よくあるお問い合わせの一つではありますが、ネット上には、超音波検査を受けると傷つくことがよくあり、不正出血がある、と流れているそうです。
婦人科の超音波検査では、腹部から診るものと、腟から診るものがありますが、腹部からのものは、大きな卵巣腫瘍や子宮筋腫、また赤ちゃんの発育を診るために用いられ、ほとんどの婦人科患者さんは腟から診ます。
この検査に抵抗のある方もいらっしゃいますが、腟から診ると子宮、卵巣は直ぐ近くにあるため、詳細な所見を得ることができます。
超音波検査で患者さんに当たる部分をプローブ、と言いますが、腟に用いられるプローブも、先端は丸く加工され、とても優しい形状をしています。現在のプローブは、加えてとても小さくなっています。
そのため出血の原因となることはほとんどありませんが、子宮腟部びらんや細菌性腟炎のため出血しやすくなっている場合は少し出血がみられることもあります。また妊娠中も子宮の頸部がデリケートになっているため、軽く触れただけでも少し出血することがあります。
腟からの超音波検査による痛みは、性交渉の経験のない方や、非常に腟の狭い方、子宮内膜症の重い方を除いて、ほとんどありません。
さて、婦人科の内診を伴う検査で主に出血をするものとして、
・子宮体がん検査子宮体癌検査
がありますが、超音波検査は上に述べた様に、あまり出血する原因とはなりません。
子宮頸がん検査は子宮の出口をブラシでこすります。また体がん検査は子宮の中をこするため、どちらも多少の出血はみられます。
他に、例えば当院で行っている検査では卵管検査が、また処置では人工授精も少量の出血がみられることがあります。
クラミジア、淋菌検査や腟分泌物培養(おりものの検査)や、腟内洗浄でも出血があることも。
いずれも大量の出血を起こすものではありませんが、子宮頸管ポリープの切除後は比較的多めの出血がみられることもあります。
出血が気になる、心配なときにはお問い合わせ頂いたり、来院して頂いたりしていますが、数日で出血は止まることがほとんどです。
検査後の出血が見られる際には、子宮頸がん検査をおこなっているか、腟炎がないか、をもう一度チェックする必要もあります。
文責 桜井明弘(院長、日本産科婦人科学会専門医)
初出:令和元年6月4日
補筆修正:令和4年4月23日、10月5日、12月15日
子宮体癌検査