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麻しん感染の報告があります。〜妊娠前に調べておきたい4つのウィルス抗体、ワクチン接種〜

麻しん患者さんの報告が散発しています。

麻しんは妊婦さんがかかると流産や死産の原因となります。また死亡率も高く(0.1%)、感染後2〜10年経ってから亜急性硬化性全脳炎(SSPE)が発症する可能性もあるので、感染予防をしなければなりません。

しかし、麻疹の感染は、空気感染と言って、コロナなどの飛沫感染よりずっと感染力が強く、マスクや手洗いでは予防できません。予防にはご自身の免疫力=抗体と、抗体が弱い場合にはワクチンしかないのです。

しかしながら、1月より麻しんワクチン、麻疹と風疹の混合ワクチンであるMRワクチンは出荷制限があり、現在、接種することができません。風しん、横浜市助成のMRワクチン、水痘・帯状疱疹ワクチン、ムンプスワクチンのご予約は、お電話か受付で承っています。ネットでの予約は出来ません。

妊活中の方や妊婦さんとご家族は抗体検査を、または抗体検査と必要に応じてワクチン接種を考えましょう。

麻しんについて、こちらのページでも解説しています

さて、新型コロナウイルスの流行で、すっかり忘れられたようになっていますが、平成30年からの風疹の大流行で、大変残念なことに、5例目の先天性風疹症候群が、福島県いわき市で報告されました。

平成30年の風しん患者さんは2,917人、平成31年/令和元年は2,306人が報告されました。

報告患者さんの実に78%は男性で、男性のうち59%は30~40代です。

感染者の過半数は、30〜40代の男性なのです。

平成30年は男性が女性の4.3倍多かったのですが、平成31年/令和元年は3.6倍、女性の患者さんの比率が増えています。女性は20〜30代に多く(女性の64%)、 妊娠を希望している世代の女性に増えているため注意が必要で、今後も先天性風疹症候群の発生が懸念されます。

この流行で初めての、先天性風疹症候群の報告は埼玉県でありました。
こちらのお母さんはワクチン接種歴があり、妊娠中に罹ったかどうかは不明とのことです。ワクチン接種はいつ行われたか不明、とのことで、本当にワクチンを接種していたのか、また、ワクチン効果が弱まっていたのではないかと推察されます。

流行の中心となっている30~40代の男性が、あたかも悪者のようにされてしまっていますが、もちろん罪はありません。むしろ、小児期から風疹ワクチンを接種してもらえなかった「被害者」とさえ言えます。

そこで国は、過去に風疹ワクチンの接種対象外であり、現在流行の中心である、令和元年度39〜57歳になる男性を対象に、抗体検査とワクチン接種の費用を原則無料にしました(風しんの第5期定期接種)。すでに無料クーポンが発送され、この事業は3年間行われる予定です。

この無料クーポンは、従来の自治体ごとの枠ではなく、全国の受託医療機関で検査、ワクチン接種を受けることができます。


当院でも検査に来院される男性がみられます。大変ありがたいことです。

全国では12万人以上の方が検査を受けている、と、令和元年7月17日の厚労省の感染症部会で報告されました。

 


2013年の流行では、全国で17,000人が風疹に感染し、先天性風疹症候群は45人でした。

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先天性風しん症候群(CRS)の報告(2019年5月13日現在)国立感染症研究所

この表は全国の先天性風しん症候群を全例掲示していますが、2013年に32人、2014年に9人の報告以降、今年まで実に5年間、1人も報告がなかったのです。流行がなければ一人もいなかったということです。

院長も親しくさせて頂いている、 お子さんを先天性風疹症候群で亡くされた可児佳代さんのインタビュー記事を紹介させて頂きます。

2020年までに風疹を排除する目標を必ず達成しなければなりません。


風疹、麻疹、水痘、ムンプス(おたふく)は、妊娠前に抗体があるか血液検査を、抗体がなければワクチン接種して抵抗力をつけますが、妊娠中にワクチンは接種できず、またワクチン接種後は2ヶ月の避妊期間が必要です。

一方でインフルエンザワクチンは、不活化ワクチンのため、妊娠中でも受けることが出来ます

リンゴ病は残念ながらワクチンがなく、抗体検査は出来ますが、感染から身を守るには、一般的な風邪と同様、マスクの着用とうがい、手洗いくらいしか手立てがありません。

過去にかかったはず、とか、ワクチン接種した、と言う方はこちらのページもご覧ください