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2025年 生殖補助医療(ART)治療成績のご報告

毎年1年間の生殖補助医療(体外受精・顕微授精)の治療成績を報告しています。今回は令和7年(2025年)1月〜12月の成績を伝えます。数字を見ていただくことで、「この治療はどのくらい続ければいいの?」「年齢が上がると結果は変わる?」など参考にしていただければ幸いです。

全体の概況

2025年の採卵実施は 122周期(72症例)、胚移植は 155周期(86症例) でした。前年と比べて採卵・移植ともに約20%前後の減少となりました。一方、平均回収卵数は 6.2個(前年5.3個)と増加しており、一回あたりの採卵の質・量は良くなっている、とも考えられます。

 2025年
採卵実施122周期(72症例)
胚移植実施155周期(86症例)
平均年齢(採卵)35.8歳
平均回収卵数6.2個
平均AMH3.03 ng/ml

妊娠・出産成績

胚移植あたりの妊娠率・臨床妊娠率・児心拍確認率・出産率を表します。

臨床妊娠率・児心拍確認率・出産率で前年を上回りました。特に流産率は前年の19.3%から 13.5% へと大幅に低下しており、出産率が向上しています。

指標2025年2024年前年比
妊娠率(胚移植あたり)38.1%40.1%−2.0%
臨床妊娠率31.0%29.7%+1.3%
児心拍確認率27.7%24.3%+3.5%
出産率24.5%20.8%+3.7%
流産率(胚移植あたり)13.5%19.3%−5.8%

妊娠率をはじめ、いずれの値も大切ですが、特に我々が重視しているのが出産率で、昨年からの取り組みが実を結んできた可能性があります。

2023年の全国平均は出産率が20.9%で、流産率は26.0%でした(2023年 体外受精・胚移植等の臨床実施成績)。

年齢別の成績

採卵周期の年齢分布を見ると、2025年は 31〜35歳が最多(51周期) となりました。年代別の胚移植妊娠率では、31〜35歳で継続妊娠率が 34% と高い結果でした。

年齢層採卵周期数継続妊娠率(胚移植あたり)
〜30歳16周期22.2%
31〜35歳51周期34.0%
36〜40歳49周期21.7%
41歳〜23周期0%(経過観察中含む)

何回治療すれば妊娠できる? 〜累積出産率〜

「どれくらいで結果が出るか」は多くの方が気にされる点です。

2017〜2025年の累積データをまとめると:

  • 初回胚移植での出産率:51.9%
  • 3回以内の累積出産率:85.3%
  • 6回以内の累積出産率:97.4%

と、過半数の方が初回の胚移植で出産に至ります。また85%の方が3回までに、さらに97.4%の方が6回までに出産に至っています。1回で結果が出るとは限りませんので、治療の継続について、相談いたしましょう。


開院以来の累積実績と今後に向けて

2007年の開院以来、採卵の累積数は 1,816症例・3,120周期 に達しました。長年積み重ねてきたデータと経験を活かし、今後もお一人おひとりの状況に合わせたオーダーメイドの治療を続けてまいります。

2025年の成績で特に印象的だったのは、出産率の向上と流産率の改善です。採卵・培養技術の継続的な見直しと、各グループに応じた刺激法の選択が少しずつ結果に表れてきたと感じています。

治療中にご不安なことがあれば、いつでも診察の場でお気軽にご相談ください。

よくあるご質問(FAQ)

妊娠率と臨床妊娠率は何が違うの?

「妊娠率」は血中hCGが陽性になった割合、「臨床妊娠率」は超音波で胎嚢が確認できた割合です。化学流産(着床したが胎嚢確認前に終了)を除いた実質的な妊娠の指標が臨床妊娠率になりますが、当院では出産率を重視しています。

つまり妊娠率の向上も大切ですが、出産率を改善できなければその技術や治療法はあまり意味がないものと考えています。

年齢が高いと妊娠率は下がる?

41歳以上でも妊娠・出産に至っている方は毎年います。ただし着床前の染色体異常リスクが高まるため、治療戦略は年齢に合わせて変える必要があります。

AMHが低いと体外受精はできませんか?

AMHが低い方向けのCグループ・Dグループ専用の卵巣刺激プロトコルを設けています。採れる卵子は少なくても、質のよい胚が得られれば、妊娠・出産の可能性はあります。

治療成績について聞くことはできますか?

もちろんです。まもなくYouTubeでの動画をアップしますが、診察時にもどうぞご相談ください。