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HPVワクチンや新型コロナワクチンは、不妊や流産の原因になりません!

ワクチン流産説を獣医のタレント教授が、再び言い出して話題になっています。繰り返し残念なことです。

新型コロナウイルスワクチンが、不妊症や流産の原因となる、という、とんでもないデマが拡散されていました。

もうあまり信じたり、左右される方もいらっしゃらないと思いますが。。

元はと言えば、ファイザー社の元副社長が、根拠はないものの胎盤形成を障害する可能性がある(=不妊症の原因になる)「と思われてきましたが」と、ワクチン反対の理由の一つとして書いたものがやはり切り取られ、誤訳されて「ファイザー元副社長告発」などとタイトルをつけて拡散されているのです。これも科学的なデータや根拠は皆無です。

拡散の主体は、メディアを名乗っているものの、発行元、発行者が不明なサイトです。

またその情報を鵜呑みにして拡散している医療機関もあるので、情報元に注意してください。

各機関よりコロナワクチン接種により、不妊とはならないという見解が発表されています。(ユニセフのHP)

米国不妊学会医学誌のFBページにも、コロナワクチン、コロナ感染で生じた抗体が、体外受精などで凍結保存された卵子の融解胚移植、初期の胚発育に妨げなかった、という速報が載りました。

妊婦さんへの接種経験から、妊娠の経過、赤ちゃんへの影響など、プラセボを接種した方達と同等であり、もちろん流産率も高まっていません。妊婦さんや授乳中の方、妊活中の方への情報はこちらにまとめています

ワクチンが不妊の原因になる、というのは、HPVワクチンの時にも、そして過去に何度も根拠なく流布されたもので、よく使われる手法です。米国でも同じような現象が2020年12月頃から見られるそうです(Sajjdi NB et al. 2021)。

反ワクチンやデマを流す人たちの手法として、「子供」「家族」「将来」を使うそうです。なるほど、確かにいつもそこだな、と納得できます。

また、デマである根拠として、科学的な医学論文が全く無い、と言う事からも判断できます。HPVワクチンの際には、ご丁寧に医学論文の捏造が国内でも行われましたが。。

上のユニセフだけでなく、米国生殖医学会・米国産科婦人科学会・母体胎児医学会議豪州保健省ジョンズ・ホプキンス大学ミズーリ大学シカゴ大学病院フィラデルフィア小児病院などからも、不妊との関連がない、との声明が出されています。

TV局でさえ、これまでの経験からも、何度も誤報を流したり、間違った考えに導く報道をしています。オールドメディアと呼ばれる、大手の新聞社も同様です。
どうぞ皆さま、ネットリテラシーを高めてください。ニュースソースを疑ってください。

国内で日本語でアクセスするには、厚労省などの公的機関や学会の声明などがもっとも信憑性が高いですが、なかなかアクセスしたり、読解するのが難しいですよね。

我々のように、これらの声明を噛み砕いてわかりやすく解説する医療機関も少なくありませんが、一部の医療機関では根拠もなく不安を煽るところもありますので、どうか信頼できる医師のサイトなどを参考にしてください。

なお、ワクチンを接種することによる不妊はありませんし、精子形成に対する影響も報告されていませんが、コロナウイルスに感染すると男性不妊となる可能性があるため、注意が必要です。

婦人科の病気や治療とコロナワクチン接種については、こちらをご覧下さい

婦人科の治療中にコロナウイルスに感染してしまった場合は、こちらをご覧下さい

コロナワクチンと他のワクチンの接種間隔については、こちらをご覧下さい

このHPのコロナウイルス感染、コロナワクチン関連の記事はこちらにまとめています


HPVワクチンへのご質問にお答えした動画はこちらをご覧ください。

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:令和3年5月6日
補筆修正:令和3年6月4日、7日、17日、19日、7月1日、8月9日
補筆修正:令和4年11月16日
補筆修正:令和5年1月10日、3月6日、9月15日、HPVワクチンへのご質問に答えた動画を追加しました。