12月18日の国立感染症研究所感染症疫学センターの発表によると、12月12日現在で今年全国で報告されている風疹患者数は、1週間で132人増加し、全国で2,586人となり、総数は平成29年の30倍となりました。

1週間では東京都31人、神奈川県は18人と増え、総数は東京都(865人)、神奈川県(360人)、千葉県(355人)の順に多く、続いて埼玉県、福岡県、大阪府も愛知県を抜きました。この週では、群馬県、山梨県、栃木県、愛知県、京都府、兵庫県、佐賀県、熊本県でも複数の報告があり、大都市を中心に全国的に拡まっている印象です。

報告患者さんの96%は成人で、ほとんどが国内での感染です。推定される感染源は、職場での流行、家族、コンサート/ライブ/イベント、旅行/出張、友人、通勤途中、学校、医療機関、会議の順でした。
風疹ウィルスの感染力は、インフルエンザの2〜4倍とされており、狭いところで濃密に接触することでの感染が想像されます。
これから年末年始にかけて皆さんが移動するため、さらなる感染の拡大も懸念されます。

人口あたりでは、東京都が千葉県を上回り、神奈川県、福岡県、埼玉県、茨城県、愛知県、石川県、山梨県、岡山県、大阪府、三重県、佐賀県、山口県、群馬県、福井県の順に多く、首都圏以外の地域でも感染が拡がっているようです。

報告患者は男性が女性の4.3倍多いですが、女性の患者さんに比率が増えています。
男性は30~40代(男性の63%)に多く、女性は20〜30代に多い(女性の60%)ので、 妊娠を希望している世代として注意が必要です。
予防接種を受けていない方が多いのは「予防接種歴は無し」(25%)と「不明」(68%)がほとんどを占めることから明らかです。

感染した方の中では、少ないものの、血小板減少性紫斑病や肺炎、髄膜炎のような重篤な症状もみられています。

このような風疹流行を受け、厚生労働省は現在流行の中心である39〜56歳の男性を対象に、抗体検査とワクチン接種の費用を原則無料にすると発表しました。詳しい開始時期は自治体によって異なるかも知れませんが、この事業は3年間行われる予定です。


また先週は大阪府内の20代の妊婦さんの風疹感染が報告されました。現在の流行の中心は、ワクチン接種をしていない30〜50代の男性ですが、女性は20〜30代が中心で、まさに妊娠する世代に感染が増えています。

妊娠を考えている女性は、抗体検査を受けて風疹に対する免疫力があるか、なければワクチン接種を行ってから妊娠にのぞんで下さい。


12月10日、神奈川県は5年ぶりの風疹「非常事態宣言」を出しました。

11月29日付の横浜市衛生研究所/横浜市健康福祉局健康安全課から配布された「横浜市風しん流行情報9号」によると、8月20日から11月21日まで、横浜市内の風疹患者さんの報告は132人にのぼり、1週間の患者数の増えています。

横浜市内でも女性患者さんの比率(18.2%)が多くなってきています。

日本産婦人科医会は、「妊婦さんへ風疹からの緊急避難行動のお願い 第3報」を発表しました。

これによると、米国のCDC(疾病管理予防センター)は、風疹に罹る可能性のある妊婦の、日本への渡航を控えるよう、警告を出したそうです。国際的に見ても、日本は風疹の流行地域とされているということです。

妊婦さんとお腹の赤ちゃんを風疹から守るため、妊娠が分かった時に、妊婦さんと同居家族の風疹抗体や罹患、接種歴を確認することとし、

風疹抗体の結果が出る前の妊婦と、風疹抗体価が低く感染のリスクがある妊婦に対して、

・人混みを避けること

・夫も感染リスクがある場合、直ちにワクチン接種をすること

また職場に対しても、

・妊婦から職場の健康管理者に妊娠初期であることを伝え、

・職場での風疹の発生を把握することを求め、風疹発生時にはリスクのある妊婦に連絡をもらうこと

・職場で風疹患者が発生した際には、患者及びリスク妊婦の「出社差し控え」を含め、妊婦への万全の保護策を講じてもらえるよう申し出ること。この際の出社差し控えは、妊婦の立場を考え、「公休扱い」としてもらうよう働きかけること

を求めています。

さらに、妊婦さんが集まる産婦人科施設へは、風疹罹患時はもとより、病名が明らかとなっていない風邪気味の状態(発熱、リンパ節の腫れ、発疹など)の場合、受診、立ち入りをしないよう

お願いをしています。

風疹の有効な予防法はワクチンしかありませんが、夏まで麻疹が流行し、現在の風疹の流行の影響で、ワクチンが今後供給不足となる恐れがあります。いち早い行動をお願いします。

最近では、当院でも男性のワクチン接種が増えてきています。

とても有り難いことです。

10月2日付、厚生労働省から、風疹流行地域の5都県の産科医療機関に、

・妊娠を希望している女性

・妊娠が判明した女性のパートナー

に、風疹抗体とワクチン接種の有無を確認するよう、通知がありました。


5都県とは、今回の風疹流行の主たる地域、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県と愛知県です。

妊娠を希望している女性の場合、2回以上風疹が含まれたワクチンを接種しているか、または抗体検査を行って風疹に対する十分な免疫力があるか。

妊婦さんのパートナーは、確実なワクチン接種歴があるか、または抗体検査を行っているか、確認します。

流行地域を指定して通知があるのは異例で、5年前に風疹が流行し、赤ちゃんの先天性風疹症候群が多数発生してしまったことを繰り返さないため、と考えられます。

妊婦さんが風疹(三日ばしか)に感染すると、 赤ちゃんの先天性風疹症候群(CRS)、 これは生まれつきの眼、耳、心臓に障害をもたらし、白内障などによる視覚障害、聴覚障害、心疾患が主な症状で、他にも低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、黄疸、間質性肺炎、髄膜炎、脳炎、糖尿病、精神運動発達遅延などがあり、2012年6月頃から流行した期間に先天性風疹症候群となったお子さん45人のうち、5年間で11人が亡くなっており、 病気を持って産まれることでその後の寿命が短くなっています。

今、私たちに何が出来るでしょうか。

・妊娠を考えている女性とそのパートナー、 妊婦さんのパートナーは、風疹抗体検査を行って下さい。
過去にワクチンを受けた方も抗体が低くなっている可能性がありま す。
横浜市の風疹抗体・ワクチン接種事業はこちらをご覧下さい

・抗体が低い方は風疹ワクチン、 または麻疹との混合ワクチンであるMRワクチンを接種して下さい
女性は妊娠前に少なくとも2回の風疹が含まれたワクチン接種が推奨されています。

・妊婦さんはご自身の抗体価を確認してください。 母子手帳を見たり、分からない場合は通院されている施設に問い合わせて下さい。その結果、 感染する可能性がある場合、特に妊娠の初期から20週頃まで、 流行地域には訪れない、不要不急の外出を避けて下さい。 残念ながら、風疹ワクチンは生ワクチンのため、 妊娠中には接種できません。

・ワクチンを打っても抗体が陽性にならない方、抗体が低いにもかかわらずワクチン接種を行っていない方は、妊娠を控えた方が良いでしょう。

最後に、院長も親しくさせて頂いている、 お子さんを先天性風疹症候群で亡くされた、可児佳代さんのインタ ビュー記事を紹介させて頂きます。

次のページでは、当院で調査し、2013年の日本生殖医学会でも発表(馬場恵子ほか)した風疹抗体価のデータを紹介します。