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子宮がん検診と子宮頸がん検診はどう違うの? 子宮体がんは?

「子宮がん検診はやったことないけど、子宮頸がん検診は毎年行なっています」

子宮がん検診と子宮頸がん検診はどう違うんですか?」

子宮にできるがんは、主に子宮「頸がん」と「体がん」です。

このうち、子宮がん検診として毎年受けていただきたいのは「頸がん」検査です。


頸がんはHPV(ヒトパピローマウィルス)の感染が原因のため、性交渉の経験がある女性であれば、毎年の検診が勧められます。最近してないから、という方もいらっしゃいますが、過去に経験があり、その時にHPVが感染していたら、理論的には何年経っても子宮頸がんが発生する可能性があります。

一方、子宮がん検診、あと一つは何でした? とか、子宮がん検診て、体がん検診ですよね?と聞かれることもあります。

子宮頸がんとは異なり、子宮体がん検査は、みなさんに毎年受けていただくものではありません。

子宮体がん検査を受けるべきなのは、

・不正出血のある方。月経の量が多い(鉄欠乏性貧血を起こす)方。ただし、若年で、通常は月経がある方は必要ではありません。「茶色のおりもの」は出血によることがほとんどですので、おりもの症状ではなく、不正出血、として対処します。

・年齢は35歳くらいからですが、無月経の期間が3〜6ヶ月続く場合は、若年性子宮体がんを疑って検査することがあります。

・超音波検査の所見

 いくつかありますが、まず子宮の内膜が厚い場合で、目安として20ミリを超えた場合です。また子宮内膜ポリープがある場合も体がん検査を行います。

子宮体がん検査には、「細胞診」と「組織診」があります。

いずれも子宮の中の細胞を採取するため、痛みを伴うこともあります。全く無痛、と言う方からとても痛く感じる方までさまざまです。

また、検査前に腟内を消毒しますが、まれに子宮内やお腹の中に感染を起こすことがあり、感染のリスクは当院では0.040%以下です。

子宮体がん検査の「組織診」は、

・子宮内膜ポリープ

・乳がん治療でタモキシフェンを服用中の不正出血や子宮内膜肥厚

の場合は細胞診よりも勧められています。

子宮頸がんはHPVワクチンで予防できることはご存知だと思います。

昨年の4月から、子宮頸がんを予防するHPVワクチンの接種事業が大きな舵を切りました。

9価ワクチンの公費接種(定期接種)化

9価ワクチンのキャッチアップ適用

交互接種の容認

9価ワクチンの2回接種

です。

これにより多くの方がより効果の高い9価ワクチンを接種できる恩恵にあずかれます。

HPVワクチンについて解説動画を作成しましたので、参考にしてください。

また現在子宮頸がん検診のあり方が検討されており、日本でもHPV単独検診が行われる予定です。詳しいことが分かり次第お伝えしていきます。

参考文献:産婦人科診療ガイドラインー婦人科外来編2023(日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会、2023)

文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)

初出:令和4年8月3日
補筆修正:令和4年10月4日、11月26日
補筆修正:令和5年1月31日、3月30日、4月23日、8月27日、11月4日
補筆修正:令和6年1月9日、24日、子宮内膜ポリープや乳がん治療中の組織診について追記しました。