの誠実な答えは、「妊娠しにくい原因がないかを、一つひとつ確認していきましょう」ということになります。
不妊スクリーニング検査とは
妊娠できるかどうかを知るためには、裏を返せば「妊娠できない・妊娠しにくい原因がないか」を調べる不妊スクリーニング検査が必要になります。
この検査は項目数が多く、内容も多岐にわたります。
- ホルモン検査(AMH、FSH、LH、E2、甲状腺ホルモンなど)
- 排卵の有無・タイミングの確認(基礎体温、超音波検査)
- 卵管の通過性を調べる検査(卵管通水検査など)
- 子宮や卵巣の状態(子宮筋腫、卵巣チョコレート嚢胞、子宮内膜ポリープ、子宮腺筋症の有無など)
- 感染症検査
- 精液検査
さらに、これらは「いつ受けてもよい検査」ばかりではありません。女性の体は月経周期の中で、月経期・排卵期・着床期など、その時期でなければ調べられない項目があります。今の周期で検査ができなければ、次の周期に持ち越すこともあり、これが「検査に時間がかかる」と感じられる理由の一つです。
なお、不妊の原因は女性側だけでなく男性側にあることも半数近くを占めるため、男性の不妊検査・ブライダルチェックもあわせてご案内しています。

検査にかかる期間の目安
「検査にはどのくらいの期間がかかりますか」というご質問もよくいただきます。
- 順調に進めば、1ヶ月程度で一通りの検査が終わることもあります
- 再検査が必要な場合や、治療効果を確認しながら進める場合は、数ヶ月かかることもあります
- 通院に制限がある方は、無理をせず、来院できるタイミングで少しずつ進めていただいて構いません
またすべての方に、すべての検査項目を行うわけではありません。不妊期間の長さ、年齢、これまでの妊娠経験、月経周期の状態などを伺った上で、優先順位をつけて必要な検査から進めていきます。今周期に検査ができなかった項目は、次の周期での実施をご案内します。
治療以外にできること
「妊娠するために何をやったらいいですか」というご質問の背景には、検査だけでなく、生活習慣として何かできることはないか、という思いがあることが多いように感じます。
体質や生活習慣は一人ひとり大きく異なるため、一律のアドバイスをするのは難しい面がありますが、基本となるのは次の3つです。
- 食事:バランスの取れた食生活
- 運動:適度な運動習慣
- 睡眠:十分な睡眠時間の確保

これに加えて、婦人科検診や歯科検診を定期的に受けることも、体調管理の一環として大切です。体質改善の一助としてサプリメントを活用される方もいらっしゃいます。
より詳しくは、「赤ちゃんを作るための生活習慣へ」のページもあわせてご覧ください。
「必ず妊娠する方法」はありませんが、一緒に探していきましょう
正直に申し上げると、「これをやれば必ず妊娠する」という方法は存在しません。だからこそ、検査で原因を一つずつ確認し、生活習慣を整えながら、その方に合った道を一緒に探していくことが、私たちにできることだと考えています。
2015年に院長が上梓した書籍「あなたが33歳を過ぎて妊娠できない44の理由(幻冬舎)」でも、生活習慣の改善からはじめ、性交渉についてまでまとめています。ご興味のある方はぜひお手に取ってみてください。

また、体外受精など生殖補助医療をお考えの方向けに説明動画も公開しており、第1部では生活習慣の見直しについて解説しています。あわせてご覧いただけると、これからの検査や治療のイメージを持っていただきやすくなります。
よくあるご質問(FAQ)
AMH検査を受ければ、妊娠できるかどうかがわかりますか?
いいえ。AMHは卵巣に残っている卵子のおおよその数の目安であり、卵子の質や妊娠のしやすさそのものを示す数値ではありません。
AMHが低めでも自然に妊娠される方は多くいらっしゃいます。妊娠しやすさを知るには、AMHだけではなく排卵や卵管、子宮、そして精液の状態などをそれぞれ調べる不妊スクリーニング検査が必要です。
不妊スクリーニング検査は保険適用になりますか?
項目によって異なります。AMH検査は令和6年6月から、医師が不妊症と診断した上で卵巣機能の評価・治療方針の決定を目的とする場合、6ヶ月に1回を上限に保険適用となっています。その他の検査項目についても保険適用となるものが多くありますので、詳しくは診察時にご確認ください。
検査には何回くらい通院する必要がありますか?
順調であれば1ヶ月程度で主要な検査が終わることもありますが、月経周期のタイミングによっては次の周期に持ち越す項目もあり、数ヶ月かかることもあります。ご通院の頻度は、お一人おひとりのご事情に合わせてご相談しながら決めています。
検査は女性だけでなく、パートナーも受ける必要がありますか?
はい、基本的には男性の受診も必要ですし、男性の精液検査もおすすめしています。不妊の原因は女性側だけでなく男性側にあることも少なくないため、あわせて受けていただくことで、より正確な原因の把握につながります。
検査の結果を待たずに、タイミング法や生活習慣の改善から始めてもいいですか?
もちろん構いません。ほとんどの方が検査とタイミング法を並行して開始しています。基礎体温をつける、食事・運動・睡眠を整えるといった取り組みも同時に始めましょう。年齢や不妊期間によっては検査を急いだ方がよい場合もありますので、ご不安な点は診察時に遠慮なくご相談ください。
「妊娠しやすさ」について、まずはご相談ください
不妊スクリーニング検査は、年齢や不妊期間、月経周期に合わせて優先順位をつけて進めていきます。
まずは診察でお話をお聞かせください。
またはお電話で 045-911-9936
診療時間:月・水・金 10:00〜18:30/火・木 10:00〜17:30/土 10:00〜13:00
日・祝休診
文面からは伝わりにくいのですが、ニュアンスとして、「これをやったら妊娠する」と言う回答や「妊娠できるかどうかがわかる検査」を求められています。
文責 桜井明弘(院長、日本専門医機構認定産婦人科専門医)
初出:平成29年9月14日
補筆修正:平成30年7月21日
補筆修正:令和2年7月10日、16日
補筆修正:令和3年1月5日、9月22日、11月9日
補筆修正:令和4年2月24日、7月22日
補筆修正:令和5年1月5日、2月17日
補筆修正:令和6年5月30日、6月16日
補筆修正:令和7年5月31日
補筆修正:令和8年7月6日、大幅に加筆修正しました。

