スクリーンショット 2019-03-19 18.37.43国立感染症研究所発表より引用

このグラフは2008年以降の毎週の全国の風疹患者報告数ですが、7年前の2012年から大流行、真ん中に二つの山がありますね。左の小さな山が2012年。暮れには収束しつつありましたが、翌2013年に大きな山、大流行を迎えました。

ちなみに灰色のバーは、先天性風疹症候群の報告です。

さて、2012〜13年の小さな山の後に大きな山、昨年の小さな山、の後に今年大きな山が来るように思えないでしょうか。

今年の流行は、東京都827人、神奈川県275人、千葉県195人、埼玉県190人、大阪府126人、が100人以上の都府県です。

報告患者さんの95%は成人で、ほとんどが国内での感染です。
推定される感染源は、男性は職場での流行が最も多く、女性は家族内での感染が最も多いです。
風疹ウィルスの感染力は、インフルエンザの2〜4倍とされており、狭いところで濃密に接触することでの感染が想像されます。

今年の感染者のうち32人は医療関係者であったことも、問題だと思います。

予防接種を受けていない方が多いのは「予防接種歴は無し」(21%)と「不明」(69%)がほとんどを占めることから明らかです。

感染した方の中では、頻度は少ないものの、血小板減少性紫斑病や肝炎、脳炎、肺炎、髄膜炎のような重篤な症状もみられています。


平成30年12月10日、神奈川県は5年ぶりの風疹「非常事態宣言」を出しました。

また、日本産婦人科医会は、「妊婦さんへ風疹からの緊急避難行動のお願い 第3報」を発表しました。

これによると、米国のCDC(疾病管理予防センター)は、風疹に罹る可能性のある妊婦の、日本への渡航を控えるよう、警告を出したそうです。国際的に見ても、日本は風疹の流行地域とされているということです。

妊婦さんとお腹の赤ちゃんを風疹から守るため、妊娠が分かった時に、妊婦さんと同居家族の風疹抗体や罹患、接種歴を確認することとし、

風疹抗体の結果が出る前の妊婦と、風疹抗体価が低く感染のリスクがある妊婦に対して、

・人混みを避けること

・夫も感染リスクがある場合、直ちにワクチン接種をすること

また職場に対しても、

・妊婦から職場の健康管理者に妊娠初期であることを伝え、

・職場での風疹の発生を把握することを求め、風疹発生時にはリスクのある妊婦に連絡をもらうこと

・職場で風疹患者が発生した際には、患者及びリスク妊婦の「出社差し控え」を含め、妊婦への万全の保護策を講じてもらえるよう申し出ること。この際の出社差し控えは、妊婦の立場を考え、「公休扱い」としてもらうよう働きかけること

を求めています。

さらに、妊婦さんが集まる産婦人科施設へは、風疹罹患時はもとよりインフルエンザも流行していますので、病名が明らかとなっていない風邪気味の状態(発熱、リンパ節の腫れ、発疹など)の場合、受診、立ち入りをしないようにお願いをしています。

風疹の有効な予防法はワクチンしかありませんが、現在の風疹の流行の影響で、ワクチンが今後供給不足となる恐れがあります。いち早い行動をお願いします。

最近では、当院でも男性のワクチン接種が増えてきています。

とても有り難いことです。

昨年10月2日付、厚生労働省から、風疹流行地域の5都県の産科医療機関に、

・妊娠を希望している女性

・妊娠が判明した女性のパートナー

に、風疹抗体とワクチン接種の有無を確認するよう、通知がありました。


5都県とは、今回の風疹流行の主たる地域、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県と愛知県です。

妊娠を希望している女性の場合、2回以上風疹が含まれたワクチンを接種しているか、または抗体検査を行って風疹に対する十分な免疫力があるか。

妊婦さんのパートナーは、確実なワクチン接種歴があるか、または抗体検査を行っているか、確認します。

流行地域を指定して通知があるのは異例で、5年前に風疹が流行し、赤ちゃんの先天性風疹症候群が多数発生してしまったことを繰り返さないため、と考えられます。

妊婦さんが風疹(三日ばしか)に感染すると、 赤ちゃんの先天性風疹症候群(CRS)、 これは生まれつきの眼、耳、心臓に障害をもたらし、白内障などによる視覚障害、聴覚障害、心疾患が主な症状で、他にも低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、黄疸、間質性肺炎、髄膜炎、脳炎、糖尿病、精神運動発達遅延などがあり、2012年6月頃から流行した期間に先天性風疹症候群となったお子さん45人のうち、1年間で11人が亡くなっており、 病気を持って産まれることでその後の寿命が短くなっています。

今、私たちに何が出来るでしょうか。

・妊娠を考えている女性とそのパートナー、 妊婦さんのパートナーは、風疹抗体検査を行って下さい。
過去にワクチンを受けた方も抗体が低くなっている可能性がありま す。
横浜市の風疹抗体・ワクチン接種事業はこちらをご覧下さい

・抗体が低い方は風疹ワクチン、 または麻疹との混合ワクチンであるMRワクチンを接種して下さい
女性は妊娠前に少なくとも2回の風疹が含まれたワクチン接種が推奨されています。

・妊婦さんはご自身の抗体価を確認してください。 母子手帳を見たり、分からない場合は通院されている施設に問い合わせて下さい。その結果、 感染する可能性がある場合、特に妊娠の初期から20週頃まで、 流行地域には訪れない、不要不急の外出を避けて下さい。 残念ながら、風疹ワクチンは生ワクチンのため、 妊娠中には接種できません。

・ワクチンを打っても抗体が陽性にならない方、抗体が低いにもかかわらずワクチン接種を行っていない方は、妊娠を控えた方が良いでしょう。


次のページでは、当院で調査し、2013年の日本生殖医学会でも発表(馬場恵子ほか)した風疹抗体価のデータを紹介します。