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性器ヘルペスが再発した時のPIT療法 〜「アメナリーフ」錠もPITに使える様になりました〜

性器や口唇ヘルペスは、単純ヘルペスウイルス(HSV)に感染することにより発症します。

厄介なことに、一度感染すると、治ってもウイルスの一部が神経節に潜んで、体調を崩したり、月経や妊娠の際に再発してくることが、生涯にわたることがあります。

再発しても、初めての感染ほどの痛みが強いわけではないのですが、ピリピリとした刺激、痛み、時にえぐれたような潰瘍を形成することがあり、その都度、ヘルペスの薬を内服した方が、次の再発を遅らせることができます。

それでも何度も何度も繰り返す場合、目安として年に6回以上繰り返す場合には、再発抑制療法が行われます。これはバルトレックス®︎(バラシクロビル)を1日1錠、1年を目安に内服し続ける方法です。

一方で、再発した時に手元にお薬があったら、と思ったことはありませんか?

PIT療法といって、再発の時に備えて、あらかじめヘルペスのお薬を処方することができる治療法です。PITはPatient Initiated Therapyの略で、患者さんが自分で判断して内服する方法です。

あらかじめ処方されたファムビル(ジェネリック医薬品には保険適応がありません)錠を、再発の症状が出てから6時間以内に内服を開始します。初回に4錠、12時間後に再度4錠服用します。

新しく適応を取得したアメナリーフ錠は、ファムビルと同様ですが、初回の6錠のみ服用します。

いずれも妊娠している可能性のある患者さんは内服する前に、産婦人科を受診して内服の可否を検討してください。

ファムビルとアメナリーフには、薬価に差があります。

PITで処方する場合、患者さんの3割負担で、

・ファムビル:約770円

・アメナリーフ:約2,290円

です。薬価が高いけれど1回で済むものと、2回飲まなければならないものと選択してはいかがでしょうか。

ヘルペスはSTIです。STIは重複感染がある可能性もありますので、診断後は他のSTIの検査も行ってください。

初出:2023年2月2日
補筆修正:令和5年2月27日、9月6日