新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の感染(COVID-19)により、全身の凝固能が亢進し、血栓症を生じることが知られています。

また婦人科治療では、多くの内服するエストロゲン製剤が用いられておりますが、特にピルでは副作用として血栓症が有名です。

新型コロナウイルスの感染が、エストロゲン製剤を服用している患者さんの血栓リスクをどれくらい上昇させるか、まだ明らかではありませんが、海外を中心に懸念されており、日本産科婦人科学会、日本産婦人科医会、日本産婦人科感染症学会が注意を発表しました

これによると、

・COVID-19重症、または軽症でも呼吸症状を伴う場合

 OC/LEP(低用量ピル)やHRT(ホルモン補充療法)を中止し、血栓症予防効果のある低分子ヘパリンを投与する。

・COVID-19軽症、または無症状の場合

 OC/LEP使用者では、エストロゲン製剤以外の方法についても検討する。

 HRT使用者では、エストロゲン製剤を中止するか、または経皮製剤を用いる。

とされています。

PCR陽性者が増えているものの、現在のところ重症患者さんは増えていないため、今後上記下段の、特に無症状の方が増えてくることが予想され、その場合の対策を考慮しています。

基本的には内服するエストロゲンの製剤がリスクになると考えられています。

・OC/LEPを服用されている患者さんで、月経痛や過多月経、子宮内膜症の治療を目的としている方。

→エストロゲンを含まないディナゲストジエノゲストミレーナへの変更


・OC/LEPを服用されている患者さんで、避妊を目的としている方。

子宮内リングや他の避妊方法


・OC/LEPを服用されている患者さんで、月経不順やニキビ、肌荒れなどの改善を目的としてる方。

→黄体ホルモン製剤や男性ホルモン作用を低下させる治療


・内服薬でカウフマン療法を行なっている患者さん。

→注射薬への変更


・中用量ピル(プラノバール )を服用している患者さん。

→注射薬か、エストロゲンを含まない黄体ホルモン製剤への変更


・ホルモン補充療法(プレマリン、ウェールナラ)

→外用剤への変更


一方で、新型コロナウィルス肺炎は男性に比べて女性が少ない原因として、エストロゲンが関与しているのではないか?とも言われ、また男女ともに新型コロナウィルス肺炎の治療としてエストロゲンの服用が有効ではないか?とさえも言われています。

今後、新型コロナウィルスがエストロゲン製剤を服用している方の血栓症を増やすのか、報告がされてくると思います。