赤ちゃんを考えている方や、妊娠を心配している方にとって、妊娠判定に用いる妊娠検査薬はいつやったらいいのでしょうか。また、いつからできるのでしょうか。
この記事の目次
妊娠検査薬のしくみ
そもそも妊娠検査薬は、どのようなしくみで妊娠が判定ができるのでしょうか。
排卵期に卵子と精子が受精してから、5、6日が経過すると、受精卵が子宮に着床します。
これが妊娠の成立ですが、残念ながら、この時点では医療機関を受診しても妊娠は分かりません。
受精卵からは、着床した後にhCG(ヒト絨毛性ゴナドトロピン)というホルモンが分泌されるのですが、ある程度の量が分泌されて初めて血液から尿へとhCGが出されるため、着床してから1週間、つまり排卵から2週間ほどでようやく検出できる量に達します。
妊娠検査薬は、このように尿に含まれたわずかなhCGを検出するのです。
その検出濃度は、単位が50mIU/mlであったり、25mIU/mlであったり、のものがあり、25の方がより早いうちに反応が出ます。
検査薬が陽性になるのはいつ?
「妊娠検査薬は、性交から何日で反応しますか?」とよくご質問を頂きます。
市販されている妊娠検査薬には、月経予定日から1週間経ったら検査を行ってください、と書いてあるものがほとんどです。
1週間経つ前に検査することを、フライング検査と呼んだり、中にはまだ検査してはいけない時期、と思ってらっしゃる方も。
排卵から2週間、つまり月経が来るかどうかの予定日(基礎体温の高温期14日目くらい)でも、正常の妊娠であれば幅が広いですが、単位が20〜300くらいのhCGが分泌されており、ほとんどが50以上であることから、月経予定日でも月経が順調な方なら陽性反応は出るはずです。
生殖医療(不妊治療)などで排卵日が確定されている場合、排卵日から2週間ちょうどの日に検査をしてみてください。当院で体外受精などの生殖補助医療を受けてらっしゃる患者さんは、排卵日から2週間後に来院し、妊娠判定を受けていただいています。
しかし、月経が毎月きちんと正しく来ている方は上記のように判定ができますが、多くの方は排卵日、と言われてもその日は不確かでしょう。ご自身で基礎体温や排卵検査薬を使っている場合でも、その排卵日は誤っている可能性があります。排卵痛があった、排卵日のおりものに違いない、これも不確かな情報です。
ましてや基礎体温、排卵検査薬を使っていない場合は、なおさら月経の予定は不確かです。
妊娠していなければ、この薬を飲もう、とか、お酒を飲もうと考えていて検査をすることがあります。
妊娠検査を早く行ったために陰性で、妊娠していない、と判断されるため、市販の検査薬では多めにとって、月経の予定から1週間、としているのです。それでも月経不順(排卵日が前後する)の方は、月経の予定から1週間で陰性でも、その後も月経が来なければ、まだまだ妊娠の可能性がある、と言うことです。
まとめると、
・生殖医療(不妊治療)などで排卵日が確定されている場合→排卵日から2週間ちょうどの日に検査
・ご自身で基礎体温や排卵検査薬を使っている場合→排卵と判断した日から2週間ちょうどの日(高温期14日目)に検査、陰性でも月経が来なければ1週間後くらいに再度検査
・基礎体温や排卵検査薬を使っていない場合→月経の予定日に検査、陰性でも月経が来なければ1週間後くらいに再度検査、を繰り返す
ということになります。
妊娠した場合の、当院への受診のタイミングはこちらをご覧下さい。
不妊治療はこちら、体外受精など生殖補助医療はこちらもご覧下さい。
文責 櫻井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)
初出:平成31年3月11日
補筆修正:令和2年3月13日、4月4日、17日、5月6日、6月8日、7月16日、11月8日、12月31日
補筆修正:令和4年11月26日
補筆修正:令和6年7月23日、8月5日