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インフルエンザワクチン、打った方が良いんですか? 〜「妊娠を考えています」「妊娠しています」、いつ接種するのが一番いいのでしょうか〜

新型コロナの感染予防のため、昨シーズンまで2年間、インフルエンザの流行が見られませんでした。矛盾する様ですが、そのために多くの方がインフルエンザに対する抗体がついていないため、今年は1月以降、流行の状態が持続し、夏場でもインフルエンザがみられたり、と典型的ではない感染状況です。

さて、まもなく10月からはインフルエンザワクチン接種が開始されます。

9月20日からは、コロナワクチンの秋接種も開始されていますので、併せて接種をしてください。


コロナワクチンと同様、インフルエンザワクチンについても、1日も早く打たなければ、と考える方と関心がない方と二極化しています。

無関心な方の中は「罹ったことが無い」「打っても罹った、意味が無い」と言う方や「そもそも必要性を考えたことがない」方がいらっしゃいます。

「ワクチン、打った方が良いんですか?」と聞かれますが、答えはもちろん打った方が良いです。

特に妊婦さん、また妊娠を考えている方は間もなく妊婦さんとなる方たちですから、1日も早く接種を考えて下さい。妊娠中の重症化は、妊婦さん自身だけでなく、お腹の赤ちゃんも危険に晒してしまいます。

インフルエンザは例年は、12月から3月頃まで流行が続きます。

(例年のインフルエンザ予防接種の方針と在庫状況はこちらをご覧下さい)


「インフルエンザワクチンを接種したいんだけど、いつするのが一番いいのでしょうか」 

「妊娠中、または授乳中はインフルエンザワクチン打てませんよね?」「妊娠中でも打った方が良いのですか?」

妊娠を考えている方、妊婦さんを中心に、大変多いご質問なので、結論から。

・インフルエンザワクチンは、「妊娠を考えている方」「妊娠中(妊娠週数にかかわらず)」「授乳中」どの時期にも接種が可能です。

・妊娠中は防腐剤(チメロサール)が含有されていないワクチンが推奨されていますが、この防腐剤による、産まれてくる赤ちゃんへの影響はない、とされています(つまり、通常のワクチンでも差し支えありません)。


これらの情報は、看護師の患者さんでも「知らなかった!」とおっしゃることですので、一般の皆さんが知らなかった、と言っても、恥ずかしいことではありません。

また、接種する時期ですが、例年は、11月に入るともう既にインフルエンザの流行シーズン、ですが、今年は2ヶ月前倒しで流行が拡大しています。
ワクチンの抵抗力の持続期間については、3ヶ月ほど、と言われることが多いですが、個人差が大きく、5ヶ月ほど有効なこともあり、明らかなことは分かっていません。

くりかえしますが、妊娠中には重症化するインフルエンザ。赤ちゃんを考えている方なら早めに接種されることをお勧めします。妊婦さんには特にワクチン接種が推奨されています


以下、これまでの記事を補筆修正しました。

旧ブログのコメントにもいただきましたが、

現在は、
「妊娠を考えている、妊娠しているのが分かったという方でも、いつでもお受けになれます」

以前は、
「ワクチンの万一の影響を考え、月経期に接種しましょう。また妊娠初期は、安定期(12週)になってから接種しましょう」

となっていました。


すでに何度も書いていますが、インフルエンザワクチンはインフルエンザウィルスを部分的に量産した「不活化ワクチン」で、ウィルスとして不完全なため、感染性はありません。理論的に言えば、インフルエンザワクチン接種後にインフルエンザを発症することは無い、と言えます。

しかし、人間の身体の多様性、個体差から、またウィルスの突然変異性から、何があるか分からない、というのが今なお心配されています。
万一、ワクチンによって思わぬトラブルが発生したら、赤ちゃんに影響があったら、ということを心配して接種を控える、という考えがかつての考え方です。

最近では、上にあげた現在の考え方が広まって、妊娠を考えている方、妊婦さん、そして授乳婦さんも積極的にワクチン接種をお受けになっており、現に産婦人科クリニック さくらでも毎年のワクチン接種はとても増えています。

結論的には
・妊娠に関連したワクチンの悪影響はないため、いつでもお受けになれます。
排卵期、妊娠判定前(高温期)、妊娠判定後の妊娠初期、授乳期にいたるまで。

*妊娠中の方、通常のインフルエンザワクチンで注射部位が強く腫れてしまう方には、防腐剤が含まれていないTF製剤が推奨されていますが、妊婦さんが通常のワクチンを接種しても赤ちゃんへの影響はありません。

皆さんの価値観や流行状況によっても異なるため、外来で相談されることをお勧めします。

インフルエンザ流行期の受診や外出について、こちらをご覧下さい

また、当院では妊娠中に罹ると赤ちゃんの異常や流早産の原因となる4つのウィルス、風疹、麻疹、ムンプス(おたふく)、水痘(水ぼうそう)の抗体検査やワクチン接種を、妊娠前に行うことを推奨しています。

令和2年10月1日より、不活化ワクチンの接種間隔が撤廃され、他のワクチンの接種にかかわらず、いつでも受けることが出来るようになりました。また昨秋より、インフルエンザとコロナワクチンは同時接種が可能になりました。コロナワクチンは他のワクチンと2週間以上空けて接種しなければなりませんが、インフルエンザのみ例外になりました。

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

(補筆修正:2016年12月6日)
(補筆修正:2017年9月26日)
(補筆修正:2017年10月3日)
(補筆修正:2018年10月20、30、31日)
(補筆修正:2018年12月6日、18、20日)
(補筆修正:2019年1月7、18、29、31日、2月7、14、21日、4月25日、5月8、16日)
(補筆修正:2019年9月28日)
(補筆修正:2020年9月23日、10月1日、13日、12月2日)
(補筆修正:令和3年9月17日、10月12日)
(補筆修正:令和4年6月28日、8月8日、12月20日、27日)
(補筆修正:令和5年9月11日、29日)