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新型出生前診断(NIPT)とは? 〜認定施設リストのリンクも紹介しています〜

厚生労働省は、全ての妊婦さんに出生前診断を周知する方針を固めた、との報道がありました。

出生前診断とは、お腹の赤ちゃんの病気などを、産まれる前、つまり胎内で診断する方法です。

新型出生前診断(NIPT)が登場するまでは、母体血液中のホルモンや腫瘍マーカー、年齢などの組み合わせから、ダウン症のリスクがどれくらいかを検査する「クアトロテスト」が、侵襲の低い方法として広く行われていました。

クアトロテストで陽性、と判断された場合、確定診断として、子宮に針を刺して、羊水を採取、羊水中に含まれる赤ちゃんの細胞から、赤ちゃんの染色体の検査が行われます。これを羊水穿刺と呼びます。

新型出生前診断(NIPT)は、クアトロテストと同じように、母体の血液を採血するだけの方法ですから、やはり侵襲が低いです。そして、NIPTでは、母体血液中にわずかに含まれている赤ちゃんの細胞の染色体を増幅して検査する次世代シークエンサーが用いられます。

国内でNIPTを正しく運用し、臨床研究を行っているNIPTコンソーシアム(現在HP閉鎖)によると、日本では平成25年(2013年)より、NIPT検査が行われるようになり、現在では年間15,000人近くの妊婦さんに日本医学会が認定する施設で検査が行われました。

検査を受ける理由としては94%が「高年妊娠」としており、平均年齢は38.4歳とのことです。

そして陽性率は1.79%で、羊水検査などの確定検査が行われ、91.0%が確定診断されています。21トリソミー(ダウン症)については、97.2%が確定診断されました。反対に偽陰性(NIPTでは陰性だったものの、その後ダウン症と18トリソミーが判明)は0.01%で、1万人の陰性判定で一人、と言う陰性的中率の高さでした。

これまでは認定施設が少なく、非認定施設がネット広告などで集患していたことが問題でした。認定施設では、カウンセリング体制が義務付けられておりますが、非認定施設で検査を受け、検査や結果の説明もないままにされてしまう妊婦さんが増えていました。

また非認定施設のほとんどは、検査も国内で認可されていない会社を利用しており、海外への遺伝情報の流出も問題視されています。

現在では認定施設が拡充しています。アクセスは日本医学会の中にあるサイトがわかりやすいです。

また施設の一覧はこちらをご覧ください

基幹施設、連携施設とありますが、どちらの施設でも同じ検査を受けることができます。


本稿では、出生前診断の倫理的な問題点をあえて取り上げませんでした。

多くの倫理的課題があるため、別の機会に触れてみたいと思います。

初出:令和3年3月17日
補筆修正:令和3年8月3日
補筆修正:令和4年3月28日、6月10日
補筆修正:令和5年2月20日、12月26日