慢性腎臓病の高リン血症の治療薬であるクエン酸第2鉄水和物「リオナ®錠」が、血液中の鉄を上昇させ、鉄欠乏性貧血の治療効果が認められたことより、鉄欠乏性貧血にも適応拡大されました。
鉄欠乏性貧血の治療には、
・内服剤
・注射剤
・サプリメント
があります。
内服剤には胃腸障害(胃痛、便秘)が副作用としてよく見られますが、このリオナ錠は、胃腸障害が少ないことが特徴的です。
・鉄欠乏性貧血には、2錠を1日1回、効果が余りみられない場合は、2錠を1日2回に増やして服用します。
・相互作用は、
キノロン系やテトラサイクリン系の抗生物質や甲状腺治療薬のチラーヂンなどの吸収を抑制するため、注意が必要です。
・副作用は、
下痢が12%、他、悪心、便秘が2%以上にみられます。
・貧血改善効果は、よく使われている「フェロミア®」と同等です。
一昨年9月に注射剤の「フェインジェクト®」が発売となったばかりで、また新しい治療の選択肢が広がりましたが、患者さんのニーズに応えられるため、新薬の登場や適応拡大は歓迎すべき事です。
治療の際には、診察室で相談して選択しましょう。
文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)
初出:令和3年4月2日
補筆修正:令和3年6月24日
補筆修正:令和4年2月21日