10月11日付の横浜市衛生研究所/横浜市健康福祉局健康安全課から配布された「横浜市風しん流行情報4号」によると、10月10日までに横浜市でも60人の風疹患者さんの報告があります。

神奈川県では、横浜市が過半数を占めていましたが、市外の報告が増えてきている印象です。

10月10日の国立感染症研究所感染症疫学センターの発表によると、10月3日現在で今年報告されている風疹患者数は、全国で952人で、この1週間では、182人の患者さんが報告され、総数は平成29年の10倍を超えました。

ほとんどが国内での感染で、推定される感染源で分かっているのが、職場、家族、コンサート/ライブ、旅行/出張、通勤途中、友人、の順でした。
風疹ウィルスの感染力は、インフルエンザの2〜4倍とされています。

報告患者さんの96%は成人で、東京都、千葉県で多く、神奈川県(うち過半数が横浜市)、埼玉県、愛知県の順に報告され、茨城県、岡山県、兵庫県、静岡県、大阪府、福岡県、群馬県、栃木県でも複数の報告があり、大都市を中心に全国的な拡がりが懸念されています。

人口あたりでは、千葉県、東京都、茨城県、神奈川県、埼玉県、愛知県、広島県の順に多く、やはり、人口の密集しているところで感染が拡がっているようです。

罹患者は男性が女性の5倍多く、特にもともと抗体価が低い30~40代の男性に多い(男性の63%)のが特徴です。
女性は20〜30代に多い(女性の59%)とのことで、妊娠を希望している世代として注意が必要です。
予防接種を受けていない方が多いのは「予防接種歴は無し」(24%)と「不明」(68%)がほとんどを占めることから明らかです。

感染した方の中では、少ないものの、血小板減少性紫斑病のように、重篤な症状もみられています。

10月2日付、厚生労働省から、風疹流行地域の5都県の産科医療機関に、

・妊娠を希望している女性

・妊娠が判明した女性のパートナー

に、風疹抗体とワクチン接種の有無を確認するよう、通知がありました。


5都県とは、今回の風疹流行の主たる地域、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県と愛知県です。

妊娠を希望している女性の場合、2回以上風疹が含まれたワクチンを接種しているか、または抗体検査を行って風疹に対する十分な免疫力があるか。

妊婦さんのパートナーは、確実なワクチン接種歴があるか、または抗体検査を行っているか、確認します。

流行地域を指定して通知があるのは異例で、5年前に風疹が流行し、赤ちゃんの先天性風疹症候群が多数発生してしまったことを繰り返さないため、と考えられます。

妊婦さんが風疹(三日ばしか)に感染すると、赤ちゃんの先天性風疹症候群(CRS)、これは生まれつきの眼、耳、心臓に障害をもたらし、白内障などによる視覚障害、聴覚障害、心疾患が主な症状で、他にも低出生体重、血小板減少性紫斑病、溶血性貧血、黄疸、間質性肺炎、髄膜炎、脳炎、糖尿病、精神運動発達遅延などがあり、2012年6月頃から流行した期間に先天性風疹症候群となったお子さん45人のうち、5年間で11人が亡くなっており、病気を持って産まれることでその後の寿命が短くなっています。

今、私たちに何が出来るでしょうか。

・妊娠を考えている女性とそのパートナー、妊婦さんのパートナーは、風疹抗体検査を行って下さい。
 過去にワクチンを受けた方も抗体が低くなっている可能性があります。
 横浜市の風疹抗体・ワクチン接種事業はこちらをご覧下さい

・抗体が低い方は風疹ワクチン、または麻疹との混合ワクチンであるMRワクチンを接種して下さい
女性は妊娠前に少なくとも2回の風疹が含まれたワクチン接種が推奨されています。

・妊婦さんはご自身の抗体価を確認してください。母子手帳を見たり、分からない場合は通院されている施設に問い合わせて下さい。その結果、感染する可能性がある場合、特に妊娠の初期から20週頃まで、流行地域には訪れない、不要不急の外出を避けて下さい。残念ながら、風疹ワクチンは生ワクチンのため、妊娠中には接種できません。

・ワクチンを打っても抗体が陽性にならない方、ワクチン接種を行っていない方は、妊娠を控えた方が良いかもしれません。

最後に、院長も親しくさせて頂いている、お子さんを先天性風疹症候群で亡くされた、可児佳代さんのインタビュー記事を紹介させて頂きます。

次のページでは、当院で調査し、2013年の日本生殖医学会でも発表(馬場恵子ほか)した風疹抗体価のデータを紹介します。
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