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麻しんや風しん、水痘(水ぼうそう)など「子どもの頃にかかった」「ワクチンを打った」は意味がない?

【麻疹の現況】

令和8年4月現在、日本国内で麻疹(はしか)の感染拡大が続いています。

全国の状況:感染ペースが加速

累計患者数 4月中旬(4月14日時点の報道)時点で、全国の累計は236例に達しました。
拡大のスピード 3月11日時点で100例を超えた段階ですでに昨年同一時期の4〜5倍となり、昨年の年間報告数を上回るペースとなっていますが、そこからわずか4週間でさらに100例以上が追加報告される急拡大を見せています。
過去との比較: 昨年同時期の3.6倍にのぼり、過去5年で最も多い流行状況です。

首都圏・神奈川の状況:都市部を中心に継続

都道府県別の累計患者数は東京都が最多。神奈川県でも横浜市・川崎市を中心に発生が継続しており、川崎市では4月7日にも新たな感染者が確認されています。鹿児島県、愛知県など全国各地にも広がっています。

感染世代 感染者の約83%が15歳〜49歳の世代に集中しています。ワクチン接種が1回のみ、または未接種の「空白世代」が多く含まれるためとみられています。

感染経路 海外(インドネシア、ニュージーランド、フィリピン、韓国など)からの持ち込み事例と、そこからの国内二次感染が組み合わさっています

国内では「排除された感染症」とされていますが、途上国を中心に麻疹は依然として珍しくない病気です。渡航者本人はもちろん、渡航者と接触した方にも感染リスクがあります。


現在、麻しん、MRワクチン(横浜市助成、自費ともに)、ムンプスワクチンの出荷調整のため、当院での予約は、電話でのみ承っております。ご迷惑をおかけします。

風疹や麻疹、水痘(水ぼうそう)、ムンプス(おたふく)は、流産や赤ちゃんの病気の原因となるウィルス性疾患の中でもワクチンがあるもので、いずれも一度かかると生涯かからない、「終生免疫」を獲得する、とされています。

「子どもの頃にかかった」「ワクチンを打った」ので、大丈夫、自分はかからない、と思っていませんか?

それは、以下の理由から、再度確認する必要があります。

・感染やワクチン接種の記憶違い

・感染の際に確実な診断をされていない

・ウィルスの抗体価は低くなることがある(麻しんの抗体低下について、こちらをご覧ください)

子どもの頃にかかった記憶、それは正しいでしょうか。ご両親の記憶は? 当時、間違いなく診断された、本当でしょうか。

例えば風疹と麻疹、名前が似ていますが、これらは「はしか」と「三日ばしか」とも呼ばれています。どちらにしても似たような名前で記憶違いはないでしょうか。

自分では記憶にないから改めてお母さんに聞いてみた。
私「風疹かかった?」
母「うん、かかったよ」
私「麻疹じゃなかった?」
母「んー、麻疹だったかもね」
私「じゃあはしか? 三日ばしかではない?」
母「覚えてないよ!」

とは、笑い話によく使われるやり取りです。

また、その時の診断は確実だったしょうか。血液検査でIgM抗体が上昇していたり、ウィルスの抗原をPCR検査などで確定はされていないのではないでしょうか。

そして、残念ながら免疫を表すウイルスに対する抗体は、年々低下してしまう可能性があります。

抗体が年齢を重ねるごとに低下する可能性があるのは、当院で発表したデータからも明らかで、特にムンプス(おたふく)は抗体が低下しやすいと考えられます。

中には上のお子さんを妊娠した時には抗体があったのに、次のお子さんを希望された数年後に、既に感染してしまうレベルまで低下していた方もいらっしゃいました。


過去の記憶に頼らず、医療機関で測定したデータを確認することが、流行期には重要です。現在抗体がなければ再感染するからです。

妊娠を考えている女性とそのパートナーは、最新の抗体価を確認し、必要であればワクチン接種をしてから妊娠にのぞむことが大切です。

文責 櫻井明弘(院長、日本専門医機構認定産婦人科専門医)

初出:平成31年2月13日
補筆修正:令和2年6月3日
補筆修正:令和4年9月22日
補筆修正:令和5年6月13日
補筆修正:令和6年1月26日、3月16日、22日、10月12日
補筆修正:令和7年4月3日、18日、6月6日、8月29日
補筆修正:令和8年1月15日、2月18日、27日、3月10日、4月8日、20日