まだEBM(科学的根拠に基づく医療)の認知は低いものの、例えば、欧米では、施設によって、35歳であったり、40歳以降の体外受精など、高度生殖医療ではほとんど全例の患者さんに服用することもあるそうです。

DHEAは、体内にあるホルモンで、代謝されエストロゲン、テストステロンの原料となります。年齢とともに減少することが知られ、これを補充することによりさまざまな改善効果がみられることから、「若返りホルモン」などと称されることもあります。

例えば高度生殖医療における効果には、
「卵巣機能低下が見られる場合、DHEA服用前と服用約4ヶ月後を比較して、受精卵数、3日目における正常卵数、胚移植率、胚(受精卵)の質において、改善作用がある(Barad D, Gleicher N、2006)」

この論文の筆者らは2005年に、42歳の卵巣機能低下症例で、DHEAにより、排卵誘発剤に過剰なまでに反応するようになったのを報告しています。

国内のあるデータでも3ヶ月服用後、改善が見られる、といったものがあります。
Poor Responderとされる、体外受精でも良好卵が得られない状態、排卵誘発剤に反応しにくい状態に有効と考えられます。

また、40歳未満で卵巣機能が衰え閉経の状態になる「早発閉経」においては、
治療を開始した患者さん全員の血中FSH値が低下し、妊娠が成立した
という報告もあり、まだまだ論文の数は多くないものの、治療効果が期待されています。

産婦人科クリニックさくらでも、これまで241名の患者さんにDHEAを処方しており(2016年6月現在)、高度生殖医療を行っている患者さんのデータを2016年の日本受精着床学会で発表しました。

この発表の中での結論として、

・採卵時の未熟卵の率が減り、受精率が向上する。

・良好胚が増える。

・胚盤胞に至る率が増える。

・胚盤胞移植で臨床妊娠率が向上した。
(分割期胚移植や出産率の上昇傾向も見られましたが、有意差はありませんでした)

・服用中のAMHが低下しにくい。

ことを発表しました。発表にはいくつかのご質問のうち、大変ためになる示唆も頂いたので、今後の検討に加えていきたいと思います。


最後のページでは、産婦人科クリニックさくらでの処方と諸注意点について説明します。