妊婦さんの子宮頸癌の報告です。

公益財団法人日本対がん協会が、2017年の妊婦さんの子宮頸がんについて、全国の自治体をを対象にアンケートを行ったもので、全国1,741の自治体のうち、38%の664の自治体から得られた回答を元に発表されました(NHKニュースより)。

これによると、42万7,000人の妊婦検診で子宮頸がん検診を受けた妊婦さんのうち、子宮頸がんと診断されたのが69人、また初期の癌であったのが165人、合計234人が報告されました。

この報告は全ての妊婦さんが対象ではなく、年間100万人近くの赤ちゃんが産まれることを考えると、およそこの2倍の子宮頚がん患者さんのいるものと推測されます。


かつて、妊婦健診で初めて子宮がん検診を受け、進行した子宮頸癌の診断により、お腹の赤ちゃんとご自身の子宮を摘出せざるを得ないタレントさんのことが、とてもショッキングなニュースとして取り上げられました。

子宮頸がんは、健診を定期的に受けていれば、子宮を摘出しなくても良い初期のがんで発見されることがほとんどで、手術後の妊娠も可能で再発の恐れもほとんどありません。

一方で、進行した子宮頸がんは、子宮を摘出しなければならず、また手術後も放射線治療や抗がん剤の治療を行い、また再発の恐れと共に生活していかなければなりません。


日本では、また世界各国ではどれくらいの女性が子宮頸がん検診を受けているのでしょうか。


日本ではそもそも子宮頸がん検診の受診率が、先進各国の中では低く、また、せっかくの予防ワクチンがあるにもかかわらず、接種率が著しく低いため、国際的にはとても子宮頸がんが多い国、と言えます。

子宮頸がん予防ワクチンによって子宮頸癌の発症が少なくなることがわかった一方で、日本ではワクチンを接種していない世代の子宮頸癌が増える推計が発表されています。

子宮頸がんの予防、早期発見には、

・子宮頸がん予防ワクチン(HPVワクチン)

・子宮がん検診

の二つが欠かせません。

現在の日本では、ワクチンを接種せず、検診も受ける人が少ないのです。検診を受けない、は、コロナ禍の影響でさらに低下しているようです。


どうかご自身の身体、お嬢さんの未来のために、意識を変え、行動を起こしてほしいと思います。

昨年からHPVワクチンを接種する人が増えています。

また助成対象年齢にも関わらず、9価ワクチンを選択する方もいて、日本の意識も変わりつつあるな、と実感します。

子宮頸がんや予防ワクチン、子宮がん検診について、こちらのページもご覧ください

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:令和2年11月6日
補筆修正:令和3年7月28日