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首都圏でも感染報告が相次いでいます
令和8年4月現在、日本国内で麻疹(はしか)の感染拡大が続いています。
全国の状況 第13週(3月29日)時点の全国累計は150例以上に達し、3月11日時点で100例を超えた段階ですでに昨年同一時期の4〜5倍となり、昨年の年間報告数を上回るペースとなっています。過去5年で最も多い流行状況です。
首都圏・神奈川の状況 都道府県別の累計患者数は東京都が最多(4月1日時点48例)。神奈川県でも横浜市・川崎市を中心に発生が継続しており、川崎市では4月7日にも新たな感染者が確認されています。埼玉県・愛知県・大阪府など全国各地にも広がっています。
感染世代 感染者の約8割が10代〜40代の活動世代です。ワクチン接種が1回のみ、または未接種の「空白世代」が多く含まれるためとみられています。
感染経路 海外(インドネシア、ニュージーランド、フィリピン、韓国など)からの持ち込み事例と、そこからの国内二次感染が組み合わさっています
国内では「排除された感染症」とされていますが、途上国を中心に麻疹は依然として珍しくない病気です。渡航者本人はもちろん、渡航者と接触した方にも感染リスクがあります。
麻疹はなぜ怖い?
麻疹は感染すると重篤な合併症を起こすことがある、決して軽視できない病気です。
- 妊婦さんの感染は、流産・死産・早産の原因となるほか、肺炎を引き起こすことがあります。
早産率は約25%とする報告もあり、また流産・死産のリスクは感染していない妊婦と比べて数倍高くなるとされています。 - 死亡リスクは日本では約0.01%とされていますが、途上国では1〜5%に達します。この数字は決して低くなく「感染して自然に抗体をつければいい」という考え方は完全に誤りです。
- 感染から2〜10年後に、亜急性硬化性全脳炎(SSPE)という重篤な脳の病気を発症する可能性があります。
- いわゆる「免疫リセット」と呼ばれる現象(immune amnesia、免疫の記憶が失われること)が起き、麻疹に感染すると、それまでに獲得していた他の感染症への抗体が減少し、過去のワクチン効果も弱まることがあります。
- 麻疹は1歳児にMRワクチン(風疹との混合ワクチン)を接種します。0歳児、特に6ヶ月以降は、母からの抗体が消失するため感染に注意が必要です。家族や兄弟の抗体、ワクチン接種歴を確認して下さい。
感染力はどのくらい強い?
麻疹は空気感染します。これはコロナウイルスなどの飛沫感染とは比較にならないほど感染力が強い感染経路です。
電車やバスの同じ車両に乗り合わせるだけ、あるいは同じ店舗を同じ時間帯に利用するだけでも感染する可能性があります。マスクや手洗い・消毒では防ぎきれないため、ワクチンによる予防が唯一の有効手段です。
妊婦さんや妊活中はどうすればよい?
妊婦さんや妊活中の方は、まず以下を確認してください。
- 過去に抗体検査を受けたことがあるか
- 最後に検査した時期はいつか
- そのときの抗体価(数値)はどのくらいだったか
妊娠中はワクチンを接種できないため、妊娠前に抗体検査と必要に応じたワクチン接種を済ませておくことがとても重要ですが、妊婦さんがご自身の抗体価を知っておくことで予防を講じ、周囲の方がワクチン接種を受ける、と言った行動にも繋がります。
もちろん、妊活・妊娠に関係なく、すべての方に抗体検査やワクチン接種をご検討いただくことをお勧めします。
当院での対応と検査・接種について
当院では全ての医師・スタッフが、麻疹に限らず抗体検査を受けており、抗体価が低下していた場合はワクチン接種を実施しています。
院長自身も抗体価の低下を確認し、昨年3月に改めてワクチンを接種しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 抗体検査 | 自費血液検査・4,840円(税込) |
| 結果まで | 5〜7日ほど |
| ワクチン | MRワクチン・8,580円(税込・要電話予約) |
文責 櫻井明弘(院長、日本専門医機構認定産婦人科専門医)
初出:令和8年2月27日
補筆修正:令和8年4月10日
