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「安いからピルなどのお薬をネットで購入しています」

流石に最近では減りましたね、皆さんがきちんと調べて判断されているからと思います。

一方で、オンライン診療での処方も増えているようです。医師が対応してくれることになっているので、最低限のチェックはされて処方もしてもらっているようですが、やはり産婦人科医師では無い先生が担当されることもあるようで、あまり理解しないで服用していたり、婦人科の病気をチェックしないままに服用しているため、後で病気が見つかったりするケースも少なくありません。

また、この記事を読んで、怖くなり、やはり産婦人科で処方してもらおう、と受診された患者さんがいらっしゃいます。

ネット上での購入は絶対に止めて下さい。医療関係者なら、怖くて絶対に買わないと思います。また、薬事法違反にあたるため、違法サイトを見つけ次第、厚生労働省に通報した方が良いです。

以前、当院でピルを処方した患者さん、ピルを開始した後、頭痛やだるさ、そして視野が一部見えにくくなっている、と言う症状がありました。

すぐに休薬してもらい、血液検査をしたところ、ピルの最大の副作用である、血栓症の疑いがありました。

休薬により症状はすぐに改善、明らかな血栓は認めず、事なきを得ましたが休薬しなければ、重大なことになったかも知れません。

この方はピルに含まれるエストロゲンがリスクであると判断し、月経不順のため、黄体ホルモンによる消退出血を1ヶ月に1回起こす治療(ホルムストローム療法)に切り替えました。

しばらくぶりに来院され、やはり月経が不順で、再度ピルを飲みたい、と。

その際に友人から紹介された個人輸入されたサイトで購入したい、医療機関で処方されるよりも安いので、とのことでした。

また過去にピルの副作用があったことを再度説明したところ、別のピルならいいんじゃないですか?と。

ピルに含まれるエストロゲンは、現在はどの低用量ピルも共通で、同じ副作用が出ることが十分予測され、また一度血栓ができると大変な治療を、場合によっては生涯続けなければならないことを説明しました。

この患者さん、当院に相談にいらしたから止めることが出来ましたが、医療機関に訪れず、友人も服用しているから、と安易に海外輸入サイトなどで購入していたらどうなっていたことか。。

医療機関では問診を行い、また再受診時の副作用チェックも行っている一方で、サイトで購入する(こと自体が違法ですが)場合はこのようなチェックは全くされることがありません。サイトを見ても、通り一遍の注意書き程度で、血栓などの副作用は稀、何かあれば医療機関を受診するよう、と、全く責任回避も甚だしいです。厚労省HPにも「悪質な業者」と断じて注意するよう呼びかけています。

ピルは医薬品であり、医師の処方が必ず必要なため、サイトでの販売は違法です。

また最近では医薬品のニセモノも出回っていて健康被害も報告されていることと、お酒や食品の購入でも問題となっていますが、その保管方法が問題となっています。特に医薬品はきちんとした保管が求められており、サイトで販売されているものの信頼性は大変低いです。

健康被害も報告されています。

ピルは医薬品であることを再認識し、必ず医療機関で処方してもらって下さい。

月経痛、PMS、子宮内膜症予防について、ピルの効用と注意点を動画で解説しています。

文責 櫻井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:平成29年4月20日
補筆修正:令和2年3月19日、4月29日、7月10日
補筆修正:令和3年5月17日、28日
補筆修正:令和4年9月22日
補筆修正:令和5年1月29日、4月24日、8月13日、9月15日、アップデートしました。