「子宮がん検診はやったことないけど、子宮頸がん検診は毎年行なっています」23
「子宮がん検診と子宮頸がん検診はどう違うんですか?」
最近では新しい子宮頸がん検診「HPV検査単独法」についてもご質問を頂くようになりました。
子宮にできるがんは、主に子宮「頸がん」と「体がん」です。
このうち、子宮がん検診として毎年受けていただきたいのは「頸がん」検査です。
頸がんはHPV(ヒトパピローマウィルス)の感染が原因のため、性交渉の経験がある女性であれば、毎年の検診が勧められます。最近は性交渉をしてないから、という方もいらっしゃいますが、過去の性交渉の際にHPVが感染していたら、理論的には何年経っても子宮頸がんが発生する可能性があります。
一方、子宮がん検診、あと一つは何でした? とか、子宮がん検診て、体がん検診ですよね?と聞かれることもあります。
子宮頸がんとは異なり、子宮体がん検査は、検診として、みなさんに毎年受けていただくものではありません。
子宮体がん検査を受けるべきなのは、
・不正出血のある方。月経の量が多い(鉄欠乏性貧血を起こす)方。ただし、若年で、通常は月経がある方は必要ではありません。「茶色のおりもの」は出血によることがほとんどですので、おりもの症状ではなく、不正出血、として対処します。
・年齢は35歳くらいからですが、無月経の期間が3〜6ヶ月続く場合は、若年性子宮体がんを疑って検査することがあります。
・超音波検査の所見
いくつかありますが、まず子宮の内膜が厚い場合で、目安として20ミリを超えた場合です。また子宮内膜ポリープがある場合も体がん検査を行います。
子宮体がん検査には、「細胞診」と「組織診」があります。
いずれも子宮の中の細胞を採取するため、痛みを伴うこともあります。全く無痛、と言う方からとても痛く感じる方までさまざまです。
また、検査前に腟内を消毒しますが、まれに子宮内やお腹の中に感染を起こすことがあり、感染のリスクは当院では0.040%以下です。
子宮体がん検査の「組織診」は、
・子宮内膜ポリープ
・乳がん治療でタモキシフェンを服用中の不正出血や子宮内膜肥厚
の場合は細胞診よりも勧められています。
子宮頸がんは、そのほとんど全てがHPVが原因です。
新しい子宮頸がん検診「HPV検査単独法」は原因となるHPVを検査する方法で、またHPVはワクチンで予防できることはご存知だと思います。
昨年の4月から、子宮頸がんを予防するHPVワクチンの接種事業が大きな舵を切りました。
です。
これにより多くの方がより効果の高い9価ワクチンを接種できる恩恵にあずかれます。
HPV検査単独法について解説した動画を作成しました。
HPVワクチンについて解説動画を作成しましたので、参考にしてください。
参考文献:産婦人科診療ガイドラインー婦人科外来編2023(日本産科婦人科学会/日本産婦人科医会、2023)
文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)
初出:令和4年8月3日
補筆修正:令和4年10月4日、11月26日
補筆修正:令和5年1月31日、3月30日、4月23日、8月27日、11月4日
補筆修正:令和6年1月9日、24日、4月20日、7月3日、10月31日、HPV検査単独法について追記しました。