最新のお知らせ

カンジダ腟炎(外陰腟カンジダ症)の内服治療

カンジダ外陰腟炎の再発予防に、フルコナゾールを6ヶ月服用して頂く方法も紹介しています


カンジダは気温や湿度の上昇とともに、多くみられるようになりますが、乾燥期を含めて一年中あります。

女性にとって、不快ですね。

カンジダ膣炎は、女性の4人に3人は、1回以上かかるとされる、大変多い婦人科のトラブルです。

カンジダ腟炎には、保険適応のある内服薬があります。飲み薬

薬剤名は「ジフルカン」といい、一般名はフルコナゾール、真菌(カビ)治療の薬の中ではとてもメジャーなものです。



今回はカンジダ腟炎の治療と繰り返される再発について書きます。

治療には「オキナゾール」などの腟錠が基本で、外陰のカンジダに対しては「ルリコン」などの外用剤を併用します。
上記の内服薬ジフルカンは腟錠による治療と同等の効果があるとされています。

腟錠には600mgの1回投与のものと100mgの6回投与のものがあります。
前者では1度挿入すると1週間効果があるため、便利です。

一方で、腟錠は自分で挿入が難しいことや、月経や不正出血があると、腟から排出されてしまうことがあります。

内服のジフルカンの飲み方は、150mgを1回服用するだけ(1日1回、ではなく、1回だけです)なので、これも便利です。
(ジフルカンには50mgと100mgの錠剤があり、50+100mgで計2錠、あるいは50mg×3で計3錠処方されることがあります)

外用剤、塗り薬ですが、抗真菌剤であればどの薬でもほとんど効果があります。真菌にはあまり薬剤耐性がありません。水虫(白癬菌)に対するものと同じです。

約9割はこの治療法、腟錠1回挿入、外用剤1週間継続で完治しますが、1回の治療では治らない、完全にすっきりしないこともあります。この場合、だめ押しでもう一度同じ方法を行ないます。

問題となるのはカンジダの「再発」です。
「私はよくカンジダになる」「繰り返しやすい」と感じる方もあるでしょう。そのたびに婦人科受診は億劫だと思います。受診までの間、不快な症状を我慢しなければなりませんし。
カンジダ腟炎の再発は、一般的には1年に4回以上繰り返す場合、とされていますので、単純に計算して3ヶ月以内の再発と考えて良いと思います。

治ったと思ったらすぐにかゆくなるので、本当に繰り返しやすい方は毎月、毎週のように婦人科通院をしなければならない、こういう場合、まずは、かゆみの原因が本当にカンジダであるか、おりものの培養検査で再検討します。かゆみにはカンジダの他、細菌感染やトリコモナス感染、ナプキンなどによるかぶれ、あるいは単なる「むれ」ではないかを見直し、また糖尿病などのカンジダになりやすい別の病気をお持ちの場合もありますので、再発しやすい方には別途検査を行うこともあります。

現在科学的根拠のあるカンジダの再発治療法は、フルコナゾール(ジフルカン)の内服です。
当院でも以前は直腸内や、肛門周囲のカンジダ治療を目的に、内服の抗真菌剤、アムホテリシンBで除菌していましたが、現在この方法は根拠がない、とされているため、この服用法は行っていません。

再発予防のためのフルコナゾールの内服は、
・150mgを 72時間毎に10 ~ 14 日間投与。
・以後、投与期間は6ヵ月間、週 1 回 フルコナゾール150mgを経口投与療法を行う
と言うものですが、日本国内には再発予防に対する保険適応がありません。

このため、当院では患者さんの負担を軽減する目的に、ジェネリック薬を用いて自費処方で行っています。

・最初に腟錠または内服による治療を行い、
・フルコナゾール150mg(50mgカプセルを3個)を3日ごとに4回服用
・その後、フルコナゾールを週に1回、150mg服用、これを6ヶ月続けます。

内服薬は妊娠中には使えません。治療の途中で妊娠が分かった場合には治療を中断します。

授乳中は成育医療センターのHPには安全な薬、とあるため、授乳婦さんとはよく相談してから処方しています。

また併用する薬剤や腎機能低下の場合は処方できないことがあります。

フルコナゾールは4回分(または4週間)分、合計12カプセルで2,530円(税込)です。

また最近では腟内を正常に保つ乳酸桿菌(ラクトバチルス)の働きが注目されています。

ラクトバチルスを増やすラクトフェリンサプリメントラクトバチラス腟用サプリメントも同様に治療効果が期待されます。

詳しくは外来診察室でお話します。

市販薬にかゆみを止める成分を主体としたものがありますが、かゆみを抑えて症状が良くなっても、その間にカンジダや細菌感染が進行することがよくあり、受診時にはかなりひどい状態になっていることもあります。市販薬は、とりあえず、かゆみ止めに使ってもいいと思いますが、早いうちに婦人科受診をして診断と治療を受けてください。薬局では症状からの薬剤販売が行われ、婦人科受診を勧められないことがありますが、正しい診断のために受診をお勧めします。

*カンジダは性感染症(性病、STI)ではありません。皮膚や消化管に常在菌として存在しています。

*フルコナゾール12カプセルは、令和4年4月より、2,530円+処方料880円(税込)としました。

*ジフルカン(フルコナゾール)は、ピルと併用することによりピルの血中濃度が高まるとされてきましたが、重篤な副作用、妊娠例の増加などの報告は無く、英国の診療指針にも用量変更の指示記載が無いため、「OC・LEPガイドライン2020年度版(日本産科婦人科学会、日本女性医学学会、2021)」で「併用可能」と記載されました。カンジダ膣炎 ガンジダ 膣カンジダ症

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:2017年1月18日
補筆修正:2017年10月2日
補筆修正:2018年6月22日
補筆修正:2019年12月19日
補筆修正:2020年1月27日
補筆修正:2020年2月7日、4月23日、6月24日、7月6日、14日、22日、9月23日、12月16日
補筆修正:令和3年3月29日、4月8日、5月26日、11月23日
補筆修正:令和4年3月9日、4月5日、15日、5月20日、7月23日、8月25日、11月12日
補筆修正:令和5年5月1日
補筆修正:令和6年1月31日、妊娠中や授乳中の部分を修正しました。