皆さま、新しき佳き年をお迎えのことと思います。
さて振り返ると、昨年は診療内容に大きな変革が2点ありました。
まずは、体外受精など生殖補助医療の保健診療化です。
これまで自費診療で行われてきたものが、保険診療となり、自由度が奪われて行えなくなった検査や治療がたくさんあります。
一方で患者さんの負担額は場合によっては大幅に減額されることがあり、生殖補助医寮へのステップアップがしやすくなったとも言えるのではないでしょうか。
とはいえ、4月の保険診療化は準備がきちんと行われていない状況で患者さんと医療機関にとっては唐突、と言わざるを得ず、厚生労働省から細かいルール設定が示されないままに見切り発車された形となり、我々からの説明も二転三転することがあり、大変ご迷惑をおかけしました。
3月より、生殖補助医療に携わる親しい先生方と情報・意見交換する場を設け、最新の情報を集めて提供できるよう努めており、今年も継続してまいります。
また保険診療では治療成績が向上しにくいとも指摘されていますが、なんとか保険診療内で妊娠率が向上するように、工夫を重ねてまいります。
もう1点は、HPVワクチン、いわゆる子宮頸がん予防ワクチンです。
昨年4月から、公費接種の積極的勧奨の再開、キャッチアップ接種の無料化、過去に自費接種した方への償還払い、の3つが施行されました。このため当院でも特にキャッチアップ接種を受ける方が増え、まさにHPV感染のリスクがある世代へのワクチン普及が広まっていることが期待されます。
そしてこの4月から、引き続き新たな施策が行われることが決定しています。
まずは、9価ワクチンの公費接種化です。HPVワクチンには2価、4価、9価の3種類があり、その「価」の数は、予防できるHPVウイルスの数を表します。
当然9価が最も予防効果が高く、子宮頸がんを90%以上減らす効果があります。それに対して2価、4価は、60%の予防効果に留まり、高価ではありますが、9価ワクチンの公費接種化が強く望まれて来ました。
さらにHPVワクチンの交互接種が認められます。これまでは最初に接種したワクチンを、最後の3回目まで接種しなければなりませんでした。例えば4価ワクチンを接種したら、2回目、3回目も4価でなければならず、途中で9価を希望しても変更ができませんでした。しかし変更することの安全性と有効性が認められ、4月からは2回目、3回目を9価で、という選択が認められます。
キャッチアップ接種にも交互接種は認められるものの、9価ワクチンを無料で摂取できるか、まだ明らかにされていません。
4月からの施策については1月中に正式な通知があるそうですので、こちらでもすぐに情報をお伝えしたいと思っています。
その他、未定ではあるものの、緊急避妊薬のOTC化、人工妊娠中絶薬や新しい低用量ピルの認可などが今年以降見込まれれています。
ウイメンズヘルスケアに寄与する新しい薬や制度が続々と検討されており、1日も早く皆さまにお届けしたいと思っております。
先が見えないものとしては、コロナ感染があります。
今後、流行しても重症化しにくい、命を落とすことがほとんどない感染症となるか、新たな変異株が登場したり、新たなワクチンを接種しなければならないか、まだまだ予断を許しませんが、皆さまご自身と大切な人たちを守るため、ワクチン接種と感染予防を引き続きお願いします。
特に年始はインフルエンザとのツインデミックが懸念されています。くれぐれもご自愛ください。
当院の診療体制としては、2月より相澤知美医師の診療時間の変更とオンライン資格確認があります。電子処方箋も4月以降導入できる予定です。
相澤医師は15時までの診療となりますが、13〜15時の診療枠を拡大しました。ご不便をおかけしますが何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。
また、これに関連して、皆さまが求める、より便利な診療時間・診療体制も模索しています。近いうちにアンケートメールをお送りいたしますので、忌憚のないご意見をお寄せいただけたら幸いです。
本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。
院長 桜井 明弘