定期接種、キャッチアップ接種が広がっていく中で、 特に保護者の方から「HPVワクチンはいつから打ったら良いでしょうか」というご質問をいただきます。
定期接種は小6から高1生まで、 またキャッチアップ接種は高2から、今年度27歳となる学年まで、無料でHPVワクチンを接種することができます。
9月に入り、高1生から27歳までの無料接種開始の最終月となりましたので、なるべく早く予定を調整し、打ち始めてください。
昨年4月から、14歳までにワクチンを接種し始めると2回で終了できる「2回接種」が始まりました。
なぜ本来は3回必要なワクチンが2回で済むのでしょうか。
それは、接種する年齢が若ければ若いほど、HPVウイルスに対する抵抗力である「抗体」が 多く産生されるからです。
実際にHPVワクチンを14歳までに2回接種した人と、15歳以降に3回接種した人で、抗体の産生に有意差がありませんでした(非劣性である、と表現されます。実際には有意差がないものの、14歳までの2回接種の方が抗体が、むしろ高かったです)(Iversen OE et al. 2016)。
そのため2回接種は14歳までに開始すると2回で済む、と言うわけです。またワクチン接種は早ければ早いほど効果的であるといえます。
HPVは性的な接触で感染するため、その前に接種することが効果的です。
うちの娘はまだ小学生だから、とか、お付き合いしている男の子もないから、確かにそうかもしれません。
早めに打つのは、上に挙げた早いほど効果的、ともう一つ、性交渉の開始年齢です。19歳までの性交渉経験があるうち、3%は12歳で、2回接種の対象となる14歳までに経験があるのは11.9%にも上るのです(日本財団、2021)。
とは言え、性交渉の経験があっても、もちろんワクチンの効果はあります。
9価ワクチンは子宮頸がんの原因となる7つの高リスクHPVと、尖圭コンジローマの 原因となる2つの HPVを予防する効果があります。性交経験のある人で、9つすべてのHPVに感染している方は皆無ですから、性交経験があっても、ワクチン接種は早ければ早いほど、複数のHPV感染のリスクを減らせる、と言えます。
まとめると、
・定期接種は早いほど効果的
・キャッチアップ接種も早いほど効果的
で、1日も早い接種を勧めています。
夏休みをきっかけにワクチン接種を始めている方が増えていますが、まだ受けていない方、なかなかきっかけがつかめない方はこの機会に考えてみてはいかがでしょうか。
当院から発信している子宮頸がん・HPVワクチンに関する情報はこちらにまとめています。
HPVワクチンに関するご質問にお答えして解説した動画です。
HPVとHPVによる病気、HPVワクチンについて解説した動画です。接種の参考にしてください。
YOKOHAMA・KANAGAWA HPV PROJECT by Etsuko Miyagiさんが作成された動画もどうぞご覧下さい。
初出:令和5年11月20日
補筆修正:令和5年12月12日
補筆修正:令和6年2月4日、3月23日、5月13日、7月22日、8月18日、9月4日