当院で行っている体外受精など高度生殖医療では、卵巣刺激法(排卵誘発法)として、多くの方にLong法をお勧めしています。

Long法が最も妊娠・出産率が高いためで、FSHやHMGという注射製剤を使用するため、通院して注射を受けることが可能な方、または自己注射ができる方に選択して頂いています。

さて、Long法では、採卵前のプレトリートメント周期(ピルなどを投与します)から、GnRHアゴニスト製剤である「ブセレリン®」という点鼻薬をお使い頂きますが、これはFSHやHMG製剤による卵巣刺激で採卵前に排卵してしまわないようにするためです。

採卵前の周期から長い間用いるため、Long法と呼ばれていることなど、高度生殖医療説明会でもお話しています。

この点鼻薬について、よく頂くご質問にお答えします。

「点鼻薬、使い忘れちゃった!」

忘れたことに気付いた時点ですぐに点鼻して下さい。

その後の点鼻薬はもとの時間で再開してください。

「点鼻薬はいつまで使うの?」

FSHやHMGで育てた卵胞が十分大きくなると、血液検査を行い、卵胞が成熟していることを確認し、採卵が決定しますが、それまで排卵しないように点鼻薬を使っています。採卵前には排卵のコントロール(トリガー)として、HCG製剤(自己投与可能な「オビドレル」を含む)を使用します。このHCG製剤は点鼻薬をきちんと使っていても排卵させることができます。

つまり、点鼻薬を使うのは、HCG製剤を注射するまで、HCG製剤の注射の後は使わなくてよい、ということになります。

もちろん、誤ってHCG製剤の注射の後で点鼻してしまっても、特に悪影響はありません。

残った点鼻薬は、次の周期以降、胚移植などでも使うことができるため、捨てずにお手元に残しておいて下さい

「点鼻薬、切れてしまわない?」

1本の点鼻薬には、14日分(+1〜2日分くらい)の薬剤が入っています。使用日数をカウント、確認し、特に卵胞の発育がみられる頃からは、薬が切れてしまわないか、ご自身でも十分ご注意下さい。


「1回分がきちんと出たか確かでないのですが」

特に点鼻薬が終わる頃にあるご質問です。点鼻薬の終わりかけでは、きちんと1回分の噴霧ができていない可能性があります。もう一度噴霧し、残りがわずかであれば処方を受けてください。

また、鼻炎がある方は、しっかり鼻をかんでから点鼻薬をお使い下さい。

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

(初出:平成31年1月20日)
(補筆修正:令和元年5月20日)
(補筆修正:令和2年3月4日、25日、5月2日、22日、8月24日、9月21日)